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不動産取引のプロが教える交渉術

中古マンションの値引き交渉を成功させる5つのポイント。交渉方法、タイミングは?

2017/05/02 秋津智幸

新築マンションの価格が高騰するなか、中古マンションに注目が集まっているようです。もともと価格が抑えられた中古マンションですが、さらに値引き交渉をすることは可能なのでしょうか? 結論から言えば、上手に交渉すれば数十万円から百万円単位の値引きに応じてもらうことも可能です。ここでは、値引き交渉のやり方やタイミングについて説明するほか、値引きに応じてもらいやすい物件についてもお話ししていきます。

値引き交渉のコツはあるのか?

中古マンションに限らず、不動産は高い買い物ですから、できれば少しでも安く購入したいと思うのは当然のことでしょう。不動産を購入する際に、値引き交渉をすることができるのかどうか、疑問に思う人もいるかと思います。

 

結論から申し上げれば、値引き交渉は可能です。

 

不動産はもともとの金額が大きいので、値引き率が小さくても、金額でいえば1カ月分の給料くらいの値引きを実現することもできます。物件の価格が高ければ、場合によっては百万円、千万単位の値引き交渉が成立することもあります。

それでは、中古マンションの値引き交渉を成功させるための5つのポイントを見ていきましょう。

 

<ポイント1>交渉の基本姿勢を知っておく

とはいえ、交渉にはコツや守るべきルールがあります。まずは、中古マンションをはじめとする不動産の値引き交渉を成功させるための基本姿勢を押さえておきましょう。

 

・「価格が折り合えば買う」という意思表示をする

・節度ある価格で交渉する

・タイミングを見て交渉する

 

すべての値引き交渉に通じることですが、中古マンションなど不動産の値引き交渉でも、まず「価格が折り合えば買う」という意思表示をすることが大切です。購入するかどうかわからない人の交渉には応じてもらえません

 

次に、無理な値下げ交渉はしないことです。極端な例ですが、ある不動産会社が仲介する中古マンションに、売り出し価格の半分の価格で指値(値引き希望価格)を入れた人がいました。

さすがにこの申し出は無視されましたが、節度をわきまえた価格での値引き交渉をしなければ、まず取引は成立しません。特に、いまのように不動産価格が高い水準にある状況ではなおさらです。

 

もうひとつはタイミングです。これも不動産に限りませんが、売り主が値引きできるタイミング、あるいは値引きしてでも売りたいタイミングに交渉するのが効果的です。この点については後ほど詳しくご説明しましょう。

 

<ポイント2>物件の種別を知っておく

中古マンションなど不動産物件は、その売り主によって大きくふたつに分けられます。個人が売り主の物件と、不動産業者が売り主の物件のふたつです。

 

まず、市場に売りに出ている中古マンションなど中古物件のほとんどは個人が売り主の物件と考えていいでしょう。個人の売り主から物件を購入する場合、通常は、不動産会社が取引の仲介を行なうため、取引が成立した際には不動産会社に仲介手数料を支払う必要があります。仲介手数料とは、不動産仲介会社に支払う成功報酬です(図表1)。

 

(図表1)一般的な不動産の売買取引

 

一方、不動産業者が売り主の物件ですが、その代表格は新築物件です。新築マンションや新築の建売住宅は、不動産業者が売り主となります。

最近では中古物件でも、不動産業者が売り主の物件が増えているようです。たとえば、不動産業者がマンションなどを安く買い取り、リフォームして再販売する“リノベーション物件”などがその代表格です。

不動産業者が売り主として販売する物件は、俗に「売主物件」と呼ばれます。この場合、不動産業者から直接購入することができれば、仲介手数料はかかりません。買い主にとってこれは大きなメリットと言えるでしょう(図表2)。

 

