連載・トピックス / 不動産投資

カリスマ空室コンサルタントが
教える不動産投資のリアル

なぜこれほど注目されているのか?

いまさら聞けない、話題の「Airbnb」ってナニ?

2016/03/09 尾嶋健信

過去15年で5000室以上を満室にした実績を持つ、カリスマ空室対策コンサルタントの尾嶋健信さん。そんな尾嶋さんがいま注目しているのは「Airbnb」というWebサービスだとか。それはいったいどんなサービスで、不動産投資とどんな関係があるのでしょうか。

個人宅と旅行者をマッチングするサービス

 ここ数年、「民泊」「Airbnb(エアビーアンドビー)」という言葉を耳にする機会が増えています。今回はまず、このふたつの言葉について説明してから、不動産投資のプロである私がなぜAirbnbに注目しているのかを語っていきたいと思います。

「民泊」とは、旅行者が個人の民家に料金を払って宿泊すること。海外では「バケーションレンタル」と言ったりします。よく似た言葉に「民宿」がありますが、民宿は、旅館業法で「簡易宿所営業」が認められている宿泊施設のこと。一方の民泊については、いまのところ、これを規定する法律は存在しません。

「Airbnb」とは、2008年にアメリカでサービスが開始された、民泊マッチングサイトを運営するWebサービスのこと。以下、その仕組みをご紹介しましょう。ちなみにbnbはいわゆるB&B、すなわちBed & Breakfastを表しています。

 まず、「自宅に客を泊めてもいい」と考えている家主は「ホスト」としてサイトに登録します。一方、「ある地域に格安で泊まりたい」旅行者は「ゲスト」としてサイトに登録します。

 ゲストは地域・日程・料金などからホストの物件を検索し、必要があればホスト宛に質問メールを送り、宿泊したい物件のホストに予約リクエストを入れます。リクエストを受けたホストは、24時間以内にゲストを受け入れるかどうかを決定。受け入れる場合は、待ち合わせ時間等を調整し、連絡先を伝え、予約が完了します。

 なお、Airbnbサイトへの登録はホスト、ゲストともに無料。ゲストがホスト宅に宿泊する場合、Airbnbはゲストからホストへのオンライン決済を実施します。その際、ゲストは決済価格の6〜12パーセントを、ホストは決済価格の3パーセントをAirbnbに支払うシステムになっています。

 Airbnbでは、ホスト、ゲストともに登録には細かな個人データを入力する必要があり、ゲストには身分証明書の提示が求められるほか、利用者が相互に信頼性を評価するレビューも公開されるなどのセキュリティ対策も講じられています。

 現在、Airbnbは世界192カ国3万3000の都市で80万以上の宿を提供しているとか。日本では2014年5月にAirbnbの日本法人が発足し、1年間で2000億円以上の経済効果をもたらしたそうです。旅館業法に抵触しない形で、わが国でもAirbnbは少しずつ広がりを見せているのです。

世界的に広がるシェアリングエコノミー

 Airbnbを語るうえで、欠かせないキーワードが「シェアリングエコノミー」。モノやサービスなどの資源を複数の人々が共有する経済のあり方のこと。共有経済とも訳されます。

 これまでの一般的な経済の形は、B to C(Business to Consumer=企業と消費者の間の取引)か、B to B(Business to Business=企業間取引)に限られていました。しかし、限られた資源をより有効に活用するためにはC to C、つまり消費者同士の取引がもっと活発化してもいいはず。

 こうした考え方のもとに発達したのが、ネットオークションであり、今回ご紹介するAirbnbでもあるわけですね。なお、同様のシェアリングエコノミーのサービスとしては、移動したい人とドライバーとのマッチングサイトであるUber(ウーバー=米国)も有名です。

急増する外国人旅行者は空き家に泊まればいい

 話を冒頭に戻しましょう。ここ数年、民泊やAirbnbという言葉を耳にする機会が増えたのはなぜか。それは、ここ数年間で訪日外国人旅行者数が急増していることと無関係ではありません。

 日本政府は、かなり早い段階から「観光立国」というコンセプトを打ち出しながら、しかし日本を訪れる外国人旅行者数はなかなか増えませんでした。1990年代は300〜500万人前後。2000年以降も400〜800万人の間で推移していました。

 ところが、アベノミクスで円安が進み、LCC(格安航空会社)の普及や日本政府のビザ発給要件緩和なども重なり、2012年から訪日外国人旅行者は急増しています。2013年には、日本政府の悲願だった年間1000万人という大台を突破。さらに2014年には1341万人(前年比約30パーセント増)、2015年には1973万人(前年比約47パーセント増)と、いま訪日外国人の数は爆発的に増えています。日本政府は当初、「東京オリンピックの開催される2020年までに訪日外国人旅行者数2000万人を目指す」としていましたが、急遽「目標3000万人」に上方修正するほど。

 こうした状況を受けた表面化したのが、日本国内の、特に大都市圏における宿泊施設の圧倒的な不足です。観光庁の発表によれば、国内ホテル・旅館への2015年・年間宿泊数は、史上初めて5億泊を超え、外国人の宿泊は前年比48.1パーセント増の6637万泊に。客室稼働率は実に大阪府で85.2パーセント、東京都で82.3パーセントに達しました。

 客室稼働率がここまで高いと、日曜の夜も満室で予約が取れない状態、ということになります。特に、外国人旅行者からよく聞かれる不満は、1家族5〜6人で泊まれる大部屋の施設が少ないこと、だそうです。

 その一方で、日本は2010年ごろから人口減少社会に突入しており、2015年の国勢調査でも人口減少が確認されました。にもかかわらず、新築マンションや新築戸建て住宅は毎年800万戸以上建てられ続けているため、全国で空き家や空室が増えるのは当たり前。いまや、全国に820万戸以上の空き家が存在し、空き家率は全体の13.5パーセントに(2013年総務省)。

 こうした空き家は大都市圏で数多く発生しており、東京都・大阪府・神奈川県・愛知県の4都府県で全体の約3割に。賃貸物件に限ってみると、空室率は20パーセント以上になります。今後は住宅需要の低迷とともに、空き家は年々増え続けていくでしょう。

 そこで、いま大いに注目を集めているのが民泊です。大都市圏で増え続ける空き家を、増え続ける外国人旅行者の宿泊施設として利用できれば、双方がwin-winの関係になります。

 事実、日本政府は、羽田空港がある東京都大田区を「国家戦略特区」に指定し、2016年1月から旅行業法の規定を外して、民泊を解禁しました。また、大阪府でも民泊解禁の準備が進められており、この動きは今後全国に拡大していくことが予想されます。

 不動産投資のプロである私が民泊に注目しているのも、まさにこの点にあります。すなわち、民泊には大きなビジネスチャンスが眠っているから。

 たとえば、賃貸マンションの空室を外国人旅行者向け宿泊施設として活用できれば、単なる空室対策以上の付加価値を持たせることができるはずです。そして、賃貸マンションオーナーが外国人旅行者にアクセスする手段としては、Airbnbのサイトを利用するのがもっとも効果的でしょう。

 とはいえ、民泊もAirbnbも、いいことばかりではありません。次回は、Airbnbが持つダークな部分についてもお話ししていきたいと思います。

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