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増える災害で考える

地震保険が絶対必要な人、そうでもない人

2018/09/20 平野敦之

文/平野敦之

地震災害は一度に多くの被災者がでるため、皆がお金を出し合ってお互いに助け合うという保険本来の仕組みが成り立ちにくい災害です。そのため地震保険は、その加入に際して一定の制限が設けられています。保険料も決して安くないことから、地震保険が必要かどうか迷ってしまう人もいるようです。火災保険との違いを確認しながら地震保険の必要性について考えてみましょう。

■地震保険の加入率と付帯率

地震保険の統計には加入率と火災保険への付帯率の統計があります。地震保険は火災保険に付帯してでないと単独で加入できないため付帯率という統計も出されています。それぞれの直近の数値は次の通りです(出典:損害保険料率算出機構 2017年度)。

・地震保険の加入率(全国平均) 31.2%
・地震保険の付帯率(全国平均) 63.0%

なお2002年度末の加入率は16.4%、付帯率は33.3%ですので、いずれも15年間で倍近い上昇です。地震保険の保険料が値上げされている状況であることを考えると、地震への危機感を持っている人は多いということでしょう。

■地震保険と火災保険の違い

地震保険は火災保険に付けて契約するのがルールですから、契約は火災保険と合わせて一つの契約です。しかし保険としても根本的な考え方や補償される内容についてこの2つは大きく異なります。地震保険に加入するときにはこの違いをよく理解しておかなければなりません。

このように一つの契約で加入するものの、地震保険と火災保険にはその内容はかなり違います。共通していることは地震保険も火災保険も全国平均で保険料を値上げする改定が相次いでいることです。

■地震保険は必要?

地震保険についてよく聞かれる質問がその必要性についてです。先ほど火災保険との違いを確認しましたが、この2つの保険の目的の違いを理解することがとても重要なことです。
地震保険は被災後の生活再建のために加入するものなので、実際に保険金をどう使うかはともかく、保険金だけでは全壊した建物を再築する、再購入することはできません。

保険金額の上限が火災保険の50%と決められているためですが、もちろんこれだけでなく保険料もそれなりにするため、地域や建物構造によっては地震保険に加入することで保険料負担が倍くらいになるケースもあります。

考えておかなければならないのは、被災したときにどのように生活を立て直すかです。保険金だけで家の再築が難しいのは事実ですが、被災して住まいを失えばゼロスタート、あるいはローンがあればマイナススタートです。

こうした負担をどのようなかたちで軽減するかを考えておかなければなりません。特に持ち家の人については、現預金だけで対応するのはなかなか難しいことから地震保険は有効な選択肢の一つです。

最終的には予算もあるので調整が必要になりますが、自分が地震保険の必要性が高いかどうかは知っておくことは大切です。一般的に地震保険の必要性が高くなる人は次の3つです。

・住宅ローンの残債が多い
・現預金などの他の資産が少ない
・被災時に収入が途絶える可能性が高い

住宅ローンの残債が多い人ほど地震保険の必要性は高くなります。また住宅ローンを利用していると頭金などで資産が減少することから、購入から日が浅いと資産が少なくなるため、住宅ローン残高に連動するケースが多いのが現実です。

最も頭に入れておきたいのが収入減あるいは収入がストップすることです。会社員などが転勤などで仕事を続けられるようなケースではまだいいのですが、家業で自営業などをしていて店ごと全壊してしまうと家計全体の収入がストップします。

地震保険だけでは足りない分を建物だけでなく家財にも地震保険に加入したり、他の地震保険の上乗せ補償を検討することも方法です。負担が大きくなりますが、住宅ローンの残高が減少していくことに合せて補償も見直ししていくと負担は軽減できます。

また公的支援に被災者生活再建支援制度などから最高300万円がカバーされることもあるのでこうしたものも頭に入れておきましょう。最近では住宅ローンに自然災害の補償をカバーするタイプもでてきています。住宅購入するにもこれまで以上に地震災害などのことも考慮する必要性がでてきています。

自分の置かれているさまざまな状況を当てはめて利用できる方法を見直ししながら活用してください。


(PHOTO/123RF)

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