連載・トピックス / 不動産投資

だから大家はやめられない!

賃貸物件の価値は需要と供給で決まる

満室経営の決め手は「ペット可」物件だった

2016/01/16 林 浩一

駅からバスで15分、空室が3割もある不良物件を引き継いだ林さん。「これより悪い条件の物件があるのか?」いうくらいの、ないない尽くしからの専業大家業のスタートでした。競争力がまったくない物件だったはずが、いまでは満室御礼状態に。その秘訣とは?

とても高かった「ペット可」物件の需要

最寄駅からバスで15分、徒歩だと40分。築25年以上で3割が空室ーー
私が父から引き継いだ賃貸物件は、お世辞にも人気物件とは言えないものでした。利益が出るどころか負債を抱えてしまいかねないものだったのです。

父の大家時代はサブリース(一括借上)でやっていたので、あまり空室率を気にせず経営できました。でも、引き継ぐ頃には借り入れの終わりも近づき、かといってサブリースも切れる状況。のほほんとはしていられません。なりふりかまわず、自力で空室を埋めないといけない時期にさしかかっていたのです。

そこで目をつけたのが“ペット可”物件にすることでした。物件のある横浜市青葉区を歩いていると、犬を散歩している人がとにかく多い。管理会社に聞いてみると、ペット可物件への需要がすごくあったのです。

それも古い物件でもOK。物件自体が少なくて、当時は駅の近くに少しずつペット可やペット共生住宅が建ち始めていました。それでも需要に追いついていなかったので、古い物件でも人気が出たのです。

多くの大家さんは「ペット可」を敬遠する

どうしてそんなにペット可物件が少ないかというと、大家さんが敬遠することが大きな理由です。特に空室を抱える大家さんには「ペット可にしませんか?」という提案が管理会社からあるのですが、まずこの提案には乗りません。

実は私の父にも、こうした提案があったようですが、地主系の大家さんは古くて物件が空いていても、「部屋が汚れるとか傷む」「クレームやトラブルが増える」ことを恐れるんですよね。「それならば空室のほうがいい」というわけです。ニーズがあるのに需要が増えないのはおかしいですよね。

普通は「傷んでも入居してくれればいいじゃないか」と思うのですけど、違うのです。私は、「空いているよりは入居してもらって家賃が入ったほうがいい」という考えだったので、私の独断で全部ペット可物件にしました。そして、成功したのです。この選択をしたことが、ほかの物件との差別化になるのです。

既存の入居者さんの了解を取る

もちろん大変なこともあります。既存の入居者への対応です。いままで住んでいる入居者さんに了解を取らないとまずクレームになります
入居者のなかには動物アレルギーの人やペットが嫌いな人もいるかもしれない。ペット可物件ということで入居したわけではないので、事前に「ペット可にしたいけど問題ありませんか」というアンケートを取って、皆さんから許可をもらい、幸運もあって古い物件をすべてペット可に変更できました。

ペット可にした途端に部屋は次々と埋まり、いまではなかなか空かない状況です
もう2年近以上満室が続く物件もありますバス便立地で、家賃が特別安いわけでもないのに、“ペット可” という価値だけで一気に優良物件に変わってしまうのです。私の所有する物件の周りには、依然、空室が多いのにもかかわらずです。

大家の腰は重い 行動すればすぐに結果へ結びつく

満室物件をつくり出したのは、“ペット可”という需要と供給の関係を見極めて決断しただけです。いまでもペット可の需要があるのに、まだ誰もやりたがりません。それが本当に不思議です。

周囲には同級生や先輩後輩の2代目大家さんは結構いて、実際は空いている物件を持っている。でも、そういうみなさんは話を聞くだけで、実際はペット可にはしていません。普通だったら、たとえば、返済とか残っていれば、空いていることによって厳しい状況になる。地主系の大家はいろんな物件を持っているのであまり危機感を持っていないようです。

でもそれが狙い目。行動すれば結果が出るのに、誰もやらないところに勝機があるんですよね。もともとサラリーマン時代に営業の経験もあったので、自分で動かないとダメだと思っての行動でした。

皆さんは「部屋が傷む」と心配するけど、たとえばそれは敷金を多めに設定することで対応できます。ペットの飼い主はそういうことに慣れているので、敷金が高いことだけを理由に借りることをやめることはありません
さらに、何度もお話するようにニーズがあるのに供給が追いついていない状況なので、家賃を少しくらい相場より高くしても、借り手がついてしまいます。私は借主も大家もWin-Winだと思っています。

運もあったかもしれませんが、現在の満室の状況は管理会社に頼らず「ペット可」という需要と供給の関係を自分で見きわめて決断したからです。
ちょっとしたことで、一気に状況が変わってしまうので、大家業は大変だけど面白いんですよね。

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