連載・トピックス / 不動産投資

だから大家はやめられない!

大家さん自ら動くことが大切です!

不動産会社に営業をかけて、バス便立地の築古物件でも優先的に客付けしてもらう3つの方法

2017/01/31 林 浩一

いまから6年前、専業大家になった私が父から引き継いだ物件は、最寄り駅からバス15分(徒歩で40分)のいわゆる“バス便立地”で、築年数は25年以上、空室率は30%強と、お世辞にも優良物件とはいえないものでした。ポータルサイトでは検索してもらえない物件を満室にするための方法は、不動産会社を味方にするというものでした。不動産会社の営業マンに自分の物件を知ってもらい、お客さんに紹介してもらうために大家ができる営業方法をお話しします。

父から引き継いだ物件は築古のバス便立地

私が専業大家になったのは50歳のとき、いまから6年ほど前のことでした。それ以前の会社員時から、大家だった父に物件の一部を任されて、兼業大家をやってはいました。ですが、父から物件を引き継ぐことになり、それまで働いていた海外旅行業界を離れて本格的に大家業を始めることになったのです。

 

引き継いだ物件は、最寄駅からバスで15分、徒歩だと40分というバス便立地。しかも、バブル期に建てた築25年以上の築古物件で、空室率は3割強といった状態でした。

父の時代はサブリース(一括借り上げ)でやっていたので、あまり空室率は気にしていなかったようですが、私が引き継いだときにはサブリース契約も終わる頃で、自力で空室を埋めなければならなかったのです。

 

(参考記事)

【サブリース問題】なぜ、あのアパートの「入居者募集」ノボリは一年中なくならないのか?

http://sumai-u.com/?p=6344

 

不動産会社との関係づくりのため自分で動くことを決めた

とはいえ、考えてみれば、私はそれまで旅行業界で、常に「空いている空間を埋める」仕事をしてきたといえます。お客さまの予約を取ることで、ホテルの客室を埋め、レストランのテーブルを埋め、航空機やバスの座席を埋めてきたのですから。

 

もちろん、そういった「空間を埋める仕事」を、私ひとりで続けてこられたわけではありません。現地の旅行会社やホテル、レストラン、航空会社やバス会社など、多くのパートナーが協力してくれたからこそビジネスとして成立し、共に利益を上げて潤うことができたのです。

 

これは、大家業も同じです。大家業のパートナーといえば、不動産仲介業者不動産管理会社リフォーム会社などがあげられます。こういった人々と良好なパートナーシップが結べれば、大家業もきっとうまくいくはずです。

そこで私は、不動産会社と良好な関係を築くために、自分で営業に回ることを決めました。

 

(参考記事)

「貸しにくい」物件を楽しみながら満室にした私の営業方法

http://sumai-u.com/?p=3679

 

営業マンに自分の物件を知ってもらうことの大切さ

私が、自分から営業に動こうと考えた理由はもうひとつあります。それは、先ほどもお話したように、私の所有する賃貸物件が、最寄り駅からバスで15分というバス便立地だからです。

 

スマホ時代の今日、賃貸物件を探している人の8割以上がSUUMOやHOME’Sといった不動産ポータルサイトを利用しているといわれます。ですが、「駅から徒歩40分」という物件は、ポータルサイトで検索してもらえることはまずありません

なぜなら、ポータルサイトで「駅徒歩○分」という検索条件を入力する場合、私が知る限り、最長でも「駅徒歩20分以内」までの選択肢しかないからです。

 

つまり、ポータルサイトを見た人が私の物件を発見する可能性は「ほぼゼロ」ということです。そのため、入居者さんを見つけるには、不動産会社の営業マンに物件を紹介してもらう必要があります。いくら待っていても入居者がやってこないのであれば、こちらから動くしかありません。

 

そもそも、これだけたくさんの賃貸物件があるなかで、不動産会社の営業マンといえども、どこにどんな物件があるのかすべてを把握しているわけではありません。

部屋探しをしている人に物件を紹介するときには、ほとんどの営業マンは不動産会社専用の物件データベースを使って紹介する部屋を探します。

 

ですから、営業マンがお客さんに物件を紹介するときに、「林さんの物件はどうだろう?」と私の物件を思い出してくれるような関係をつくれたら、それほど心強いことはありません

そのためにも営業マンに自分の物件を知ってもらい、覚えてもらうことは、とても大切なことなのです。

 

前置きが長くなってしまいましたが、実際に私がどんなことをしたのかご紹介していきましょう。

 

<方法1>自分の足で不動産会社200社を訪問

まず私は、自分の物件を知ってもらうために、地元の不動産会社を1軒ずつ訪問することを始めました。徒歩と自転車で、1カ月かけて200社以上を回ったでしょうか。

 

ほとんどすべて飛び込みで訪問し、営業担当者に挨拶をさせてもらって、マイソク(間取り図や地図などをまとめた物件資料)を置いてくるのです。

 

