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大友健右が斬る!不動産業界オモテ・ウラ

業界の悪しきカルチャーを暴く(7)

注意! ダメ物件を優良物件と錯覚させる不動産屋の広告テクニック

2016/04/04 大友健右

不動産業者は物件の宣伝をする場合、自社にとって都合の悪いことは伝えず、都合のいいところだけをアピールして、お客さんを惹きつけようとします。今回はその手口の一部をお話ししましょう。

「南道路」「角地」は絶対的な価値ではない

本連載ではいろいろな切り口から、「自社の利益のためなら顧客の利益を無視することも厭わない」という不動産業界のカルチャーについてお話ししてきましたが、ここまで読んでいただいた方には不動産業界というところがどういうものなのか、多少なりともおわかりいただけたのではないでしょうか(連載一覧はこちら: https://goo.gl/2TKExb )。

不動産業者というと悪人とか詐欺師のようなイメージを持たれている人は少なくないと思いますが、悪人が不動産業界に集まっているのではなく、ごく普通の人たちが業界のカルチャーに染まっていき、顧客の利益を無視した営業活動をごく当たり前のこととして行なうようになっていくという構図があるのです。

そうした業界のカルチャーのひとつに「都合の悪いことは伝えない」というものがあります。

物件探しをしたことのある人なら、不動産会社の営業マンに「南道路」とか「角地」と呼ばれる物件をすすめられた経験があるでしょう。

「南道路」とは、家の南側に道路がある物件のことで、イコール「常に日当たりのいい物件」を意味します。もちろん、南道路でなくとも日当たりのいい物件はありますが、いまは日当たりがよくても、周りにほかの建物が建てば、当然、日当たりは悪くなってしまいます。しかし、道路ならばその心配がないというわけです。

ところが、物件というのは、100件あれば100の個別環境があるもので、同じ南道路であっても、条件のいい場合とそうでない場合があります。たとえば、道路に面しているリビングは確かに日当たりはいいけれど、道路の往来が激しく、人目が気になってサッシをつねに厚いカーテンで覆っていなければならないとしたら、「日当たり良好」の環境は損なわれることになります。

同じことは「角地」にも当てはまります。ふたつの道路が交わったところにあるためにそう呼ばれていますが、「南道路」と同様、日の光を常に部屋のなかに入れられる環境があるとは限らないのです。

ところが不動産業者は、「南道路」「角地」といった“好条件”は強調しますが、たとえば人通りが多くてカーテンが開けられないとか、騒音がうるさいといった都合の悪い条件を自分から伝えることはまずありません。そして、「この物件は角地なのでおすすめです」とか、「角地なのにこの値段はお得ですよ」といった営業トークを繰り広げるのです。

嘘ではない、「都合のいいことだけ」を書く

【図1】道路から奥まった敷地にある「敷地延長物件」

もうひとつ指摘しておきたいのは、「敷延(しきえん)」と呼ばれる物件についてです。

「敷地延長」という言葉を略した業界用語で、広い土地をいくつかに分割して建てた建売住宅によく見られる物件です(図1)。

この図のような物件の場合、道路から奥まった敷地で、敷地が細く突き出して道路に接するようになっている2棟の家を「敷地延長物件」、すなわち「敷延」というのです。こうした物件は、価格が安いのに土地の面積は大きくなるという特徴があります。

では、不動産会社はこうした敷地延長物件をどのようにお客さんにアピールするのでしょうか。そこで活躍するのが広告、特に図面を載せない文字だけの広告です。みなさんも電柱などに貼ってある、「土地○○平米、○LDK、前面○メートル道路、駐車場あり、○○○万円」と文字だけで書かれた広告を見たことがあるかと思います。

住宅を探している人がこの広告を見たらどうでしょう。敷地が広く、駐車場まである物件が格安で売られていると思ってしまってもおかしくありません。しかし、広告にウソは書いてありません。ただ、不動産業者にとって都合のいい情報だけが書かれているのです。

当然、この物件には多くの問い合わせが入ります。ですが、広告には敷地延長物件であることはどこにも書かれていませんから、図面や現地を見たお客さんはがっかりして購入することはないでしょう。

でも、それでいいのです。なぜかといえば、住宅を買いたいというお客さんが向こうからやってきてくれたわけですから。あとはそのお客さんにいろいろな物件を売り込めばいいのです。こうして、ありとあらゆる手を使った営業活動がまた始まるのです。

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