連載・トピックス / 不動産投資

知らずに「違法ロフト」物件のオーナーになっていませんか?

心配はいつか訪れる大地震です

2019/09/02 住まいの大学

文/住まいの大学編集部

画像/123RF

「私の物件、おたくの会社にも募集を頼みたいから見に来てくれ」

ある日のこと。一人のオーナーさんが、そう言いながら図面(マイソク)を手に、仲介会社の店頭を訪れたのだそうです。


早速、スタッフの一人がその物件を見に行ったそうです。


ところが、現場に着いてみると…


(あれ?おかしいぞ)


スタッフさん、建物の外観を目にするなり、すぐに異常に気がついたそうです。建物は木造2階建てのアパートのはずでした。ところが、「1階の窓… 2階の窓…」。さらには「3階の窓も…!」


「あれは何ですか?」と、スタッフが尋ねる前に、オーナーさん自慢げに、


「あの窓を見てください。中はロフトです。立って歩けるくらいの大きなロフトが付いているんですよ。すごいでしょう。今回募集してもらう部屋です」


教えてくれたそうです。


スタッフさん、(これはまずいな)と、ひそかに思いながら、当該2階の空室を案内してもらったそうです。


すると、たしかにそこにはビッグサイズのロフトがありました。


広々とした床面。天井高もかなりのものです。居室と見まごうほどの規模です。


天井に傾斜がついているため、すべての箇所がそうだというわけではありませんが、一部はたしかに、身長170cmくらいの人でも立って歩けます。


例の窓も、外から眺めた以上に立派です。サイズにして90cm四方にも迫るくらいでしょうか。ちゃんとクレセント錠(半月状の回転鍵)も付いた、アルミサッシの引き戸がしっかりと2枚収まっています。


以上、すでにお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、これは、いわゆる違法建築です。


正確には、この建物が、

・3階建てとして建築確認を受けていて
・なおかつ、確認申請したとおりの適正な強度、耐火性能で建てられている

のであれば、問題はありません。


ですが、今回のような状況で、そうなっているケースはほぼ見当たらないのが現実です。


居室として扱わなければならない規模の「ロフト」(小屋裏物置等)を2階の上部に設けながら、

・建築確認申請は2階建てとして行い
・実際にも2階建ての基準で建てられている

といったケースが、おそらくほとんどです。


ロフトのサイズには、法令上の制限があります。


基本はざっと以下の2つです。

1. もっとも高い部分の内法(うちのり)の高さが1.4m以下であること
2. 広さは床面積の1/2未満であること
(個々の状況によってさらに解釈は細かくなります)

つまり、さきほど記した「身長170cmくらいの人でも立って歩ける」ような部分は、ロフトの中には決して存在してはいけません。


さらに「窓」です。


法令上、ロフトに設けてよいのは、窓ではなく、あくまで換気のための開口部です(違いがあまりハッキリしませんが)。


サイズについては、ロフトの面積の1/20以下が基本となっています。「基本」と記す理由は、各自治体による規制が、内容が多少違うかたちでこれに上乗せされることが多いからです。すなわち、

・ロフトの面積の1/20以下であり
・なおかつ、具体的な面積が数値で示されるなど、さらに制限がかかってくる

ことが普通です。


ともあれ、さきほど記した物件にあるような立派な窓が、そうした基準に収まっている可能性は、実態としてほとんどありません。


さて、そこで…


ときどき市場でみられるこうした違法ロフト物件ですが、問題があるとすれば、どこに存在するのでしょうか?


それは地震です。重大な懸念といっていいでしょう。


なにしろ、人が立って歩けるほどのサイズが自慢の、まるで部屋のようなロフトですから、そこは実際にも部屋のように利用されやすいのです。


家具が置かれ、家電が置かれ、本棚なども置かれ…で、かなりの重量物がロフトの中に積み上がってしまうことがよくあります。


すると、どういうことになるのか?


ご想像のとおりです。屋根直下の「小屋裏」にどっさりと重しが積まれた、トップヘビーな建物がそこに生まれてしまうことになります。しかも、その骨組みはといえば、そうしたシビアな環境は想定していない基準に沿った造りです。


となると、皆さん、そんな物件の1階に暮らす勇気はありますか?


少なくとも、若いお子さんをお持ちの親御さんであれば、娘さんや息子さんに一人暮らしをさせる場所として、そんな物件の1階は決して選ばないのに違いありません。


そこで、今回の記事でお伝えしたいこと。それは、そうした物件をオーナーさんがご認識なくお持ちであることが、実は結構多いということなのです。


冒頭のオーナーさんがまさにその一人です。


違法なだけでなく、実際に危険な建物をご自身が賃貸住宅として運営し、そこで何人もの命を預かっているとは夢にも思っていません。


また、管理会社や仲介会社の多くも、そのことに気がついても、わざわざ教えてはくれないはずです。


明日起こるか、100年後に起こるか、誰にも予想のつかない大地震という漠然としたリスクを引き合いに、お客様であるオーナーさんに対して、「あなたの物件は違法建築で、しかも実際に危険です」とは、なかなか言い出せるものではないからです。


そのため、冒頭にご紹介した例でも、スタッフさんは、結局悩みながらも「余計なこと」は言わずに仲介を行っています。


そうしたわけで、以上のようなケースについては、オーナーさんが自ら気づかないと、話がなかなか前に進まないのが現状です。


勇気と決断の要ることではありますが、「ウチの物件がまさにそうだ」と思われたオーナーさんは、自治体の建築指導部署へ、ぜひご連絡されることをおすすめします。


正しく調査を受けたうえで、改修等、どのような対応をすればよいのか、必要な指示をもらうのが最善の選択です。


(文/朝倉継道 画像/123RF)

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