連載・トピックス / 借りる

大友健右が斬る!不動産業界オモテ・ウラ

業界の悪しきカルチャーを暴く!(12)

なぜ不動産業界ではCtoCサービスが発展しないのか

2016/05/02 大友健右

不動産業界ではなぜCtoCのサービスが発展しないのでしょうか。変化を嫌ったことでポータルサイトに集客機能を奪われ、激化する競争に苦しんでいるのがいまの不動産業界のひとつの側面です。CtoCサービスが発展すれば、不透明な不動産取引はもっとスムーズに運ぶはずなのに…。

不動産業界にはCtoCビジネスが存在しない

 インターネットが普及し、ECが発達したことで、物やサービスの取引がシンプルになり、売り手と買い手を直接結びつけるという利点が注目されるようになりました。最近ではスマートフォンが普及したことで、そうしたCtoCビジネスの成功例がたくさん増えています。

 ところが不動産業界では、これがいっこうに進んでいません。SUUMOなどのポータルサイトがあるじゃないか、と思うかもしれませんが、ポータルサイトはあくまでも不動産会社の集客機能を代行して担っているものです。

 ここでいうCtoCとは、大家さんと借り主、個人売り主と個人買い主のこと。この両者を結びつけるサービスがあったら、不透明な不動産取引はもっとスムーズに運ぶはずなのです。

なぜ不動産業界はネット化が進まないのか

 たとえば、「この物件、もう少し家賃が下がりませんか?」と不動産会社の営業マンに交渉したとき、「わかりました。大家さんに交渉してみます」となって、「やっぱり無理でした」といわれたとしましょう。すんなり納得できますか?

「ちゃんと大家さんに伝えて交渉してくれたんだろうか?」とか、「本当は大家さんに交渉もせずにダメと言ってるんじゃないか?」といったモヤモヤしたものが残るのではないでしょうか。

 でも、大家さんと直接会って交渉できたなら、「家賃はこれ以上、下げられません」といわれたとしても、あきらめもつくと思うのです。

 ネットを利用すれば、こうしたサービスは容易に実現できるはずなのに、不動産業界がそれに手をつけなかったのは、従来のビジネスのやり方を変えたくなかったからです。つまり、物件の情報を独占して、右から左に動かすだけで利益を得るという問屋業の旨味を手放したくなかったわけです。

 その結果、どうなったかというと、利便性の高さからユーザーに支持されたポータルサイトに集客機能を奪われ、競争が激化して四苦八苦しているのです。

売り手と買い手を結びつければどうなるか?

 そんななか、私は2012年に賃貸向け不動産情報サイト「ウチコミ!」を立ち上げました。これはユーザー(借り主)と大家さんとを直接結びつけるCtoCサービスです。

 大家さんは無料で物件情報を何件でもアップして、「ウチはペット可です」、「スーパーや学校が近いのでファミリーにピッタリです」という具合にユーザーに向けて物件を自らアピールすることができます。

ユーザーはすべて仲介手数料無料。家賃や間取り、エリア、沿線をはじめ、「こんな部屋に住みたい」といった希望をリクエストすることができるほか、チャット機能などを利用して大家さんと直接コミュニケーションをとることができます。

CtoCサービスを導入することでどんなことが起こるのか、 その一例をお話ししましょう。

先日、バイク好きの大家さんが「ウチはガレージ完備です」と物件のアピールをしたことがありました。バイクは場所をとるし、騒音や住民間トラブルなどを心配してバイクを持っている入居者を嫌がる大家さんが多いため、すぐに入居希望者が集まって成約になりました。

 これまで、「ウチはガレージ完備です」という情報をユーザーに伝える役目を果たしていたのは不動産会社でしたが、大家さんが直接発信することでその情報がすぐに伝わったのです。

ユーザーを無視したサービスはすたれていく

 こうした事例を見てみると、先に述べた、一部のポータルサイトが集客機能を独占してしまう状況は、もしかすると大家さん自身が集客というものを不動産会社にまかせきりにしていたことが原因なのかもしれないと思うこともあります。

 インターネットは、情報インフラとして今後も存続し続け、画期的なサービスを生み出し続けるでしょう。しかし、ユーザーを無視したサービスは、それがどんなものであれ、早晩すたれていくはずです。不動産業界が早くそのことに気づき、遅れた時計の針を少しずつでも元に戻していける日が来ることを私は願っています。

今回の結論

●不動産業界がネットの波に乗り遅れたのは、既存のビジネスモデルを手放せなかったから。
●その結果、集客機能を大手のポータルサイトに奪われてしまった。
●一刻も早くCtoCビジネスを始め、遅れた時計の針を元に戻すべき。

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