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増える災害で考える

火災保険のプラン設計で押さえておきたい5つのポイント

2018/10/23 平野敦之

火災保険は自由化の影響で各損保会社が商品内容の異なる火災保険を販売しています。自然災害や水濡れ事故の増加で収支が悪化する中、多様化する火災保険の補償とプラン設計のポイントについてみていきましょう。(文/平野敦之)

Point1 火災保険の目的と評価額

火災保険は専用住宅であれば、建物や家財を目的に契約します。両方を一つにして契約することも、どちらか一つだけ契約することも可能です。火災保険は建物や家財などに保険をつけますから、はじめにこれらの評価額を決めます。火災保険の評価方法には2通りあります。

・再調達価額(新価額)
・時価額

再調達価額というのは、損害を受けた建物を新たに再築・再購入するのに必要な金額のことです。新品の金額とイメージするといいでしょう。ここから使用年数などを考慮したものがいわゆる時価額です。

「モノ」につける保険は通常は時価評価です。自動車の車両保険は、毎年車両金額が下がっていきますがこれと同じです。しかし住まいの場合、時価額では損害が発生すると、同じ家を再築することができなくなります。これでは生活を立て直すのに支障があるため、再調達価額(新価額)という評価方法があるのです。

なお、現在の火災保険は各社とも再調達価額での契約が中心です。但し昔の各社の共通商品であった住宅火災保険や住宅総合保険などは今も契約があるなら、まず時価額での評価です。以前は最長36年の長期契約ができましたから、現在でも契約が残っています。補償内容や保険金の支払い条件など今の火災保険と違うところが多いので注意してください。
建物を再調達価額で評価する際、評価額は「点」ではなく「幅」があります。仮にある建物を評価したら基準が2,000万円だとすると、2,000万円以外の金額では契約できないのではなく、上下に一定の幅を持たせています。

実務的には実態に合わせて契約すればよいので、建築費が明確であればそれが一番正しい評価方法ですが、不明な場合もあるでしょう。高価な良い材料を使っているなら高めに評価、逆であれば低めに評価することも可能です。評価額が変われば保険料も変わりますので補償以前にこの評価額をチェックしてください。

Point2 火災保険の補償内容

火災保険の補償内容は基本的には各社そんなに大きく変わりません。但し補償プランの組み合わせ方などが違います。一般的な火災保険の主な補償内容は以下のとおりです。

これに「地震、噴火またはこれらによる津波」の補償については地震保険が必要です。

プランの設計とはいうものの、自分で色々選べる損保もあれば、そのようなかたちにあまりなっていない損保もあります。また補償を選べるといっても、例えば「風災・雹災・雪災」はどの損保も一つの補償です。雪国ではないから雪災だけいらないという選び方はできません。

Point3 各社の火災保険の補償設計パターン

損保各社の火災保険の補償設計のパターンは、おおむね3パターンあると考えますが、主には一番はじめの補償の異なるプランを選ぶものが中心です(損保の名称は順不同)。

・補償の異なる複数のプラン(3~6プラン程度)より選択するタイプ 
東京海上日動、損保ジャパン日本興亜、三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保、AIG損保、セコム損保、楽天損保

・基本補償(火災、落雷、破裂・爆発等)をベースに必要な補償ユニットを選択するタイプ
セゾン自動車火災、SBI損害保険、ジェイアイ傷害火災 楽天損保のフリープラン

・不要な補償を自分で削るタイプ
日新火災

水災などは補償の要不要が比較的明確なので不要なら除外すると保険料は安くなります。

Point4 火災保険の保険期間と免責金額設定

火災保険の契約は最長10年間です(地震保険は最長5年)。長期契約かつ保険料の支払いを一括払いにすると安くなります。

現在の火災保険は、すべての補償に免責金額(自己負担額)を0万円から10万円程度まで自由に選べるケースが増えています。例えば5万円で設定すれば火災や床上浸水、盗難など損害額のうち5万円は自腹になりますが、その分保険料は安くなります。なお、住宅火災保険や住宅総合保険など旧来タイプの火災保険は、風災・雹災・雪災の補償に20万円以上の損害が発生した際、自己負担なしに保険金を支払うという条件になっています。現在の火災保険では一部の損保で風災等に類似の条件を選択することができます。所在地や建物構造などを考慮して、一定金額までは自費で修理するという考え方ができるならこうした部分を調整してみましょう。

Point5 必要な補償設計はどこで見分けるか

火災保険のプランを設計、あるいは選ぶ際のポイントは次のとおりです。

・住まいの周辺の立地によるリスクなどを国土交通省のハザードマップの確認(建物構造も考慮する) 

国土交通省ハザードマップ:https://disaportal.gsi.go.jp/

・保険目的(建物・家財)の選択

・評価額のチェック、許容できる免責金額の設定、補償内容、契約期間を決定(長期契約ほど安い)

この流れで進めながら、最終的には予算とのすり合わせをして落としどころを探してください。なお、火災保険や地震保険は改定が続いていることから、長期契約した場合でも改定動向はチェックするようにしてください。

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