連載・トピックス / 不動産投資

カリスマ空室コンサルタントが
教える不動産投資のリアル

その物件、売りますか? 持ち続けますか?

不動産投資・賃貸経営からはこのタイミングで撤退しなさい

2016/07/20 尾嶋健信

不動産投資をやっていると、「いつ物件を売却するのか」という問題が立ちはだかります。思うように収益が上がらない物件はいつ見切りをつけるべきか、利益は出ているけれど経年とともに家賃を下げざるを得なくなった物件をどうするか。今回は、物件の売却、賃貸経営からの撤退について私なりの考え方をお伝えします。

賃貸経営は少なくとも3年間続けてみるべき

 不動産投資を考えている人に、ときどき、次のような質問を受けます。「不動産投資で賃貸経営を始める場合、もし、思い通りの利益が上げられなかったら、何年くらいで見切りをつければいいのでしょうか」。

「始める前から、そんな弱気でどうするんですか」と檄を飛ばしたいところですが、そう聞きたくなる気持ちも、わからないではありません。なぜなら、利益の上がる見込みのない投資をいつまでもダラダラ続けていても、結局、時間とお金の大きな無駄になるのですから…。

 そこで、一度始めた賃貸経営をいつまで続けるのかについて、私からのアドバイスはコレです。

「少なくとも3年間は頑張ってみましょう!」。

なぜ3年間は続けたほうがいいのか?

 まず、賃貸経営を1年間続けて、春・夏・秋・冬という四季を一通り経験すれば、賃貸経営とはどういうものなのか、初心者にもわかるようになります。逆に、最低でも1年間続けなければ、賃貸経営について語る資格はないともいえます。

 さらに、賃貸経営を3年間続けていれば、あなたの所有しているアパート・マンションについて、データ的に分析できるようになります。その際、最も有効なデータが「平均入居率」です。

 入居率とは、「(1−空室数/全居室数)×100(%)」の式で割り出されます。たとえば、居室数16のアパートで空室が3室あれば、(1−3/16)×100=81.25で、入居率は81.25%になりますね(ちなみに、入居率は最低でも80%、都心部であれば85〜90%は確保したいところです)。

 この入居率は、年度替わりの転居シーズンである3〜4月、新婚さんなどでファミリー物件が動く4〜6月の繁忙期、6〜9月の閑散期など、季節ごとに変動するものです。そこで、入居率の通年平均値を取ったり、3年間の月別平均値を取ることで、あなたの所有するアパート・マンションの抱える問題点が明らかになります。そこから、入居率を高めるための対策を立てることも可能になります。

 このように、賃貸経営を3年間経験すれば、それまでの経営状態がかならずしも芳しくなかったとしても、データを分析することで、改善への道筋が見えてきます。だから私は、少なくとも3年間は賃貸経営ビジネスを続けるべきだと考えるのです。

不動産の売却は、所有して5年以上経ってから

 では、一度所有したアパート・マンションは、一生持ち続けるべきなのでしょうか。

 私もさすがに、そこまではオススメしません。個人の不動産投資家として、賃貸経営という経験を3年間積み上げた結果として、「不動産を売却する」あるいは「賃貸経営ビジネスから撤退する」という決断を下すのであれば、それもまたアリでしょう。

 ただし、注意すべき点がひとつ。購入した不動産物件を5年以内に売却すると、所得税が割高になります。

 不動産を売却して利益を得る場合、その不動産の所有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」、5年を超える場合は「長期譲渡所得」とみなされ、それぞれ、課される税率が違ってきます。

 短期譲渡所得の場合の税率は、所得税30%(+復興特別所得税)、住民税9%。長期譲渡所得の場合の税率は、所得税15%(+復興特別所得税)、住民税5%。

 たとえば、譲渡所得が2000万円だった場合、所有期間が5年を超えていれば406万3000円の税金ですむのに、所有期間が5年未満の場合の税金は792万6000円。譲渡所得が同じでも、税金は2倍近く余分に取られるのです。

 ですから、不動産を売却する場合は、所有して5年以上経ってから売るほうが絶対にお得。もちろん、早く売ったほうが、「所有して5年後より明らかに高く売れる」と判断できるのであれば、話は別ですが。

売却すべきか、持ち続けるべきか

 とはいえ、個人的には、購入した不動産物件はいまのところ、できるだけ持っていたほうがいいと思います。というのも、不動産物件を売って売却益を得たのはいいけど、次の投資先がなかなか見つからず、売却益が“死に金”になってしまうケースを実にしばしば見かけるからです。

 仮に、あなたが5年前にある賃貸用アパートを購入していたとしましょう。いま、不動産価格は総じて高騰していますから、築5年の中古物件でも、そこそこ高く売れると思います。もしかすると、購入時に融資してもらった銀行ローンを全額返済しても、数千万円単位の利益が残るかもしれません。

 そこであなたは、その数千万円を元手に、次の投資用不動産物件を物色し始めることになるでしょう。そしてそのとき、ふと気づくのです。「いい出物は、意外とないものだなあ…」と。

 不動産価格が高騰しているいま、投資用不動産物件の表面利回りは、5年前に比べてかなり下がっています。5年前の、表面利回り7〜10%の物件を知っているあなたには、最近の表面利回り4〜5%の物件を見ても、おそらく物足りなく感じるはず。そこで、「もっといい物件があるはず」と次々にスルーしているうちに、時間ばかりが過ぎ、いつまで経っても不動産投資が始められない…という事態にもなりかねません。

 そうなると、不動産の売却で得た数千万円も、ほとんど金利を生まないまま、銀行口座に“死蔵”されることに。こんなことなら、不動産を売らずに持っていたほうが、長い目で見れば利益が上がったはずです。

 いや、売却益を死蔵しているだけなら、それほどの被害はありません。少なくとも、損はしていないのですから。要注意なのは、「国内の不動産投資は儲からないから」と、怪しげな海外投資に手を出すケース。海外投資で、それまでの売却益をそっくり失ってしまった人を、私は何人も見ています。

 というわけで、あなたの賃貸経営ビジネスが明らかな損失を出していないのであれば、いま所有している不動産は持ち続けておいたほうが無難だといえます。

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