連載・トピックス / 不動産投資

だから大家はやめられない!

メンテナンスや処分のコストはどうなる

投資物件への太陽光パネル設置はおすすめできる? 問題点は?

2016/10/08 林 浩一

以前、アパートを建設したときにハウスメーカーから太陽光パネルの設置を提案されました。私が心配したのは、設置した太陽光パネルの耐用年数やメンテナンス費用です。ハウスメーカーに確認したところ、かなり待たされた末に、驚くような回答を聞くことになりました。今回は、私がなぜ太陽光パネルを設置しなかったのか、その理由をお話しします。

管理会社の倒産で悩みを抱えた大家さん

 先日、私の大家仲間のひとりがあまりに浮かない顔をしているので、「何かあったんですか?」と聞いたところ、こんな打ち明け話を聞きました。

 数年前、その大家さんは太陽光発電に関する投資セミナーに参加して、田舎の遊休地に野立てで太陽光発電パネルを設置する投資を始めたのだそうです。土地代や設備料、設置費などに1500万〜2000万円ほどかかるということですが、発電した電気を電力会社に売電すれば10数年で減価償却ができるとのこと。

 ところが、思いがけぬアクシデントが起こりました。管理を担当する会社が、倒産したというのです。

「でも、会社がなくなっても、太陽光パネルが発電し続けてくれるのなら、問題はないじゃないですか」と私が励まそうとしても、その大家さんの顔は晴れません。

 というのも、太陽光発電は、普段の管理が大切だからです。それに太陽光の発電パネルは、猛毒に近い有害物質を含んでいて、寿命が尽きて処分する際、多額の費用がかかると予想されます。その費用は管理会社が全額負担するか、あるいは折半するのか、現時点では、はっきりしていません。管理会社そのものが倒産して存在しなくなってしまったので、どうやらその責任が投資元であるその大家さんにのし掛かってくることも予想させます。

制度は破綻し、太陽光バブルははじけた

 あとで調べてみると、太陽光事業者がここ数年、相次いで倒産しているというニュース報道をいくつか見つけました。

 そもそもこの投資システムは、東日本大震災および福島第1原発事故を受けて導入された再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)によって生まれたもの。当時の民主党政権が原発依存を減らす目的で、再生可能エネルギーで発電した電力を一定期間、大手電力に全量買い取るよう義務付けたのです。

 ところが、あまりに多くの事業者が参入したことで太陽光電力の買い取り費用が高騰し、政府は買い取り価格を引き下げざるを得なくなりました。その結果、FITの助けに頼りきりだった業者は、次々と倒産していったのです。まさに、「太陽光バブル」は崩壊したのです。

 管理会社の倒産で悩んでいるのは私の知り合いの大家さんだけでなく、もっと多くの人がいるであろうことが想像され、暗い気持ちになりました。

「売電物件」導入の安易な誘い

 実は、太陽光発電については、私自身にもありがたくない思い出があります。2011年に賃貸アパートをオープンしたとき、ハウスメーカーから屋根に太陽光パネルをつけないかという誘いを受けたのです。

 発電したお金が入居者さんに入る「売電物件」にしないかというわけです。東日本大震災の直後でしたから、再生可能エネルギーの関心は世間でも高く、他の物件との差別化になるかもしれないと詳しく話を聞いてみることにしました。

 私が心配だったのは、屋根に設置した太陽光パネルの耐用年数やメンテナンス費用です。性能が下がって発電量が低くなったり、多額の維持費がかかったりするようなら、売電メリットを入居者さんに謳(うた)うことはできないだろうと考えたのです。

 ところが、具体的なデータで示してくださいと何度も催促しても、「メーカーに問い合わせています」などと言い訳されて、いっこうに答えが返ってきません。

 さんざん待たされた挙げ句に提出されたデータを見ると、メンテナンスにはけっこうな費用がかかるし、劣化による発電量の減少も避けられないことがわかりました。当初、パネル設置をうながしてきた営業マンの書類には、そのことに一切触れておらず、甘い見積もりが行われていたのです。

 私がそのことを指摘したとき、相手からこんな言葉が返ってきました。
「入居者さんは、発電量が減少して売電料が下がってきてもわかりませんよ」

 私は耳を疑いました。というのも、その相手というのは、大手ハウスメーカーの営業部長という立場にいる人なのです。入居者さんに安全で快適な住環境を提供するのが大家の使命であり、ハウスメーカーもそのことを理解してくれているのではないかと思っていただけに、ガッカリさせられる言葉でした。

 そんな経緯があって、私は太陽光パネルは設置しないことに決めました。

 再生可能エネルギーは、これからの未来に絶対必要な電力になると私は信じています。ですが、助成金や補助金ありきのシステムでは先々まで続かないでしょうし、強引で歪んだ形の導入はうまくいかないでしょう。このことは肝に銘じておきたいと思います。

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