連載・トピックス / 不動産投資

だから大家はやめられない!

新しいサービスが抱える課題と期待

いま注目のAirbnb、私が手を出さないこれだけの理由

2016/01/30 林 浩一

いま不動産で最もホットなトピックといえば、民泊マッチングサービスのAirbnb。たとえば大田区では、2020年東京オリンピックの宿不足を見据えて、民泊を認める条例を可決しています。そんな盛り上がりを見せるAirbnbですが、林さんは所有物件への導入に否定的です。それはいったいなぜでしょうか?

Airbnbがブーム その魅力とは?

 都内で駅近のいい立地だけれども、古くて全然入居者が集まらなかった物件。それがここ最近、一気に人気を集めています。その理由はAirbnb。説明不要かと思いますが、空き部屋などを持つ宿泊場所の提供者(ホスト)と宿泊場所を探している旅行者(ゲスト)をつなぐ、インターネット上のサービスです。ゲストはホストとの交流によって、その土地ならでの体験もできる。それがそもそもAirbnbの始まりで魅力でもあったのです。

 しかし人気が出て、儲かるとなってからは話がおかしくなりました。私の知人でも、Airbnbで家賃の数倍の利益を出す人がいます。誰も住まないような古い物件を綺麗にして、ベッドなどを入れて登録するだけ。募集しても入居者がいなかった部屋から利益が出るようになるのです。

 たとえば、東急田園都市線青葉台駅や溝ノ口駅周辺でやっている知人の話です。民泊に抵抗が少ない外国人のほか、地方から出張で来るビジネスマンの利用も結構あるそうです。外国人観光客の増加もあって、ビジネスホテルなどが取りにくくなったことも影響し、私も需要はあるのは知っているのです。

近隣住民とのトラブル、大家の責任の在り処が課題

 では、需要があるのになぜやらないか? それは新しいサービスでまだまだ課題が多いから。

 いちばんの問題は、不特定多数が物件を利用することです。いま住んでいる入居者とはトラブルが発生するでしょう。民泊だとどんな人が部屋を使うか、大家にはわかりません。治安の問題も起きるでしょうし、騒音やゴミ問題などさまざまなことが考えられます。入居者たちがこれらのトラブルを恐れて退去することだってありえます。

 さらに怖いのが責任問題。民泊で貸した部屋で事件や火災があった場合の補償は、オーナーである大家か、それとも部屋の貸し主なのかまだまだ不透明な部分があります。それにもかかわらず、すでに民泊の部屋を舞台に、大麻で逮捕された観光客がいたり、ベランダから外国人の子どもが転落死する事件も起きています。身元がはっきりしない人を泊めるのはいろいろとリスクが大きいのです。

 やっぱり大きな事件が起きたときに、オーナーである大家としては「空いている部屋を貸してくれといわれたから貸しただけ」ではすみません。最終的な責任は大家にあるのです。

 そのほかでは、Airbnbでの民泊はもはや賃貸業ではなく旅館業になってしまうこと。消防法や旅館業法などもかかわってくるので、大家業が好きな私にとっては踏み込めないなと感じました。このように、「儲かる分だけ何かあったらリスクが大きい」というのが感想です。

発祥の地、米国では宿泊業界が圧力で縮小も

 いろいろな問題は、Airbnb発祥の地であるアメリカですでに起きています。

 最初は空いている部屋を貸し出す民泊サービスで始まり、儲かるということでいろんな業者さんが入ってくる。ついには賃貸物件の1棟まるごとを民泊にしちゃったりする人までも現れる。でもそれって、普通の宿泊施設と変わらないじゃないですか? 

 それで、これまで黙っていたホテルなどの宿泊関連業界がおかしいと圧力をかけてきたんです。そして圧力に屈し、Airbnbも妥協もしてきたという現状があります。

 いま日本では民泊ブームで、かつてのアメリカのイケイケと同じ状況にあります。いろんな人がやることで問題となり、やがてアメリカでの規制が日本でも行なわれることでしょう。場合によっては、きちんとルールを守って民宿などをやっている人にも不利益な規制がかかってくる可能性だってあります。

 いまは儲かることだけを考える業者さんが、いろいろな大家さんに「空いている部屋を貸してください」とアプローチをかけています。うちにもきました。特に都内でいい場所にもっている大家さんにはすごいですよ。でも、こういう問題があることをきっちり理解したうえで判断してほしいと考えています。

 私自身、民泊を否定しているのではありません。条件面や法律面が整備され、貸すほうも借りるほうも安心できる民泊になってほしいのです。

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