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大友健右が斬る!不動産業界オモテ・ウラ

業界の悪しきカルチャーを暴く(4)

不動産会社が自分の手の内を明かさないのは当たり前

2016/03/14 大友健右

住まいは賃貸が得か、購入が得か…。この問いは住まい選びを考えるうえで永遠のテーマです。果たして、不動産のプロである不動産会社の営業マンのいうことはこの問いに対する正解となり得るのでしょうか。

不動産会社の営業トークにご用心

 住まいは賃貸が得か? それとも購入したほうが得なのか?

 どんな家に住もうかと考えるとき、この問いは永遠のテーマといっていいでしょう。逆にいえば、お客さんを相手にする不動産会社の営業マンたちは、常にこの質問にさらされているということになります。彼らは不動産のプロなのだから、適確なアドバイスをしてくれるに違いない…、と思いきや、実状はそうではないのです。

 たとえば、賃貸物件を主に扱っている業者なら、「不安定な世の中です。ローンを組んでも、30年、35年先まで毎月支払っていける保証がありますか? 賃貸が賢い選択ですよ」などと言ってくる確率は高いでしょう。その反対に、売買の仲介をメインの事業にしている業者なら、「家は一生の財産です。買っておいたほうがあとあとの安心につながりますよ」といった助言をしてくるかもしれません。

100人いれば100通りの答えがある

 ここで気をつけなければならないのは、業者たちのこうしたアドバイスは、親身になってお客さんのことを考えたものとは限らないということです。

 そもそも、「賃貸と購入、どっちが得か?」という問いに答えることは、簡単なことではありません。なぜならその答えは、お客さんその人が人生を終え、すべてを清算するときでないとわからないからです。

 転勤、転職、結婚、出産、病気、死亡などなど、その人のライフスタイルに大きな影響を及ぼすような出来事は誰にも起こり得ることで、100人いれば100通りのケースがあるはずです。

 一生を賃貸住宅で暮らした人のなかには、身軽な生活に満足する人もいれば、老後も続く家賃の支払いに苦労した人もいるでしょう。住宅を購入した人のなかにも、満足できる家を手に入れて幸せな時間を過ごした人もいるでしょうし、不本意ながらも家を手放さなければならなくなってしまった人もいるでしょう。

 賃貸であっても、購入であっても、明と暗、両面の可能性があるはずです。

自社の利益を最優先するカルチャーが事態を悪化させている

 でも、不動産会社の営業マンは、未来を予想できる占い師でもないし、生きる目標を指し示せる賢者でもない、ごく普通のサラリーマンです。そもそも、そんな彼らが、賃貸にすべきか、購入すべきか、という問いに答えを出すことなどできないのです。

 そしてサラリーマンである彼らは、当然、自分が担当している物件をすすめる口実として賃貸物件、あるいは購入物件のメリットを語るはずです。お客さんの価値観やライフプランといった部分に踏み込んで、親身になって住宅を購入すべきかどうか考える営業マンはゼロとはいいませんが、決して多くはないはずです。

 決して営業マンが悪いわけではありません。そこには営業成績を上げなければならないというビジネス上の理由と、むずかしい質問への返答をごまかさざるを得ないという事情があるのです。そして、顧客の利益よりも自社の利益を何がなんでも優先するという不動産業界の悪しきカルチャーが、そうした事情に拍車をかけていることも無視できません。

賃貸か購入かを判断できるのは住む本人だけ

 また、不動産業者が先に述べたような「賃貸物件を得意とする業者」や「購入物件を得意とする業者」の2種で分けられるわけではなく、「リフォーム事業を手掛けていて、中古物件+リフォームを積極的に売り出そうとしている業者」とか、「買い手の事情を無視して担ボー( http://sumai-u.com/?p=1081 )がつく物件を売ることを優先してしまう営業マン」などなど、業者ごとに、そしてそれぞれの案件ごとにさまざまな利害が存在することです。

 この問題をさらに複雑にしているのは、チラシや看板などを見ても、お客さんのほうからその業者がどんなビジネスモデルで商売しているかを判断するのはむずかしいということです。

 そして、売買が弱い不動産会社であっても、顧客よりも自社の利益を優先するカルチャーのなか、やってきたお客さんに「ウチは売買が苦手なのでほかに行ってください」と言える会社はなかなかないといえるでしょう。都合の悪い情報は顧客に伝えず、自社の利益を確保するのが当たり前のこととなってしまっているからです。

 結論としていえるのは、賃貸か購入かの選択するのは、住む人本人だということ。そのためには、「住まい」の先にある「理想的な生活」がどんなものかをよく考え、できるだけ具体的にイメージできるようにしておくことが重要です。つまり、「賃貸か? 購入か?」を考える前に、「自分はどんな人生を送りたいか?」という問いがあるということです。

 業者の言葉を鵜呑みにするのではなく、「理想的な生活」を追求する先に正しい道が延びているということを忘れないでください。

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