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大友健右が斬る!不動産業界オモテ・ウラ

不動産取引をめぐる見えないお金の流れ(8)

売却主が不動産会社に利用されないための知恵(住宅売却のポイント)

2016/02/08 大友健右

不動産取引には、住宅の買い主と売り主、そして両者を仲介する不動産会社の3者の登場人物がいます。そのなかで圧倒的に不利な立場にいるのが、売り主です。何も知らないままでは、不動産会社の「囲い込み」や「まわし」などに利用されてしまうかもしれません。ここでは、売却主が不動産会社に利用されないための方法を説明します。

物件を売却するには、3種類の媒介契約がある

不動産取引には、住宅の買い主と売り主、そして両者を仲介する不動産会社の3者の登場人物がいます。そのなかで圧倒的に不利な立場に立たされているのが、不動産会社の「囲い込み」や「回し物件」などに利用されている個人の売り主です。

そこでここでは、売り主が不動産会社に利用されないための方法を説明しましょう。

売り主が不動産会社に不動産売却の仲介を依頼するには「媒介契約」を結ぶ必要があります。その媒介契約の形態には、「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3つの種類があり、それぞれメリット、デメリットがあります。その違いを以下にまとめます。


(1)一般媒介
・売り主は複数の不動産会社への売却依頼ができる
・不動産流通機構(レインズ)への登録は売り主の自由
・不動産会社に売り主への報告義務はない
・売り主が自分で買い主を探すことができる

※「レインズ」については後ほど説明します。


(2)専任媒介
・売り主は不動産会社1社のみに売却を依頼できる
・不動産流通機構への登録は媒介契約締結後、7日以内に
・不動産会社は売り主への報告義務がある(2週間に1回以上)
・売り主が自分で買い主を探すことができる


(3)専属専任媒介
・売り主は不動産会社1社のみに売却を依頼できる
・不動産流通機構への登録は媒介契約締結後、5日以内に
・不動産会社は売り主への報告義務がある(1週間に1回以上)
・売り主が自分で買い主を探すことはできない


「一般媒介」の「売り主は複数の不動産会社への売却依頼ができる」という条件は、売り主にとっては大きなメリットです。複数の不動産会社に競争させることで、より有利な売り手を選ぶことができるからです。逆に、1社の不動産会社しか売却を依頼できない「専任媒介」「専属専任媒介」は売り主にとってはデメリットです。

すなわち、「専任媒介」「専属専任媒介」ではなく、「一般媒介」で媒介契約を結ぶことが売り主にとっては有利な選択ということになります。

ただ、「一般媒介」が完璧に有利かというと、そうではありません。

というのも、「一般媒介」は不動産流通機構(レインズ)への登録義務がないからです。レインズは、不動産会社が物件情報を共有しているコンピュータ・ネットワークのことで、登録すれば多くの買い主に情報が渡って競争力は高まります。しかし、「一般媒介」の場合、「レインズへの登録は売り主の自由」となっているので、不動産会社に登録することをうながす必要があるのです。

また、「一般媒介」では「不動産会社に売り主への報告義務はない」ため、売り主のほうから不動産会社へ報告をうながさねばなりません。

必要なのは、正しい知識と行動力

注意していただきたいのは、売り主にとってメリットになることは、不動産会社にはデメリットになるということです。

もちろん、その逆も真なりで、「専任媒介」や「専属専任媒介」は、売り主にとってはデメリットが多くても、不動産会社にもメリットになるのです。なぜなら、媒介を1社のみで行なう場合、不動産会社は売り主からの仲介手数料を独占することになり、自社で売却先を見つけることができればその報酬は2倍になるからです(両手取引)。

この両手取引を実現するために、不動産会社が何をしているかは、下記の参考記事に詳しくまとめてありますので、参考になさってください。

(参考記事)
中古住宅がブームのいま、家を売ると大損する3つの理由
http://sumai-u.com/?p=7523

「回し物件」として利用された中古物件の末路
http://sumai-u.com/?p=2282

業界内で当たり前に行なわれている住宅「囲い込み」の実態
http://sumai-u.com/?p=2649


このような不動産会社の思惑にまんまとはめられないために大事なのは、売り主が媒介契約についての正しい知識を身につけ、レインズへの登録や業務状況の報告を彼らにセッセとうながす行動力を持つことといえるでしょう。

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