(図表2)売主物件を直接購入した場合

<ポイント3>「売主物件」は値引きしてもらえる可能性が高い

では、個人が売り主の中古マンションと、不動産業者が売り主の中古マンションでは、どちらが値引きに応じてもらいやすいのでしょうか。タイミングにもよりますが、不動産業者が売り主の中古マンションのほうが、値引きに応じてもらえる可能性は高いと言えるでしょう。

 

個人が売り主の場合、住宅ローンが残っているのであれば、その残債以下の価格では売れない、あるいは仲介手数料などの諸費用を売却代金から捻出するといった事情があり、「この価格を下回る金額では売却できない」という制約があるからです。しかも、個人の売り主にとっては、数十万円の値引きでも非常に大きな金額になりますから、心理的にも値引きに応じにくいと言えるでしょう。

 

逆に、不動産業者が売り主の場合は、基本的に事業として販売しているので、価格には利益や経費が盛り込まれています。事業ですから利益は取りたいですし、最低でもかかった経費分は取り戻したいと考えるものですが、決算期が近いなど事業の状況によっては赤字覚悟で売却する場合もあります

 

先ほど、売主物件であれば仲介手数料はかからないとご説明しましたが、それはあくまでも売り主である不動産業者から直接購入した場合です。

不動産業者が売り主であっても、不動産仲介業者を介して売買契約を結んだ場合には仲介手数料が発生します。仲介手数料は、売り主である不動産業者も支払うことになるため、一般的には売主物件の多くには、経費として仲介手数料分があらかめ価格に上乗せされています(新築マンションの場合は、通常、販売代理の形になるため仲介手数料はかかりません)。

 

そのため、売主物件を売り主から直接購入する場合には、仲介手数料分を値引きしてもらえる可能性が高いと言えるでしょう。

不動産の仲介手数料は、宅建業法で物件価格の3%が上限と決められているので、通常、5000万円の物件なら150万円程度が上乗せされていると考えていいと思われます。仮に、手数料相当額の満額を値引きしてもらうのはむずかしいとしても、ある程度の金額の値引きは期待できるのではないでしょうか。

 

(図表3)売主物件は値引きに応じてもらえる可能性が高い

<ポイント3>値引き交渉すべきタイミングとは?

先ほど、値引き交渉はタイミングが重要ということを申し上げましたが、ここで詳しくご説明しましょう。ここでいうタイミングには「時期的なタイミング」と「取引のなかで切り出すタイミング」のふたつのタイミングがあります。

 

(1)時期的なタイミング

時期的なタイミングでいえば、売り主が不動産業者か、個人かで値引き交渉がしやすいタイミングが異なります。

 

まず、不動産業者が売り主の場合は、年度末やその業者の決算時期が狙い目となります。不動産業者の場合、不動産の販売は事業なので、やはり決算などのタイミングでは、多少安値になっても現金化したい物件が存在するからです。

特に、新築物件の場合は、建物が完成してもなお売り出し中の物件は値引き交渉しやすい物件といえます。建物は完成するとその時点から税金や維持費が発生するため、不動産業者としては、多少値引きしても売ってしまったほうがいいからです。

 

一方、個人が売り主の場合は、なぜ売却するのか、その理由にもよるので、すべてに当てはまるわけではありませんが、売却開始から時間が経てば経つほど価格交渉に応じてもらえる可能性が高くなります。買い換えや転勤などで売り急ぐ必要がある物件であればなおさらです。

検討している物件がいつから売り出されているかといった情報がひとつの指標になると言えるでしょう。

 

(2)取引のなかで切り出すタイミング

取引のなかで値引き交渉するタイミングとしては、“その物件を購入してもいいと思った時点”が交渉のタイミングと言えます。

 

ただし、購入希望は口頭ではなく、購入申込書を提出することで意思表示するのが基本なので、そのタイミングで希望する金額を提示することになります。くれぐれも無理な値引き金額を提示するのは禁物です。売り主の立場に立って、「このぐらいなら…」という金額を提示するのがいいのではないでしょうか。

