連載・トピックス / マネー・制度

会社を辞めたとたん、送られてくるもの

ズシリと重い負担になる住民税

2019/08/16 住まいの大学

文/小川純

画像/123RF

定年退職後、多くの人が驚くのが、住民税の納付書の金額だ。とくにこれまで一度も転職をしたことのない人にとっては初めての体験になるはずだ。
なぜ、住民税で驚くのか?
それは所得税は、支給された給与や年金額に応じて源泉徴収されるが、住民税は前年の所得金額をもとに計算されるためだ。スポーツ新聞で、大活躍したプロ野球選手が、そのシーズンの成績がダウン。年俸が大きく落ちたため住民税が払えない、といったような記事を見たことがないだろうか。これとまったく同じ理由である。
定年退職後の収入が10万円しかなくても、前年の年収が600万円あれば、これに対する住民税の納付書が送られてくる。年俸5億円の選手が、年俸5000万円になれば収入は10分の1になる。しかし、住民税は5億円のときのものがくるため、5億円なら住民税は5000万円で、住民税を払ったら、一銭ものこらない。

さらに退職直後の住民税の負担感を大きくしているもう1つの理由が、納付期日にもある。
在職中は住民税も12回に分けて納めているが、退職後は6月、8月、10月、翌年の1月と年4回の納付になる。
たとえば、給与から月々1万円の住民税が引かれていた人が8月の給与をもらって退職すると、退職後に納めなくてはならない住民税は、

12万円-3万円(6月から8月までに納めた税金)=9万円

この残りの9万円を10月、翌年1月の2回に分けて納めることになり1回の納税額は4万5000円になる。退職直後にそんな納付書が送られてくるのだから、驚いても不思議はあるまい。
もちろん、翌年度も同様で、年金生活になったからといって、住民税がなくなるわけではない。むしろ負担感としては、翌年のほうが大きいかもしれない。
たとえば、手取りの月給が40万円で8月の給与をもらって退職。その後は、年金の月12万円を受け取ったとすると、

40万円×8か月+年金(12万円)×4か月分=360万円

に住民税の10%がかかってくる。この計算だと36万円で、年4回の納付なので、1回の納付額は9万円だ。実際には基礎控除、扶養家族として配偶者がいれば配偶者控除、生命保険などに入っていれば、それらが控除されるので、実際の額はもっと少なるが。

ただ、住民税も所得税同様、基礎控除、配偶者控除、生命保険控除などはあるが、住民税の控除額は所得税の控除よりも金額が少なくなったり、控除にならないものもある。

具体的には「配偶者控除」は、所得税では38万円だが、住民税では33万円、生命保険料控除も所得税では上限が12万円に対して、7万円といったように違いがある。

さらに税率も所得税は所得金額によって細かく設定する累進制があるが、住民税は所得額に関係なく一律10%だ。
65歳の人で年間の年金受給金額が200万円配偶者控除、生命保険控除ありの人の場合だと、年間の税負担は、所得税はかからないが、住民税は7000円程度になる。
定年後もズシリとくる地方税を軽減するには、ふるさと納税を利用するという方法がある。とはいえ、この6月から返礼品は納付額の3分の1にされてしまったので、ちょっとガッカリ。

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