なかには、「いま忙しいから」と相手にしてくれないこともありましたし、「大家さんがわざわざ何をしにきたの?」と不思議がられることもありましたが、ほとんどの業者さんはきちんと話を聞いてくれました。訪問した不動産会社は200社以上、そのうち、およそ150社の営業マンと名刺交換することができました

 

<方法2>空室情報やアップデート情報をこまめに送る

名刺交換ができれば、営業活動は一歩前進です。私は、いただいた名刺をもとに、不動産会社のリストを作成しました。そして、毎週末に所有する物件の空室情報や、「植栽を手入れしました」「壁紙を貼り替えました」といった写真付のアップデート情報を、ファックスやメールで150社に送信し続けたのです。

 

最初は何の反応もありませんでしたが、続けていくうちに不動産業者さんから少しずつレスポンスがくるようになりました。

たとえば、「物件をお客さんに紹介する前に一度見せてほしい」といったリクエストをいただいたり、その会社のサイトに物件を載せていただいたりといったことが少しずつ増えていったのです。

 

<方法3>マイソクや立て看板を自分で用意する

不動産会社に許可をもらって、店頭にA型看板を置かせてもらうことも

先ほどもお話しましたが、不動産会社を訪問する際には、マイソク(間取り図や設備などをまとめた物件資料)を置いていきます。マイソクは、管理会社さんが作成してくれたもののほかに、自分でもカラー写真を使ったオリジナルのものを作成し、捨てられてしまわないように一枚一枚ラミネート加工しておきました

 

また、不動産会社が許可をくれた場合には、A型看板(飲食店など店舗の入り口によく置かれている立て看板)にマイソクを貼り付けて店頭に置かせてもらいました。ただ置かせてもらえるようにお願いするだけではなく、朝の設置と夕方の撤去まで自分で行なっていました

A型看板は、ネットショップを使って自分で購入したものです。値段は5000円くらいのものからいろいろありますので、興味のある方はご覧になってはいかがでしょうか。

 

ほかには、スマホを使ってプロモーション映像や写真を撮っておき、興味をもってくれた営業マンには、その場で見てもらうということもしていました。

 

こうした営業活動の結果、お客さんに私の物件を紹介してもらえるようになり、空室がだんだんと埋まっていったのです。

いまでは、「林さんの物件を紹介したいお客さんがいるんですが、空室は出てませんか?」と不動産会社から問い合わせをくれることもあるようになりました。

 

自分から行動する大家になることが大切

最後に、大家自らが動くことの大切さがわかるエピソードをご紹介しておきましょう。

 

私の大家仲間で、建て替えたばかりの駅近物件を所有している人がいます。仮にAさんとしておきましょう。

Aさんの物件は、最寄駅から徒歩数分のとても素敵な物件なのですが、なかなか空室が埋まらず、大手ポータルサイトにも掲載されているのに、内見の申し込みもないといいます。

 

私もその物件を見学させてもらったことがありますが、この物件ならすぐに内見希望者が現れてもいいはずです。私は「おかしい…」と思い、Aさんにいろいろ質問してみました。

すると、Aさんは、自分の物件情報がどのように掲載されているのか、ポータルサイトをチェックしたことがないというのです。Aさんいわく、「すべて管理会社さんにおまかせしてるから…」。

 

そこで、ポータルサイトをチェックしてみると、そこに掲載されていたのは、なんと建て替え前の古い物件の写真でした。しかも、実際は「駐車場あり」なのに、駐車場なしの物件として紹介されていたのです。これでは内見の申し込みがないのもうなずけます。

 

ポータルサイトに情報を掲載するのは、不動産管理会社の仕事ですから、結論から言えば、管理会社の担当者が間違った情報を掲載していたのです。ミスはあってはいけないことですが、管理会社の立場になれば、ある程度しかたないところがあります。

 

不動産管理会社は多くの物件を管理しており、大手ともなれば、数万といった部屋を取り扱うこともあるでしょう。そうなると、どうしても情報を書き漏らしたり、物件写真を取り違えたりといったこともでてきてしまいます。

ですから、大家としては管理会社にすべて丸投げするのではなく、自分の目で管理会社の仕事ぶりをチェックし、ときにはフォローしていくことが必要でしょう

 

最近、首都圏の空室率が30%を超えたと大手新聞各紙・テレビなどで報じられています(すべての物件を対象にしているのではありません。募集戸数÷募集建物の総戸数。募集中・空室発生中の物件の空室率を表しています。満室の物件や空室があってもポータルサイトなどで募集をしていない物件は含まれません)。

しかも、今後、人口は減少していきます。人口が増えていくと言われる東京都でさえも、高齢化が急速に進んでいき、これから賃貸経営はいっそう厳しくなっていくでしょう

自分から考え、行動していくことが大家さんにもますます求められるのではないでしょうか。

 

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