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BOOK Review――この1冊

『お金の流れで読む 日本と世界の未来』 ジム・ロジャーズ 著

2019/05/08 住まいの大学

住まいの大学編集部 文/KANAUSHA.LLC

2050年の日本は 犯罪大国になっている!?

『お金の流れで読む 日本と世界の未来――世界的投資家は予見する』 ジム・ロジャーズ 著

ジム・ロジャースといえば、ウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロスと並ぶ「世界3大投資家」の1人に数えられる人物だ。そんなジム・ロジャースの最新刊が本書である。

タイトルには「日本と世界の未来」とあるが、実際の内容は日本、朝鮮半島、中国の東アジアを中心に今後5年、30年後の各国の将来を予測した内容(もちろん、多くのページが日本に割かれているが)である。

最初にいってしまうと、親日家を自認するせいなのか、親日家であるがゆえなのか日本に対しての評価や将来については辛辣だ。実際、本書内で「私が10歳の日本人だったら、日本を離れて他国に移住することを考える」というフレーズがしばしば登場する。しかも、「2050年には日本は犯罪大国になっている」とまでいっている。

その根拠は、なんといっても日本が抱える財政赤字の大きさにある。少子化と人口減少によって財政赤字の負担を強いられた世代が暴動を起こすというである。こうした辛辣な評価になるのは安倍政権のアベノミクスを痛烈に批判している著者だけに当然といえば当然だろう。本書でも「きっと「安倍が日本をダメにした」と振り返る日が来るだろう」と手厳しい。

そんな日本への処方箋として著者があげるのが①大幅な歳出のカット、②関税引き下げと市場開放、③移民の受け入れだ。また「いま自分が40代の日本人なら」、農業、古民家、教育の3つの分野が可能性秘めた事業だという。

朝鮮半島と中国の 将来はバラ色?

日本の将来に対しては手厳しい著者だが、
東アジアで、「朝鮮半島(韓国と北朝鮮)は、5年後に『アジアで一番幸せな国』になるだろう」としている。

その大前提になっているのが、南北朝鮮の統一で、それによって起こる北朝鮮の開放によるもの。そのうえで1980年代に中国で起こった計画経済のように、北朝鮮(朝鮮半島)でも市場経済が発展して、2桁の経済成長と遂げるという。さらに少子化で悩む韓国にとって、北から入ってくる女性たちは韓国の女性たちとは違い出産に対して積極的で、少子化問題も解決すると指摘する。そして、「これからの20年は日本が衰退し、韓国が伸びて刺激的な国になるだろう」と予測している。

いまの朝鮮半島情勢を見ている日本人にとっては少し疑問もわく指摘だが、金正恩に対する指導者としての見方、北朝鮮に対する見方や評価については「そうした評価もできるのか」という気づきもある。とはいっても、その自信は1980年代に中国投資に成功したことに裏付けられているのだが、当時の中国の指導者だった鄧小平と北朝鮮の金正恩や韓国大統領の文在寅にそれほどの指導力があるのか正直疑問ではある。。

中国に対しては「次の覇権国家」として中国経済の強みと「チャイナ・リスク」について説明する。

ここで著者は1800年代から1900年代の200年2世紀は例外的な世紀で、それ以前の中国同様、これからの中国は、世界の中心だった中国の歴史同様、世界のトップをひた走るという。というのも、いまの中国国内には続々とユニコーン企業が登場しており、「こうした企業群を輩出する流れは、今後ますます加速するだろう。中国は毎年、アメリカの10倍、日本の15倍ほどのエンジニアを輩出している」とその根拠をあげている。また、「中国の周辺にはありとあらゆる種類の天然資源がある」ということもその強みなっているというのだ。そのうえで注目産業とあげているのが、環境ビジネス、鉄道などのインフラ産業、ヘルスケアの分野だという。

一方、最大のチャイナリスクは、出所率の低さ、地方と都市の格差、増える債務の3つなのだという。なかでも債務については、日本を含め先進国は債務に対する経験や知識があるが、中国にはないと懸念する。このほか東アジアを取り囲むアメリカ、ロシア、インドといった国々動向など著者ならでは視点から予測されている。

日本の報道や経済紙(誌)の報道を見ていると近視眼的な見方になりがちだが、投資家目線では日本はどう見られているのか、気になる朝鮮半島の見方などこれまでと違った発見になるだろう。また、著者ならでは投資法の解説もされており、一読の価値はある。

『お金の流れで読む 日本と世界の未来――世界的投資家は予見する』
ジム・ロジャーズ 著
PHP研究所刊
920円(本体価格)+税

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