連載・トピックス / 不動産投資

だから大家はやめられない!

覚えておきたい「大家の心得」(12)

お金持ちしかできない!? 最近流行りの築古「ボロ物件投資」

2016/06/18 林 浩一

築古のボロ物件を購入して、DIYでリフォームする投資家さんをよく目にするようになりました。そのやり方だと、物件を購入してから一定期間、家賃収入が入らない場合もあるので、それでも耐えられるだけの体力のある人にしかできないのではないかと思ってしまいます。「ボロ物件投資ならできる!」と飛びついてしまう前に、物件を買った後のことをしっかり考えてみませんか?

ボロ物件投資ができる人は「余裕」のある人?

ここ何年か、築古のボロ物件を購入して、リノベーションしたり、DIYで手を入れたりしてから賃貸に出すという投資家さんをよく見かけるようになりました。「ボロ物件投資」を謳った書籍もたくさん出ています。物件そのものが安く買えるので、リフォームにかけるお金を抑えれば、高い利回りが期待できるというのです。

でも、きちんとリノベーションやリフォームをやろうと思ったら、たくさんのお金がかかります。もし、かかるお金をケチってしまえば、以前の記事( http://sumai-u.com/?p=2747 )でもお話ししたように安全性に問題が出てしまうこともあります。だからといって、DIYでリフォームするにはそれなりに長い期間が必要なので、その分、賃貸に出せる時期が遅くなってしまいます。つまり、その間、家賃が入ってこないのです。

そう考えると、リフォームにお金をかけられる人はもちろん、一定の期間をかけてDIYでのリフォームができる人も、ある程度お金に余裕がある人なのだろうなと思います。築古のボロ物件がいくら安いといっても、最低でも数百万円はするのですから、購入してから長期間、賃貸に出さずにやっていけるというのはそれなりの「体力」が必要だと思うのです。

私は自分の所有物件が1カ月でも空室になったら不安になってしまうので、とても耐えられません。購入費用やリフォーム費用の負担はもちろんのこと、税金、保険などの維持費は何もしないでもかかってきます。とてもではありませんが、私にはそんな余裕はないなと考えてしまいます。

大家になるなら「返済比率」に要注意!

物件を現金購入できるだけの余裕がある人なら、まだいいのかもしれませんが、銀行からの借り入れで物件を購入している場合、賃貸に出せない期間があるというのはとても大変なことだと思います。なぜなら、収入がないのに返済をしていかなければならないからです。

私も銀行からの借入金でアパートを建てたので、自分の物件の返済比率はいつも気にかけています。返済比率とは、満室時の家賃収入と返済額の割合を示した指標です。

返済比率の目安としては、「50%以下」ということがよくいわれています。仮に10部屋ある物件で、返済比率が50%だとすると、その物件は空室が5部屋を超えると収入より返済額が上回ってしまうので危険信号です。

10部屋のうち、5部屋が空室になるなんてあり得ないことだと思いますか?
いえいえ、立地や環境の悪い物件ではそんなことはめずらしくないですし、たとえ満室の物件でも、転勤や卒業など入居者さんの退去のタイミングが重なってそうなることも十分あり得る話です。

私は返済比率50%というのは危険な水準だと思います。できれば、40%には抑えたいし、30%以下にならなければ安心できません。

その物件が10部屋の物件ではなく、4部屋の物件だとしたら、話はさらに深刻です。返済比率が50%だと、4部屋のうち2部屋が空室になるだけで危険水準に達してしまうのです。

5年後、10年後まで、無理のない計画を立てよう

賃貸物件の家賃は、右肩上がりに上がっていくものではなく、築年数とともに次第に下がっていくのが相場です。
新築時は大した努力なしに満室にすることができたとしても(現在では、新築や築浅であっても満室にならない物件をよく目にします)、5年後、10年後にそれを維持するのは大変なことです。家賃額を維持するためにリフォームするにしたって、決して安くないお金がかかります。

そう考えてみると、返済比率は「50%で安心」どころか、「40%、できれば30%以下」であることが少しもオーバーでないことをおわかりいただけると思います。

賃貸経営において、返済計画を立てるということは、基本中の基本です。
そもそも、これができなければ銀行からの借り入れなどできません。
それに、銀行から借り入れができる計画だったらOKかといえば決してそんなことはなくて、実際に賃貸経営を始めてみれば銀行の審査以上に現実は厳しいということがわかるでしょう。

首都圏の空室率が過去最悪を記録したそうですが、今後、賃貸経営はますます厳しくなっていくはずです。これから大家さんを目指す人、2件目、3件目の物件購入を検討している人は、「ボロ物件投資ならお金がかからない!」と飛びついてしまうまえに、物件を買った後のことをしっかり考えて、計画を立てることをおすすめします。

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