連載・トピックス / 不動産投資

だから大家はやめられない!

覚えておきたい「大家の心得」(11)

内見のお客さん用に印象的なスリッパを用意しておくだけで、成約率はグッと高まる

2016/06/11 林 浩一

ポータルサイトで物件を絞り込んで内見をする人が増えたせいか、お客さまの内見の件数が減っているように感じます。そのため内見からの成約率を高めるための工夫が必要になっているのです。部屋を綺麗にすることはもちろん、内見の前に部屋の換気をしておく、お客さま用のスリッパを用意しておくといったちょっとした当たり前の心配りが大きな成果をもたらしてくれます。

汚いままにしておくのはもったいない

 売りに出されている中古のアパート物件を内見するうち、気になったことがあります。それは、入居者が出ていったままの汚い状態の部屋がけっこう多いということです。

 新しい入居者さんを迎える場合、大家としては「原状回復」といって、部屋をきれいな状態に戻しておくのが普通だと思いますが、原状回復どころか、壁紙がはがれていたり、カビが生えているのをそのままにしていたりする部屋をよく見るのです。

 仲介の不動産会社の営業マンのひとりに「少しくらい手を入れたほうが高く売れるんじゃないですか?」と聞いてみたことがあります。すると、「そうなんですよ。私もオーナーさんにそう言っているんですが……」という返事がありました。

 そのオーナーさんはほかにも賃貸物件を持っていて、売りに出すことを決めた物件には気が回らないのかもしれないとのことでした。売りに出すつもりがなければ、次の入居者さんを見つけるために、すぐに部屋を綺麗にリフォームするのでしょうが、売りに出す物件だから…とそのままにしているのでしょう。

 なんとなくその気持ちがわからないでもないですが、でも、もったいないです。クルマだって中古屋さんに売りに出すときは、誰だって洗車してから持っていくはずじゃないですか。家だってそれと同じで、少しでもいい状態にしておくに越したことはないのです。

内見時の「ちょっとした気配り」がモノをいう

 いまお話したのは売り物件の話ですが、賃貸でも同じです。部屋を綺麗にしておくことはもちろん、内見のお客さまにとって心地いい状態にしておくためのちょっとした気配りがモノをいう場合が少なくありません。

 私の場合、仲介の不動産会社の方にお願いして、入居希望のお客さんが内見に来るときは前もって連絡してもらい、時間が許す限り内見に立ち会うことにしています。

 お客さまにいい印象を持ってもらえるよう、準備をするためです。

部屋を換気してお客さま用のスリッパを用意しておく

部屋を換気してお客さま用のスリッパを用意しておく
 準備といっても、それほど手間をかけるわけではありません。まず、1時間くらい前に部屋の窓を開けて、換気をします。空室のまま締め切った部屋というのは、空気が淀んでいて、変な匂いがするものです。そこで、アロマ系の芳香剤をシュッと、ほんの少しだけ吹きつけておきます。これだけの作業で、部屋の印象はだいぶ変わります。

 それから、スリッパも内見のお客さま用にそろえておきます。不動産会社の営業マンさんが持参している場合もありますが、携帯用のペラペラの薄いスリッパの場合も多く、履き心地はよくありませんし、冬などは床の冷たさが直に足の裏に伝わってきて不快感があるものです。そういうことのないよう、ポップな色のちょっぴりオシャレなスリッパを置いておくのです。

 トイレットペーパーも、ポルトガル製のカラフルなものを入れておきます。お客さんのなかには、目ざとく眼にとめて「へぇ、こんなにきれいなトイレットペーパーがあるんですか」と興味を持ってくれることがあるからです。そんなお客さんとの話ははずみます。

 芳香剤、スリッパ、トイレットペーパー、どれも高価なものではありません。お部屋選びはファースト・インプレッションが大きいですから、こんなちょっとした工夫で成約率はぐんとあがるのです。

大家が内見に立ち会う、大きなメリット

 もうひとつ、大家が内見に立ち会うことには大きなメリットがあります。私のアパートを内見しに来る方はファミリーの方々ですから、上の階、下の階、隣の部屋にどんな人がいるかを大変気にします。特にお子さんが小さい方の場合、「泣いたとき、ドタドタと暴れたときにクレームになってしまうのではないか」と心配されているのです。

 不動産会社の営業マンの人たちは、こういう質問には答えられません。物件の立地や家賃などは知っていても、そうした情報を知らないからです。でも、大家の私なら、「同じくらいの年のお子さんがいらっしゃいますよ」と教えてあげることができるのです。同じ子育て家族がいるとわかれば、多少の物音はお互い様ですから、大いに安心できるわけです。

 ファミリーに限らず、賃貸に住む方にとって、その物件にどんな方が住んでいるか気になるものです。その不安を大家として取り除いてあげることも大切です。

 最近、ポータルサイトで物件選びをするお客さんが多くなり、以前のように不動産会社を訪問し、営業マンから物件を紹介され内見に来られるお客様の率が減っています。ピンポイントで目当ての物件を選んでくるので、内見の件数が減っているのです。ですから、こうしたちょっとした気配りで少しでも成約率をあげる努力をすることは重要になっているように思います。

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