連載・トピックス / 不動産投資

だから大家はやめられない!

最強の空室対策はストーリー・ブランディング(1)

「子育てにふさわしい賃貸物件」、このコンセプトを決めるところから私のストーリーづくりは始まった

2016/09/10 林 浩一

かつては業界紙などでしか報じられなかった「空室問題」が、テレビや全国紙で報じられるようになり、その深刻度を実感します。多くの大家さんにとって、「空室対策」はますます頭の痛い悩みになっているのではないでしょうか。賃貸物件はそれぞれ違うものであり、空室対策に画一的な答えはありません。入居者さんから見た「魅力的な物件」には何が必要なのか、考えてみたいと思います。

大家にとって「空室対策」は永遠のテーマ

 多くの大家さんにとって、「空室対策」は頭の痛い悩みではないでしょうか。これから大家さんになろうとする人にとっても、物件を購入した後には、確実に「空室対策」という課題が待ち構えています。

 空室対策といえば、最近、空室問題への注目度が高まっているように感じています。ハウスメーカーが需給バランスを無視して新築アパートを縦続けるあまり、賃貸物件の空室率が上昇しているという記事を日本経済新聞が報じたのは記憶に新しいところでしょう。

 こうしたニュースは、かつて不動産関係の業界紙などにしか載っていませんでしたが、最近では地上波のテレビで報じられたり、全国紙に掲載されたりするようになっていますから、賃貸物件の「空室問題」はかなり深刻なところに来ていると実感せずにはいられません。

賃貸物件はそれぞれが違っている

 以前もお話ししたように、コンサルタントとして空室対策のやり方を指南する人たちもいます。セミナーなどで、そうしたコンサルタントたちの話を聞いてみると、これで本当に「空室対策」ができるの? と感じてしまうようなものも少なくありません。前回の記事( http://sumai-u.com/?p=6632 )でも書きましたが、まったく心に響いてこないのです。

 これも何度もお話ししていますが、賃貸物件というものは、ひとつとして同じものはありません。たとえ隣り合っている物件でも、アパートAとアパートBでは建物のつくりも違えば、それを経営している大家さんの考え方や性格、人間性なども違います。そこで暮している入居者さんもファミリーなのか、単身者なのか、学生なのか社会人なのか、それこそさまざまです。

 したがって、「こうすればうまくいく」という型通りのノウハウで語れないのが賃貸経営のむずかしいところなのです。

「答え」ではなく、「考え方」を身につけるべき

 ですから、私はセミナーなどでお話をさせていただく際には、参加してくださる方々にこんなふうにお伝えしています。

「私が話しているのは、自分自身の経験に過ぎません。ですから、みなさんの物件にそのまま当てはめて役に立つ話ではないかもしれません。でも、“もし自分の物件だったら”と想像力を働かせて聞いていただければ、何かしらのヒントやアイデアにつながるかもしれません」

 わざわざ足を運んで来てくれた方にとって、すぐに役に立つ「答え」がほしい気持ちはよくわかりますが、それを提供するのは私には荷が重すぎます。でも、「答えそのもの」ではなく、私の経験をお伝えすることで、「答えに至るための考え方」を見つけてもらうことはできるのではないかと思い、私がお伝えできる限りのことをお話しするようにしているのです。

入居者さんに長く住んでもらうことが真の空室対策

「空室対策」のテーマとしては、「内見してくれるお客さんをどう増やすか」とか、「成約率をどう高めるか」という課題がすぐに頭に浮かぶと思いますが、そもそもこれは「空室対策」のごく一部でしかないと私は思っています。

 大家の仕事の本質は、「入居者さんにいかに安全で快適な住空間を提供できるか」ということです。そう考えると、一度入居してくれた方が長く住み続けてくれることが本来の「空室対策」だと思うのです。いいかえれば「満室対策」ともいえます。

 大家という仕事は、入居者さんがあって初めて成り立つものです。つまり、本来の主人公は入居者さんです。ですから、「どうすれば満室になるか」とか「いくら儲かるか」という発想はいったん置いて、入居者さんの目線に立つことが重要です。

 果たして自分の物件は、入居者さんにとって、魅力のある物件なのか? まずはこの問いに対して、真剣に考えることが大切なのではないでしょうか。

「魅力ある物件」などというと、漠然として具体的にイメージを浮かべるのがむずかしいかもしれません。そんな人のために、「ストーリーのある物件」と言い換えてみましょう。賃貸経営にストーリーを取り入れることで、うわべだけの「成約対策」だけでなく、本来の意味での「空室対策」ができると私は考えています。

入居者さんの心を動かす「ストーリー」が不可欠

 みなさんは、小説、漫画、映画、ドラマなどに触れて泣いたり笑ったり、感動したことがあると思います。ストーリーは、人の心を動かす重要な要因です。

 不動産物件を選ぶとき、立地であるとか、家賃といったデータが大きな判断基準になることはいうまでもありませんが、多くの人はそれだけで選んでいるわけではないはずです。

 意識していなくても、その物件を見たとき、心を動かすものがあるかどうかを入居者さんは見ています。そして、何か心を動かすものがあれば、「この部屋に住みたい」という心のスイッチが入るはずです。また、その部屋に住み続けて愛着を感じるようになるのか、それともすぐに飽きて引っ越しを考えるようになるのかも心の問題です。

 つまり、「成約率」を上げ、「長く住みたい部屋」を演出するには、心を動かすストーリーが必要なのです。

 私は「Wilshire five seasons」という賃貸アパートを建てるにあたって、「小さなお子さんを持った夫婦が子育てをするのにふさわしいと思ってくれるファミリー向け物件」というコンセプトを固めるところからストーリーづくりに取り掛かりました。

 具体的にどのようにストーリーをつくっていったか、それはまた次回、詳しくお話しすることにしましょう。

★★★こちらも併せてお読みください★★★
人が集まる「空室なし」の「魅力的な物件」にはストーリーがある
http://sumai-u.com/?p=4882

最寄駅からバスで15分、空室率3割強の不人気物件が満室に!
http://sumai-u.com/?p=1938

印象的なスリッパを用意しておくだけで、成約率はグッと高まる
http://sumai-u.com/?p=5400

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