連載・トピックス / 不動産投資

この人に聞きたい

「知識ゼロからの民泊ビジネスがっちり成功術」 鶴岡真緒さんに聞く(2)

「ホームステイ型」と「ホテルクオリティ」、これからの民泊は二極化する

2016/07/25 「住まいの大学」編集部

英語もできない、資金もない、不動産もないところから、自宅の寝室をゲストハウスにしたことに始まり、いまでは東京に9件、京都に3件の計12件を運営している鶴岡さん。トラブルが取り沙汰されがちな民泊の実情と、競争が激しくなっていくなか、これからの民泊はどう変わっていくか、じっくりお話を伺いました。

民泊を始めて、知らない人から電話がかかってくるようになった

——前回( http://sumai-u.com/?p=5994 )のお話から、本当に民泊を楽しんでいらっしゃるように感じます。民泊の負の面がクローズアップされることが多いことについてはどう思われますか?

鶴岡 どうしてトラブルが多いという話になっているのか不思議です。もしかしたら、ニュースのマイナスなイメージがあるから、ちょっとした話し声でも「また騒いでる」なんてことになってしまうのかもしれませんね。

 部屋には、インフォメーションブックをつくって置いてあるので、みんなルールは守ってくれるんです。「日本のカルチャーを守って、夜は静かにしてください」と書いておけば、本当にみんな静かに過ごしてくれます。そもそも、1日中観光して部屋に戻ってくるので、みんな疲れて寝ちゃいますから。

 もちろん、鍵が見つからないとか、ゲストが道に迷ってしまったということはありますよ。でも、ニュースでいわれているようなトラブルとは違いますね。

 実は、民泊を始めて、知らない人からよく電話がかかってくるようになったんです。「MAOさんですか?」って言うから「はい、MAOです」って答えると、「知らない外国人に道を聞かれているんですが、あなたに電話をしろっていうので電話しました」って。

 そんなときは道案内をお願いしちゃうんです。「もし時間があったらいまから伝える場所に案内してあげてください」ってお願いすると、たいていの人は「わかりました。案内します」って快く引き受けてくれますね。こんな経験ができるのも、民泊をやっているからこそですね。

——そういったコミュニケーションが苦手な人には、民泊はおすすめできませんか?

鶴岡 全然そんなことありません。ゲストと一緒に食事に行ったり、カラオケに行ったりしてホストを楽しんでいる人もいますが、それをやらないからといって何の問題もありません。部屋の提供をして、「何か困ったことがあったら言ってね」とだけ伝えれば大丈夫。何か聞かれたときだけ答えれば十分です。

 それに、かまわれるのを嫌がるゲストもいます。「何か困ったことはある?」って聞くと「問題ないよ。僕たちのことは気にしなくていいから」ってはっきり言ってくれるので、こちらも必要以上に声をかけたりはしません。それでも、部屋を気に入ればリピートしてくれますから。

 ただし、ゲストに誘われたときにあいまいな態度を取るのはNGです。実は私も、困った顔で「MAO、YESかNOかどっちなんだ? はっきりしてくれないと困るよ」って言われたことがあったんですが、はっきり「NO」と答えたら、「OK!」って笑顔で出かけていきました。断っても彼らは何も気にません。日本人は、「せっかく誘ってくれたのに…」と考えてしまいがちですが、そういう感覚を変える必要はあるかもしれませんね。

大家さん向けのセミナーがスタート

鶴岡さんの話を聞くと大家さんも「やってみようか」という気になるという

——最近は、民泊がブームのようになってしまい、部屋を探すのが大変と聞きます。

鶴岡 部屋を探すのは大変です。なので最近、大家さん向けのセミナーを始めたんです。大家さんに民泊のこと、Airbnbのことを理解してもらえたら、部屋を民泊用に貸してもらえると思うんです。

 もちろん、誰にでも部屋を貸すのではなくて、私はセミナーやスクールをやっているので、そこでちゃんと「部屋を大事にする」「ゲストをおもてなしする」っていうことを理解してくれた生徒さんに紹介してあげる。大家さんには、私が責任をもつので貸してくださいという話をしています。

 民泊には悪いイメージがついてしまっていますが、私がきちんと実際のところをお話すると、大家さんたちの民泊に対する概念が変わるようです。「私も民泊をやってみようかな」っておっしゃる大家さんもいらっしゃいます。

 もちろん、ただ部屋を賃貸に出すのと違って、ゲストさんとのやり取りやお部屋の掃除などもしなければいけないので、単なる不動産収入目当てではむずかしいですよというお話はさせていただきます。

信頼できる代行会社は全体の2割程度

トイレの壁面にも”おもてなし”の心があらわれている

——鶴岡さんご自身は、京都のお部屋をどうやって管理されているんですか?