もし、妥当な金額がわからない場合は、不動産仲介業者の営業マンに相談するといいでしょう。

 

なお、売主物件を売り主から直接購入する場合は、売り主である不動産会社と対面でやり取りしているわけですから、購入の意思がある程度固まった時点から価格交渉が可能かどうか、担当者に相談してもいいでしょう。

また、詳しくは後述しますが、個人が売り主の中古マンションを購入する場合でも、正式な購入申し込みをする前に、不動産仲介会社を通して値引き交渉をすることは可能です。

ただし、どちらの場合でも正式な価格交渉は、希望金額を購入申込書を提出してからと考えておいてください。

 

<ポイント4>値引き交渉で絶対にやってはいけないこと

中古マンションなど、不動産仲介業者が間に入っている物件の値引き交渉では、絶対にやってはいけないことがあります。

それは、不動産仲介業者を飛ばして売り主と直接交渉することです。値引き交渉は、必ず不動産仲介業者を通して行ないましょう。

 

不動産仲介業者を飛ばして、売り主が買い主と直接やり取りすることは、取引慣行のマナー違反とされています。これは逆も同じです。買い主から申し出ても、売り主から買い主に声をかけても、不動産仲介業者を飛ばしてやり取りする事実に変わりはありませんから、必ずあとで問題になりますし、場合によっては取引ができなくなることもあります。

 

不動産仲介業者を介した取引の場合、通常は、正式な購入申し込みに至るまで、買い主の属性(収入や職業などの個人情報)をぼかした状態でやり取りを進めます。

たとえば、「現在、このマンションの購入をかなり前向きに検討されている方がいます。その方は金融系上場企業にお勤めで、年収は1000万円程度、40代の男性で、ご家族4人、不動産の購入は初めてです」といった感じです。

 

買い主の側に購入したいという意思があり、収入面などに問題がなければ、購入申込書を提出する前の段階であっても、不動産仲介業者を通して値引き交渉をすることは可能です。

ですが、なかには仲介手数料を払いたくないという理由で、不動産仲介業者を飛ばして、売り主と価格交渉して、直接取引しようとする人もいるのです。

 

前述したように、正式な購入申し込みがされていなくとも、売り主には買い主の個人情報がある程度は伝えられています。

売り主の立場にしてみれば、不動産仲介会社から聞いている購入希望者とよく似た属性の人から「買いたいと思っているが値引きできるか」という問い合わせが入れば、当然、不審に思って不動産仲介業者に連絡を入れるでしょう。

 

そうなれば、買い主が業者を飛ばして売り主に直接アクセスしたことはすぐにばれてしまいます。売主物件を直接、不動産業者から購入するのでない限り、不動産仲介業者を飛ばして、売り主と直接交渉しようとするのは絶対にやめておきましょう。

 

<ポイント5>値引きは3%を目安に交渉する

ところで、中古マンションなど不動産の価格交渉では、どれぐらいの値引きが可能なのでしょうか

皆さん気になるポイントだと思いますが、こればかりは物件次第なので一概には言えません。また、いまのように不動産価格が高い水準にある状況では、売り主が強気なので値引き交渉そのものがむずかしいとも言えます。

 

ただし、前述したように、売主物件を直接購入する場合(新築マンションを除く)であれば、仲介手数料の金額に相当する「物件価格の3%程度」が値引き可能額の目安となります。

 

売り主が個人の中古物件であっても、販売価格を出す際に値引き交渉を想定して、ある程度の金額を上乗せした価格をつけている物件もあるので、そういった場合には交渉は可能です。その際も、物件価格の3%前後を割引額の目安と考えてください。

 

ここまで値引き交渉のお話をしてきましたが、交渉の基本は相手(売り主)の立場に立って考えてみることです。

そして、ダメで元々と考えれば、遠慮せずに値引きの話をしてみる価値は十分にあります。節度を守って交渉してみましょう。

 

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