連載・トピックス / 不動産投資

海外で躍動する日本のデベロッパー

日本に住む外国人入居者さんとの上手な「約束」のし方とは?

2019/08/18 住まいの大学

文/住まいの大学編集部

画像/123RF

阪急阪神不動産株式会社が、タイで進めているマンション分譲事業についてプレスリリースを行っています。発表されているプロジェクトは2つです。いずれも場所はバンコクです。現地のデベロッパー、セナ・デベロップメント社との共同案件となっています。


そのうちひとつは、総戸数約430戸のマンションが建設される「Bang Pho(バン ポー)プロジェクト(仮称)」です。MRT(都市高速鉄道)ブルーラインの延伸により新たに設置される「バンポー」駅近くにタワーマンションが建ち上がります。高層階からはタイの母なる川・チャオプラヤー川の景観が望めるとのこと。タイ好きの日本人も心動かされそうな物件です。


もうひとつは、約260戸のマンションが建つ「Itsaraphap(イッサラパープ)プロジェクト(仮称)」です。こちらもMRTブルーラインの延伸後に生まれる新駅、イッサラパープ駅のすぐそばです。バンコク中心部へのアクセスと周辺の利便性、ともに優れた物件とのことです。


なお、以上2つを加えて、阪急阪神不動産のタイでの分譲マンション事業数は累計13 プロジェクトに。戸数も1万戸超になると発表されています。


ところで、日本国内にいるとあまり見聞きしませんが、日本のマンションデベロッパーは、いまさかんに海外進出しています。人口減少を背景とした国内市場の縮小が今後も否めない中、活路を海外に見出そうとしているのです。


たとえばタイでは、上記の阪急阪神不動産のみならず、三菱地所、三井不動産、野村不動産、東急電鉄、東京建物などがプロジェクトを展開しています。人口と生産が急激に集中していく都会で、交通インフラが整備され、そのことにより住宅需要が増えていくと、効率のよい集合住宅へのニーズが、そこでは当然高まります。


特に東南アジアでは、タイをはじめ、ベトナム、フィリピン、インドネシアなど、いま各地でそうした「沸騰」が起こっているのです。そんな沸騰の現場でたたかう日本の各デベロッパーには、現地の皆さんの幸せのため、国内で培ってきたノウハウを存分に活かしてもらうことをぜひとも期待したいものです。


一方、「外国」「集合住宅」といえば、賃貸オーナーさんに身近なこととして、外国人入居者の増加があります。


この7月、総務省が発表した人口動態調査の結果によると、日本人の人口は前年から43万3239人減っています。対して、外国人は16万9543人増え、266万7199人となっています。過去最多の数字です。


賃貸住宅にとっては、縮小していくマーケットの中に存在する、大変有望な拡大市場ともいえるでしょう。


とはいえ現実には、外国人の方々の多くが日本での賃貸住宅探しに苦労していることも事実です。原因は、やはりオーナーさんの中に外国人の入居を好まない方が多いからです。もっとも、オーナー側も、ただやみくもに外国人を拒絶しているわけではありません。


「一度貸してみたが部屋を汚された」
「騒音などで近所からの苦情が殺到した」


など、実際の経験にもとづいての判断をされている方が、おそらくは少なくないはずです。日本とは違う環境や社会、ルールのもとで育ってきた人々が、悪気なく起こす生活上のミスマッチが、とりわけ生じやすいのが賃貸集合住宅という環境です。


そんな外国人の皆さんを賃貸住宅に迎え入れるに際して、何より重要なのは事前の説明です。日本の賃貸住宅で暮らすためのルールをしっかりと覚えてもらうのです。


ただし、ひたすらルールの暗記ばかり求めても、相手の納得と理解がなければ十分な効果は望めません。納得できないルールは忘れられやすく、しかもルールそのものへの不信感も生むからです。


そのため、多少の工夫は必要です。以下にヒントを2つ挙げてみましょう。


ベテランオーナーさんから学んだ、外国人入居者さんに絡んでよく起こりがちな2大トラブルを防止するためのツボをふまえた工夫です。


1.騒音

騒音に対し、苦情が起こるのは万国共通のことです。大抵どの国の人でも、ルールとその必要性についてはしっかりと納得してくれます。ただし、すれ違いが起こりやすいのは、騒音に対する苦情への理解です。日本の社会では、多くの国とは違ったタイミングで苦情が示されやすいことをぜひ認識してもらいましょう。


日本では、苦情が表面に出てしまったときには、相手の怒りはすでに頂点に達していることが多いのだということです。


「言われてから直す」「言ってくれたらやめていた」ではなく、「言われる前からやらない」を心がけないと、日本では知らないうちに周囲の怒りを呼んでしまい、それが蓄積し、やがて爆発します。われわれの社会の怖い(?)ヒミツを伝えてあげてください。


さらに個別には、物件内で携帯電話を使って話すときの声について注意をするよう指摘してあげるとよいでしょう。多くの外国の皆さんは、日本人に比べるとかなり元気過ぎる声で、電話で話します。


2.原状回復

日本人以上に、原状回復に関してトラブルとなる例が、外国人入居者の場合多いとも聞かれます。たしかに、キズや汚れに対する日本人の感覚は、多くの外国人にとって厳しすぎることも事実のようです。


そこで、ぜひ利用したいのが、国交省のガイドラインです。内容はもちろん、ほぼ日本人の感覚にもとづいたものとなっています。このガイドラインの存在を示したうえで、「日本では原状回復について国の定めた公平な目安があります。これに従って運用しますよ」を約束するわけです。


「キッチンが油まみれで、クリーニング代が莫大です。多少の負担をいただきます」


「私、〇〇人なんだから油の多い〇〇料理を毎日つくるのは当たり前でしょ?なんでこっちに負担が来るの!」


そんな、カルチャーの違いによる終わりのない言い争いを初めから埒外のものにしておくかたちです。


(文/朝倉継道 参照元/阪急阪神不動産株式会社プレスリリース)


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