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大友健右が斬る!不動産業界オモテ・ウラ

私が不動産業界の改革を志したワケ

不動産業界を本音でぶった斬り

2015/12/25 大友健右

「レモン市場」とは、売り手が買い手に対して商品の正しい価値を知らせず、粗悪な商品しか出まわらなくなってしまった市場のこと。「レモン市場」では、一般の顧客が自分でも気づかないままに損をさせられることが起きています。この連載ではそんな不動産業界の「実際のところ」を本音で語ります。

なぜ私は大手不動産建設会社を辞めたのか

 2009年8月、私は11年間勤めた大手不動産建設会社に辞表を提出しました。このとき、想いをともにする仲間10人も同時に辞表を提出し、私についてきてくれました。当時の私は東京エリアの統括責任者という立場にいましたから、多くの人から裏切り者といわれ、仲間にも悔しい思いをさせてしまいました。

 しかし、後悔する気持ちは微塵もありません。なぜならこの行動は、「レモンの原理」がまかり通っている不動産業界を改革するために絶対に必要な行動だったからです。

「レモンの原理」とは?

 レモンの原理とは、ノーベル経済学賞を受賞したジョージ・アカロフ教授が提唱した学説で、アメリカの中古自動車販売業界に存在した業界用語がその語源となっています。この業界では、程度が悪いにもかかわらずそれ以上の値段で売られている中古車を「レモン」、逆に程度のよいものに割安の値段がつけられている商品を「ピーチ」というのです。

 こうした業界用語、すなわち隠語は、売り手が買い手に対して商品の正しい価値を知らせず、自分の利益を優先していることから生まれます。売り手は儲けの薄いピーチを買い手から遠ざけ、レモンを売りつけることに積極的になります。その結果、市場には粗悪で割高のレモン商品ばかりが出まわるようになるのです。

 アカロフ教授はそのような市場をレモン市場と呼び、やがて業界全体を衰退に向かわせることを指摘しています。売り手が情報を囲い込み、自分の利益を上げることを優先するアンフェアな状態が買い手を退け、活性化の勢いを削いでしまうのです。

 ちなみにこのレモンの原理を説いた論文が発表されたのは、1970年のこと。以後、半世紀に近い月日が経ち、時代は大きく変わりました。インターネットの登場や情報化社会の到来など、いくつもの要因のはたらきによってレモン市場はアメリカの自動車販売業界に限らず、さまざまな業界から駆逐されつつあります。

このままでは不動産業界に未来はない

 ところが、現代の日本には、レモン市場がいまだに温存されている業界があるのです。それは、不動産業界に他なりません。そこで11年間働いてきた私は内部から業界の様子を見てきただけに、「このままではこの業界に未来はない」ことを確信しました。

 そんな不健全な業界に見切りをつけ、ほかの業界に転職するという選択肢もあったかもしれません。しかし、私と問題意識を共有し、業界全体を改革していくべきだと考える仲間の存在が、その選択を打ち消してくれました。

 消費者にすべての情報オープンにし、公明正大、フェアな市場を構築するためには、不動産業界を根本から改革するしかありません。そのために私はプロタイムズ総合研究所を興して塗装リフォーム業に進出したり、消費者と不動産業者をインターネットで直接つなぐマッチングサイト「ウチコミ!」を立ち上げたりと、さまざまな取り組みに着手していますが、詳しい話は追い追い語っていくとして、まずはこれまでの不動産業界が消費者にとっていかにアンフェアな業界なのかを説明していくことにしましょう。

今回の結論

●「レモン市場」とは、売り手が買い手に対して商品の正しい価値を知らせず、粗悪な商品しか出まわらなくなってしまった市場のこと
●現代の日本の不動産業界は、まさに「レモン市場」をめぐる問題に陥っている
●消費者にすべての情報オープンにし、公明正大、フェアな市場を構築するためには、不動産業界を根本から改革するしかない

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