連載・トピックス / 不動産投資

だから大家はやめられない!

覚えておきたい「大家の心得」(5)

あなたの大切な物件、業者まかせでいいのでしょうか?

2016/04/23 林 浩一

知り合いの大家さんが新しい賃貸用の物件を建てたのですが、建物が完成してから業社が「民泊用の物件にしましょう」と言い出したそうです。まるで業社に騙されたような話ですが、入居者さんに喜んでもらう物件にするには、業者まかせにするのではなく、どんな物件にしたいのか、大家さん自身がしっかり考えておくことが大切です。

突然のコンセプト変更にびっくりした大家さん

 ハウスメーカーや不動産会社は、大家さんにとって大事なパートナーです。かといって、何から何までパートナーまかせにしていたら、とんでもない目に遭いかねません。

 先日、知り合いの大家さんにこんな相談を受けました。

 その大家さんが、新宿から2~3駅も離れていない都心の一等地に建てた、4階建てのマンションについてです。どんな建物にするかをハウスメーカーと話し合ったとき、「部屋はせまくなりますが、立地がいいので子どものいないDINKSの夫婦か、単身者向けのマンションにしましょう」という提案を受けて、それを承諾したそうです。

 ところが、工事が終わって、そろそろ募集をかけなければいけない時期になっても、いっこうに募集が始まりません。銀行への借入金の返済も始まりますから、焦った大家さんは業者にせっついたそうです。すると、「当初考えていた入居者さんを募集するより、いま流行りの民泊用に変更しましょう」と言われたというのです。

 図面を見せてもらうと、リビングのない1DKの変わった形で、風呂とキッチンも小さくつくられていました。そのころ、ちょうど民泊ビジネスが注目されていた時期で、どうもその業者は最初から民泊での利用を考えてそのような建物をつくったのではないかと私には思えました。

入居者さんに迷惑をかけてはいけない

 Airbnbなどの民泊は大家さんにとって、空室リスクを回避する新たな手段として有効ですが、運営のしかたを間違えると元も子もなくなってしまいます。私が決めているのは、賃貸契約を交わした入居者さんが暮らしている物件ではそこに住む入居者さんすべての承諾がない限り、絶対に民泊を行なわないということです。

 というのも、Airbnbの主な利用客である外国人観光客のなかには夜中に騒いだり、廊下や部屋などを汚す人がいて、トラブルを起こす可能性があるからです。通常の賃貸での入居者さんに迷惑をかけてしまうかもしれませんし、「環境が悪くなった」といって退去してしまうこともよくあるからです。

 そもそも入居者さんは、賃貸物件として住まいを選び契約して暮しているのであって、宿泊施設にも利用するとわかっていたら、その物件を選んではいなかったでしょう。

 これは別の大家さんから聞いた話です。その人は、東南アジアから来た4人家族にAirbnbで部屋を貸したとのことでした。チェックアウトの日、退去の報せがなく、次のお客さんが入るまで部屋を掃除しなければならないので部屋に行くと、なんと4人家族だったお客さんが20人くらいの団体になっていたのだそうです。

 同じ時期に日本に滞在している友だちが部屋に集まってきて、そんなに人数が膨らんでしまったんですね。その大家さんは、ほかの入居者さんに迷惑がかからなかったかどうか、心配でたまらなかったそうです。

自分の考えや思いをもつことが大切

 話を戻しますと、私に相談を持ちかけてきた大家さんは、「明日、民泊用にするかどうかを決める契約日なんです」と切羽詰まった様子でした。

 ただ、ハウスメーカーと不動産会社のあまりに強引なやり方には問題があるなぁという印象が強く残り、その件がずっと気に掛かっていました。そこで数週間後、その大家さんに連絡をとってみることにしたのですが案の定、細かい条件面でもめて、いっこうに話が進まないということでした。

 結局その大家さんは、管理会社をかえて自ら仲介業者さんに営業して賃貸で貸し出すことにしました。いまでは場所もよかったこともあり、どうにか満室になりました。

 もし、その大家さんが業者まかせにせず、どんな入居者さんに暮らしてもらいたいのか、入居者さんにどんな時間を過ごしてもらいたいのかを考えて物件をつくっていたら、こんな風にはならなかったはずです。

 パートナーであるハウスメーカーや不動産会社と対等な立場でコミュニケーションを取って、自分の考えや思いを実現させることがとても大切なことなんですね。もちろん、それが独りよがりではいけませんが、そこで暮らす入居者さんのことを考えれば、きっとたくさんの人に喜んでもらえる素敵な物件ができるはずです。

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