連載・トピックス / 不動産投資

だから大家はやめられない!

なぜ定期借家契約は普及しないのか(4)

営業マンの顔を潰さず、内見に立ち会ってお客さんに物件をアピールする方法

2016/03/12 林 浩一

不動産会社の対応は徐々に変わってきたとはいえ、定期借家契約のことを知らない若い営業担当者などは、お客さんに普通借家契約の物件からすすめて林さんの物件を後回しにすることも。そんな場合、林さんが実践していた営業担当者の顔を潰さずにお客さんに直接、物件をアピールするための方法とは?

内見の立ち会いでは、決して出しゃばらないこと

 始めのうちは「定期借家契約だから」という理由で私の物件を敬遠していた客付業者にも、「Wilshire five seasons」という名が広まるにつけ、お客さんにすすめてくれるようになっていきました。

 それでも、20代、30代の若い営業担当者や経験の浅い方の場合、定期借家契約のことがわからないために普通借家契約の物件から先にお客さんにすすめ、私の物件を後回しにする傾向があることがわかってきました。そんなときは、「最後でいいですから、お客さんを連れて近くにきたときはお寄りください」と一人ひとりにお願いしました。

 内見の申し込みは土日が多くなりますが、私は時間の許す限り、内見に立ち会いたいと思い、すべての営業担当者に「来る前に私の携帯に電話してください」とお願いしていました。

 とはいえ、内見の場で出しゃばったことをすると営業担当者に失礼ですから、あくまで「立ち会い」が基本です。営業担当者の運転するクルマを腕組みして待ち構えるようなことはせず、掃除をしたり、花壇の手入れをしたりしながら偶然、そこに居合わせたという体をよそおうことも大事です。

 お客さんに話しかけるときも、「不動産のプロは○○さん(営業担当者)ですが、私はこのあたりで生まれ育っていますので学校の位置やスーパーマーケットの野菜の値段などには詳しいです。何でも聞いてください」と営業担当者の顔を立てるのです。

定期借家契約のメリットをスマートに伝える方法

 内見にやってきたお客さんが知りたいのは、建物のクオリティや立地条件はもちろんですが、それ以上に気にされているのがその地域の雰囲気でしょう。近くに問題を起こすような人がいたり、住民間トラブルが絶えなかったりするような地域は絶対に避けたいと思うのが人情でしょう。「Wilshire five seasons」はファミリー向けの物件でしたから、そういうことを知りたがるお客さんがほとんどです。

 そこで私は、こんな話をするようにしています。

「ウチは定期借家契約ですから、入居者さんのなかに問題のある人はいませんよ。もし、そういう人がいたとしても、再契約をせず、契約満了とともに出ていってもらっていますから」

 すると、多くの方が定期借家契約のメリットに魅力を感じてくれるのです。これを受けて、私は仲介の不動産会社の営業マンさん向けに作成した資料のなかに、次のような一文を添えることにしました。

「この物件は、2年間の定期借家契約(再契約型)です。
 入居者様は通常、お引っ越しをして生活を始めなければ、物件の状況はわかりません。たとえば、物件内に契約を守れない方(夜中に騒ぐ・共用部分を汚す等)が入居していることもあり得ます。この物件では、契約を守れない方とは再契約しません(契約期間が満了したら退去してもらいます)。
 これによって物件全体の環境が良好に保たれます。契約を守る方にとっては、良好な環境で安心して再契約を結べます」

基本的な契約期間を「2年」に設定している理由

 ちなみに定期借家契約では、契約期間の長短は比較的自由に設定できます。この契約方法が当たり前の外国では、最初は半年くらいの短期間で設定し、その物件が気に入ったら2年とか3年といった長期で契約することもよく行なわれています。

 ただ、私が基本の契約期間を「2年」としているのは、従来の普通借家契約での更新が2年で行われるのが慣例なので、それに合わせたためです。保険や保証会社の商品の多くが2年というサイクルをもとにつくられていることも多いので、利用しやすいということもあります。

 また、先ほどの説明の中に「定期借家契約(再契約型)」と書いてあるのは、定期借家契約には大きく別けて「再契約型」と「終了型」の2種類があるからです。

 終了型とは、その物件を取り壊す予定があったり、大家の都合で再契約をしないことが決まっていたりする場合に取り交わすもので、長期で物件を借りたいと思っている人にとっては不利な条件です。一方、再契約型は基本的に長期間借りてもらうことを前提とした契約ですから、そのことを説明に盛り込んでいるのです。

 このように不動産会社にも入居者になってくれるお客さんにも、ていねいに説明すれば定期借家契約の意義は必ず伝わると私は思っています。そして、それが多くの人に伝われば、普及率が3パーセントそこそこに留まるなんてことはなく、むしろこちらのほうが当たり前という状況になると思っています。

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