連載・トピックス / 不動産投資

だから大家はやめられない!

それでもサブリース問題はなくならない

不動産投資・相続をするなら「土地活用の○○」にだまされるな!

2016/10/01 林 浩一

この9月から、企業が大家とサブリース契約をする際、「借り上げ賃料を減額することがある」といった事項を書面に明記し、口頭で説明することが国交省の指導で義務化されることになりました。ですが、義務が課せられるのは一部の業者だけで、しかも「一括借上げ」をセールストークにするハウスメーカーの営業マンは規制の対象にはならないのです。

改めて「サブリース契約とは?

この2016年9月から、企業が大家とサブリース契約をする際、「借り上げ賃料を減額することがある」といった事項を書面に明記し、口頭で説明することが国交省の指導で義務化されることになりました。

これまで私は、この問題を何度か話題にしてきましたが、改めて説明すると、サブリース契約とは、サブリース事業者が大家から一定期間、部屋を一括で借り上げ転貸することです。大手ハウスメーカーが賃貸物件を建設し、そのハウスメーカーの系列管理会社がサブリース事業者としてサブリース契約を交わすというのが主流になっています。

私の地元である神奈川県でも、大手ハウスメーカーが建てた賃貸アパートで1年中、「入居者募集」のノボリが立っている物件をよく目にします。一件一件調べたわけではないので、確かなことはいえませんが、「30年一括借り上げだから大丈夫です」(最近では、35年以上の一括借り上げも出てきています)とか、「ただ建物をを提供するだけで不労所得が入ってきます」といった甘い言葉にのせられて建てた物件がほとんどなのではないでしょうか。

都合の悪いことは伝えないまま契約を取っていた!?

そんななか、「借り上げ賃料を減額することがある」ことの説明が義務化されたことは、とてもよいことではないかと思います。

実際、契約時に「30年間の一括借り上げ」だけをアピールされて、「家賃が下がることがある」と説明されないまま契約してしまったケースがあるということです(家賃見直しに関しては、契約書には小さく書かれている場合が多いようです)。

新聞でも、都合の悪いことは何も言わないまま契約を取っていたという元営業マンのコメントが記事になっていましたから、そうした実態があることは間違いないのでしょう。
なかには、強引に契約解除を要求されるようなケースもあり、かなり悪質なものもあるようです

国交省の制度改正が完璧なものではない理由

ただ、ここで注意しなければいけないのは、説明義務を負っているのは一部の事業者だけ、ということです。

今回、説明義務を課されることになったのは、名称が長いのでカッコ書きしますが、国交省が運営する「賃貸住宅管理業者登録制度」に登録している会社だけで、全体の1割程度といわれています。つまり、9割の事業者は説明義務を負わないということです。

また、「賃貸アパートを建てませんか? 相続税対策になりますよ」と「一括借り上げ」をセールストークに営業をかけてくるのはハウスメーカーの営業マンです。ですが、ハウスメーカーとはアパートの建築請負を結ぶだけです。実際にサブリース契約を結ぶのはハウスメーカーではなく、その系列の管理会社なのです。こうしたサブリースビジネスの構造的な問題点も見逃せません。

ハウスメーカーの営業マンが「一括借り上げ」をセールストークに使うのであれば、営業マンに対しても「家賃が下がることがある」と説明する義務を負わせるべきと考えるのは私だけでしょうか。

ですから、今回の国交省の制度改正は完全なものではなく、「入居者募集」のノボリが1年中立っている物件を減らす決定打にはならないというのが私の正直な感想です。

大手メディアも報じられないサブリース問題

最近、テレビや新聞などの大手メディアでDIYリフォームやリノベーション物件の話題が取り上げられることはあっても、サブリース問題のような負の側面が報じられることがめったにないのはとても残念なことだと思います。

私が目にした例では、テレビ東京のワールドビジネスサテライト(WBS)が町田市や相模原市の大家さんを取材して、「神奈川県の空き家率35%に急上昇」と報じていました。

大手ハウスメーカーは、テレビ局や新聞社にとっては、たくさんのCMや広告を出してくれるスポンサーです。そのCMがテレビの看板番組の合間に流されていたり、新聞の一面を大きく広告が出ていたりするのを見ると、大々的に報じることができない理由がわかるような気がして悲しくなります。

うまい話にのせられて泣き寝入り、なんてことにならないよう、大家側が自衛することが、いまのところは最善策といえるのかもしれません。

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