連載・トピックス / 不動産投資

だから大家はやめられない!

覚えておきたい「大家の心得」(22)

あやしい不動産投資セミナーの裏側、全部お話しします

2016/09/03 林 浩一

不動産投資セミナーが盛況です。勉強のため、いろいろなセミナーに出ていると、なかには首をかしげたくなる内容のものもあります。不動産会社、個人投資家、コンサルタントなどがそれぞれセミナーを開催していますが、そこではどんな内容のことが語られ、何が行なわれているのでしょうか。私が見聞きしてきたことをお話しします。

セールス目的の強引な無料セミナーは淘汰されてきた

 不動産投資セミナーがいろいろなところで開催され、どこも盛況のようです。不動産会社が集客のために行なうセミナーだけでなく、不動産投資本を出版している個人の投資家のセミナーも増えています。

 一般の読者のみなさんのなかには、不動産投資セミナーというとあまりよくないイメージを持っている人もいるかもしれません。

 というのも、不動産会社が無料で行なっている不動産投資セミナーは、そもそも集客が目的で、自社が扱う物件やサービスを販売するために開催されます。そのため、参加者のなかには、ゴリ押しの営業をかけられたり、しつこいセールスメールを送られたりした経験を持つ人が少なからずいるからです。

 とはいえ、そうした悪い評判が立ったセミナーはその後、人が集まらなくなりますので、ずいぶん淘汰されていった、というのが現時点での私の印象です。

利回りの話ばかりするセミナーには違和感がある

 私自身は、勉強のために、できるだけセミナーには参加するように心がけています。いろいろなセミナーに参加していますと、なかにはちょっと首をひねりたくなるようなものもないわけではありません。

 その典型が、利回りの話ばかりするセミナーです。私の印象では、いわゆる“投資家系の大家さん”が開催している「儲かる○○」といったセミナーのなかには、そういったものが多いようです。

 たとえば、「空室だらけの物件を安く購入して、高利回りの物件に変身させた」という成功談は、これから投資家になろうとする人たちにウケがいいようですが、以前の記事( http://sumai-u.com/?p=2747 )でもお伝えしたように、シロアリに食われた柱や古い配線をそのままにして、見た目だけきれいにし賃貸に出している話を、平然としてしまう人もいます。

 なかには、耐震性に不安のある物件をうまく売り抜けたという話(耐震性に不安のあることを隠して売っていたとしたら大いに問題です)を、成功例としてノウハウのように話す方もいたほどです。

 もちろん、利益を出さなければ大家業を続けていくことはできません。でも、そういう話を平気でしてしまう人たちの考えからは、そこに住む人のことが完全に抜け落ちてしまっています。だからこそ、大きな利益を出せるのでしょうが、私はそうした考え方に賛同することはできません。

 実際のところ、セミナーをやったり、本を出したりするために、自分の経験や実績を膨らませていることもあるようで、上に述べたような「成功談」を語っている人の物件を調べてみると、空室続きで募集広告が年中ポータルサイトなどに掲載されているのを目にすることがあります。

コンサルタントの「こうしなさい」は信用できる?

 大家仲間と会うと、世間話の合間に「こんなセミナーに行ってきた」という話になることがありますが、「自分では大家業をそれほどやっていない、コンサルタント的な立場の人」の話は、あまり評判がよくありません。

 というのも、そういう人たちは、いろいろな情報を集めてきて理論を組み立て、「こうすればうまくいきます」とわかりやすく話すことはうまいのですが、本当にうまくいくかは別の話だと思います。まったく心に響いてこないのです。

 物件はそれぞれ、立地も違えば間取りも設備も違います。大家としてやっていくには自分の物件については、いいところも悪いところも知り尽くしていなければいけません。コンサルタントという立場でそれができるのか、私には疑問です。

有名な投資家系大家さんの塾で行なわれていること

 では、実際に大家業で成功している人の話ならいいかというと、そうでもないようです。

 著書を出しているような有名な投資家系の大家さんのなかには、自分の塾を開いている人がいます。生徒さんからお金をいただいて、ノウハウを教えたり、コンサルティングのようなことをしたりしているようです。

 それはそれですばらしいことだと思いますが、実はそこで、自分がそろそろ手放したい、入れ替えたいと思っている物件を生徒さんに売り物件として紹介している人もいるそうなのです。

 そんなことをやっていたら、生徒さんが減って成り立たなくなるのではないかと思いますが、著書を出して名前が売れている人なら、セミナーを開けば新しい生徒さんをどんどん集めることができるのでしょう。

私が戒めているセミナー講師の心得

 私自身も大家さん向けのセミナーなどに講師として呼ばれ、大家業のことをお話しする機会をいただくようになりましたが、講師を引き受ける際には、次のふたつのことを戒めています。

 ひとつは、自分の経験を超える話をしないこと。法律とかお金の話をする際、専門家として話をするのではなく、あくまで大家という立場から自分の経験の範囲内で話をするようにしています。

 もうひとつは、講師を本業にしないということ。実際、講師を引き受けるのは月に1回、多くても2回程度です。だから、講師料は合わせても数万円程度です。そのくらいが私にはちょうどよく、本業である大家業のほうがおろそかになるくらいならいつ止めてもいいと考えています。

 とはいえ、人前で話をするという経験は、自分の考えをまとめて明確にできるといういい点がありますし、参加者の方々とお話するといろいろな情報が耳に入ってとても勉強になるのも確かです。

 お金儲けをしたい人にとって、セミナーは集客に使える便利なものなのかもしれません。でも、セミナーに参加した人が不幸になるようなことがあってはならないと思います。セミナーが、そこに参加する人にとって幸せな学びと交流の場となることを願っています。

★★★こちらも併せてお読みください★★★
賃貸経営には「利回り」よりも重視すべきものがある
http://sumai-u.com/?p=2747


お金持ちしかできない!? 最近流行りの築古「ボロ物件投資」
http://sumai-u.com/?p=5489


地震への備えは大丈夫? 大家は入居者さんの命を預かる仕事です
http://sumai-u.com/?p=5574

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