鶴岡 ゲストとのやりとりは、私がメールでやっています。問題はお掃除なんですが、いまは信頼できる人とパートタイマーのような形で契約を結んで、私が直接お願いしています。掃除のクオリティは本当に大切なので、そこで妥協することはできません。

 以前は代行会社にお願いしたこともあるのですが、それではクオリティが保てないんです。そもそも代行会社が、民泊に関わるのが初めてというところばかりですから。私の見た限りでは、信頼できる代行会社は全体の2割くらいかな…。ですから、代行会社に依頼するのであれば、会社選びが重要です。

 代行会社を選ぶときには、その会社がどんな掃除をしているのか、一度同行してご自分の目で確かめてください。同行させてくれない代行会社はダメな会社だと思ったほうがいいですね。きちんと仕事をしてくれる会社なら、お客さんを安心させたいって思うはずですから、同行させてくれるはずです。それを面倒臭いと思うような会社はサービス業に向いているとはいえません。

これからの民泊に求められるものとは?

ホテルクオリティを提供できれば単価アップも可能に

——これから競争が激しくなっていくと思いますが、生き残るために必要なものは何だとお考えですか?

鶴岡 ひとつは、外国人のゲストさんに日本を好きになってもらう努力ではないでしょうか。日本の良さ、日本の魅力を伝える努力をできた人が勝ち残っていくと思います。ゲストさんとの交流を心から楽しんで、ホームステイ型のおもてなしを提供できる人ですね。

 もうひとつは、ホテルクオリティ。ビジネスとして割り切って、ホテル並みのクオリティを提供できる人も生き残っていくはずです。外国人旅行者のなかには、ホテルとして利用する人もいるので、そういう人は民泊に対してもホテルクオリティを求めています。その層をつかめれば、単価を上げることもできるはずです。

 それから、新しい動きとしては、遠隔で始める人が増えています。本人は東京に住んでいるんだけれども、地方にある実家や、おばあちゃまの家にゲストを迎え入れるんです。

 ゲストとのやり取りは、東京にいてもメールでできますから、おばあちゃまたちには「○月×日の◎時の電車で、イギリス人のカップルが行くからね」って連絡をいれておくんです。民泊とかAirbnbとかがわからなくても、「友達がいくから泊めてあげて」って言えばいいじゃないですか。

 実は、私の知り合いのおじいちゃま、おばあちゃまが長野で民泊を始めてるんです。1年間やって、迎え入れたゲストはまだ2組だけですが、おふたりともすごく楽しんだみたいですよ。おじいちゃまなんて、「外国人はピザだろ」って言って、ご自宅にピザ釜をつくり始めたそうですから。

 民泊は本当に楽しいんです。こんなに楽しくて、お金までいただけるんですから、こんなビジネスはほかにはありません。ひとりでも多くの人に、この楽しさを知ってもらえれば、こんなにうれしいことはありません。

第1回の記事はこちら→ http://sumai-u.com/?p=5994

今回の「この人」は…

鶴岡真緒(つるおか・まお)さん

おもてなしbnb代表( http://www.omotenashibnb.com
Airbnbアドバイザー
千葉県生まれ。シングルマザーとして、子育てと結婚相談所での仕事を両立させていた2014年4月、偶然、民泊の新しいスタイルAirbnbを知る。Airbnbのコンセプト「190カ国超の地元の家で、暮らすように旅をしよう」に共感し、自宅の1室をゲストハウスとするところからスタート。瞬く間に稼働率100%を達成する。独自のノウハウで築き上げた「MAO流おもてなし術」が話題を呼び、東京、京都などで複数のゲストハウスを運勢するに至る。現在もゲストハウスを運営しながら、稼働率を上げるセミナーや実践的な部屋づくりセミナーなどを通じて、Airbnb入門者にノウハウをアドバイスしている。

「知識ゼロからの民泊ビジネス がっちり成功術」
鶴岡真緒 著

2016年2月刊行
定価 本体 1,500円+税
四六判 並製 192ページ
ISBN 978-4-8284-1866-7
発売 ビジネス社( http://www.business-sha.co.jp/
★Amazonのページはこちら!
https://www.amazon.co.jp/dp/4828418660

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