連載・トピックス / マネー・制度

「終の棲家」をどう作るか

バリアフリー住宅改修での介護保険の使い方

2019/10/14 鬼塚眞子

住み慣れたわが家で、最後まで暮らせれば、どれほど幸せだろう。しかし、現実は難しい。“終の棲家”をどこにするかは、人生100年時代の大きなテーマになっている。シニアの住まいを考える上で、介護保険を利用した住宅改修の情報をお伝えしたい。(文/鬼塚眞子)

介護保険を住宅改修で利用するには

画像/123RF

人生100年時代を見据え、「高齢になっても暮らせるわが家」を目指し、バリアフリーにリフォームするシニアも増えている。
だが、今の高齢者が現役時代には、これほど認知症が身近な問題になる、ましてやだれもが人生100年をわが身のことと考えるとは予想していなかったのではないだろうか。
だから、今のシニアのように“終の棲家”を老後の人生設計として検討する人は、非常に限定的だった。

じつは介護保険制度は、こうした住宅改修にも活用が可能だ。
自宅で暮らしながら、介護保険制度の認定を受けている人が少しでも暮らしやすく、親族も介護をしやすくなっているのだ。
とはいえ、利用対象は、要介護認定で「要支援1・2」または「要介護1~5」の認定を受けた人になる。

住宅改修費用(上限額20万円)のうち、住宅改修に要した費用(給付対象上限額20万円)の9割相当額が介護保険から支給される(注:支給の割合は改修費用の支払日(領収書の日付)時点での負担割合が適用)。

支給対象となる住宅改修にも適用される下記の6つと定められている。

【工事となる対象】
1)手すりの取付け
2) 段差の解消
3) 滑りの防止、及び移動の円滑化等のための床、または通路面の材料の変更
4) 引き戸等への扉の取替え
5) 洋式便器等への便器の取替え
6)その他、上記5項目の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修

ちなみに、敷地内であれば、建物の外の通路の段差の解消や手すりの取り付けなどは、対象となっている。

手続きに必要な3つのポイント

介護保険住宅改修費の対象とするには、事前にやっておかなければならないことが3つある。
第一に、住宅改修前にケアマネジャー(居宅介護支援専門員)と相談しなければならない。当然のことだがケアマネジャー等が作成した理由書が必要になるからだ。ケマネジャーがいない場合は、行政の介護保険課や地域包括支援センターなどに相談してみよう。行政によっては、高齢支援課という専門部署を設けている場合もある。まずは、行政の総合案内に「介護保険で利用できる住宅改修の担当部署はどちらですか?」と確認することをお勧めしたい。

第二に、行政への事前申請が必要なことだ。事前申請をしないで改修をした場合は、介護保険給付の対象にならない。ただし、申請をしたからといって、申請された工事が介護保険の利用者に合った改修となっているか、保険給付の対象として適正かどうかの確認作業が行われるため、認定されないケースもある。

第三に、対象となる住宅は、介護保険証に記載されている住宅で、例えば、別荘があったとしても、自宅と別荘の両方が対象となるわけではない。
いずれにせよ、自己判断をせず、行政やケアマネジャーに相談して、介護保険制度の住宅改修費が適用されるかどうかの確認が必要だ。

介護保険住宅改修費の手続きの流れは下記のようになる。

【ケアマネジャーに相談】
ケアマネジャーに相談に行く。

【介護リフォーム事業者に依頼】
ケアマネジャーから住宅改修事業者に改修の依頼。

【下見と立ち会い】
自宅の環境や室内の家具の配置の確認や寸法の採寸のために、ケアマネジャーとともに、事業者に下見に来てもらう。利用者や親族は立ち会って、利用者の生活習慣や性格、希望を伝える。

【提案プランの作成と見積り】
住宅改修事業者に住宅改修のプランと見積もりを出してもらい、チェックと内容の確認を行う。介護保険制度の住宅改修費用の払い戻しは、原則一人1回のため、少しでも納得がいかない場合は、再提案をしてもらう。

【行政に事前申請】
利用者が行政に住宅改修の申請を行う。書類は行政などにしっかり確認することが不可欠。

【お知らせの受取り】
「住宅改修に関するお知らせ」を受け取ってから、施行する

【施工・完成】

【工事費用の支払い】

【住宅改修費の払い戻し】
工事が完了したら、費用を全額支払った上で、住宅改修費の給付申請を行う。かかった費用の9割(一部8割)が還元されることとなる。繰り返すが、住宅改修費は20万円が上限となるため、給付限度額は18万円となる。

上記は、サービス提供事業者や利用者の状況によっても若干異なってくる。詳しい申請方法等は、行政やケアマネジャー、事業者に相談しながら進めよう。また、申請は、利用者本人でも代理人でも可能で、直接、窓口まで行かなくても郵送でも受け付けてもらえる。詳しくは各市町村に確認してもらいたい。

事前申請することで、工事費の立替なしに

「住宅改修をしたくても、その費用が捻出できない」と場合もある。じつは住宅改修の費用の支払い2つの方法がある。一つが償還払いで、もう一つは受領委任払いだ。
償還払いとは、利用者が住宅改修事業者へ改修費用の全額をいったい支払い、後日、介護保険給付分の受け取る方法だ。
受託委任払いとは、利用者が事業者へ費用の1割を支払い、後日、事業者が介護保険給付分を受け取る方法。ただし、どんな業者でも可能というわけではなく行政と合意書を取り交わした住宅改修事業者に改修を依頼した場合のみ有効となるので、詳しくは行政に確認しておきたい。

介護保険を利用できる住宅改修の費用は20万円が上限だが、家屋や敷地が広いと、あっという間に限度額になってしまう。自腹を切っても改修を行いたい時も、専門家にアドバイスを求めて改修することが大切だ。その際、介護リフォーム事業者との話し合いの際に参考にしてもらいたいのが次の表だ。

地域によって導入している「地域独自の住宅改修補助制度」を、ご存じだろうか。
介護保険の助成上限額(20万円)を超える工事又は介護保険で対象にならない工事の場合、所定の条件と手続きの下、費用の一部を助成している行政もある。
7年ほど前には、200万円~500万円まで助成金を出した自治体もあった。今や遠い過去の話だが、ここまで高額な助成はなくなったが、今も助成を行っている自治体はある。介護が必要になったら各自治体や地域包括支援センター、ケアマネジャーに相談することは不可欠だ。

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