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大友健右が斬る!不動産業界オモテ・ウラ

業界の悪しきカルチャーを暴く(8)

売るためならサクラまで使う不動産会社の手練手管

2016/04/11 大友健右

購入を迷うお客さんの背中を押すために、営業マンはあらゆる「煽り」の手法を駆使します。「いま決断しなければ後悔するかもしれない」という心理状態にお客さんを追い込んで契約を迫るのです。

売れてなくても売れているふりをする

不動産物件というのは、高い買い物ですから、少しでも不安要素があると購入をためらうのはしかたのないことです。そこで不動産会社としては、いろいろな手を使ってお客さんの背中を押すわけですが、そのための手法に「煽り(あおり)」というものがあります。

たとえば、新築マンションのモデルルームに行くと、壁にバラの花が貼られた成約ボードが置かれています。成約済みの部屋のところにバラの花を貼るのですが、もし、少ししか花がついていなかったら、「このマンションは人気がないんだな」ということが一目でわかるでしょう。逆に、ほとんどの部屋に花がついていたら、「すごい人気だな。早く契約しないと売り切れてしまうかもしれない」と誰でも考えるでしょう。

これが「煽り」の代表的な手法です。はっきり言ってしまえば、成約ボードのバラは販売開始前から貼られている場合さえあります。お客さんをその気にさせるために、売れてなくても売れているふりをするのです。

「契約成立」に至るまでにはさまざまな段階があります。まずは「申込み」があって「仮契約」、「ローンの申請をする」、「ローンの審査が通る」、といった手続きを経て、初めて「本契約」となるわけです。ローンの審査が通らなければ本契約には至りませんし、途中、いつでもキャンセルすることもできます。

ですから、実際には申し込みがない部屋だったとしても、営業マンに「ローンキャンセルになってしまったんです」と言われれば、お客さんはその真偽を確かめようがないのです。

お客さんの競争意識をあおる「サクラ」たち

戸建てや中古マンションの売り出し物件の場合、「サクラ」を使うのもよくある手法です。

物件を内見に行くと、ちょうど入れ替わりで内見を終えて帰って行く人たちがいたり、逆に自分たちと入れ替わりに内見に訪れた人たちがいたりすれば、お客さんとしては、その人たちが買う気になるかどうか気になるところでしょう。

さらに、担当営業マンに「先ほど入れ替わりで帰られたお客様がこの物件を相当気に入られたみたいで、今日にでも話が決まってしまいそうです」などと言われたどうでしょう。少しでもその物件を気に入っていれば、「取られたくない」という気持ちが一気に高まるのではないでしょうか。

でも、内見ですれ違った夫婦は、本当のお客さんではなく、お客さんのふりをした不動産会社の事務のおばちゃんだった、なんてことが当たり前にあるのです。

最後は自分の判断を信じるしかない

これ以外にも、営業マンはさまざまな「煽り」の手法を使ってお客さんの「買いたい」という気持ちをかき立てようとします。営業マンが狙うのは、お客さんに「この先、もうこんな物件とはめぐり合えないかもしれない」と思わせて、「あのとき契約しておけばよかった」と後悔する将来の自分をイメージさせることです。

こうした「煽り」の手法は、違法行為スレスレの悪徳商法とは違って、不動産会社の企業努力によって生まれたものだともいえます。

ほとんどのお客さんにとって、住宅は人生で最大の買い物ですから、決断を迷うのは当然でしょう。ですが、「もっといい物件があるかもしれない」と思い続けていたら、いつまでたっても住宅を買うことなどできません。それに、営業マンがすすめている物件が本当に「この先、もうこんな物件とはめぐり合えないかもしれない」ほどの優良物件だというケースもあるのです。

そう考えると、お客さんの背中を押してあげる行為は、一概に悪いことだとはいえないところがあります。

ですから、物件選びで後悔しないためには、信頼できる営業マンを見つけること、そして、最後は自分の判断を信じて決断するしかないといえるでしょう。
くれぐれも、煽りに負けて衝動買いをすることだけはないようにしていただきたいものです。

今回の結論

●購入を迷っているお客さんの背中を押す手法を「煽り」という。
●新築マンションのモデルルームにある成約ボードはあてにならない。
●お客さんの競争意識をあおる手練手管に惑わされるな。

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