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大工の嫁が教える家づくりの落とし穴

「自然素材住宅」に潜む落とし穴

無垢材を使っていい場所、ダメな場所

2016/01/04 岩崎未来

「無垢材」とは、伐採した木をそのまま製材・加工したもの。最近では、その風合いや機能性から積極的に無垢材を使って家を建てる人が増えています。今回は無垢材のメリット、デメリット、さらに使うときに気をつけたいこともお話しします。

「大工の嫁」だからこそ知れること、書けること

 わたしは、「家」にあまり執着がありません。子どものころから引っ越す機会が多く、おとなになってからはそれが一種の“趣味”のようなものとなり、3年に1回は引っ越しをしている人生です。その都度訪れる変化や新しい環境を、わたしは楽しんできました。間取り図や内装を見たり考えたりするのは好きですし、おかげでなかなか目は肥えていると思っていますが、建築に関してはまったく無知の素人でした。

 そんなわたしが、偶然か必然か、「家」を造る「大工さん」と結婚しました。しかも、古き良き木造住宅を好む、昔ながらの職人気質な人。「一級建築技能士」という、取得が難しいとされる国家資格も持っています。

 そんな夫の話を聞いていると、家を建てるにあたって、たくさんの“落とし穴”があることに気づきました。私はたまたま知ることができましたが、多くの人は、“落とし穴”に気づかないまま「夢のマイホーム」を手に入れるわけですから、あえて知る必要もないのかもしれません。

 ただ、ふたりの子どもにも恵まれた今、わたしは「すべてのリスクを知ったうえで、ベストなマイホームを手に入れたい!」と思っています。「家」に執着がなかったからこそ、同じお金をかけるのでれば、徹底的に執着します(笑)。そんな私が、「大工の嫁」という立場だからこそ知れること、書けることを皆さんにお伝えしていきたいと思います。固苦しく考えず、気楽に、毎回おつき合いいただければ幸いです。

無垢材にはメリットがたくさんあるけれど

「無垢材」とは、伐採した木をそのまま製材・加工したもの。つまり、ベニヤや合板のような貼りものではなく、自然そのものを使った材料、ということです。最近では、その風合いや機能性から積極的に無垢材を使って家を建てる方も多く、“自然素材でつくる家”を謳ったハウスメーカーや工務店も増えてきています。

 確かに無垢材を使うことによるメリットはたくさんあります。まず、木は伐採されたあとも呼吸を続けるため、湿度を調節してくれるほか、夏は涼しく冬は暖かい、という効果もあります。そして、狂いなく建てられた木造建築の耐震性は、鉄骨やコンクリートでつくられた家を上回るそう。見た目もナチュラルモダンな雰囲気が出ますし、室内に木の香りが漂って、一石二鳥、いや五鳥くらいあるかも!

 ……と思い、ありとあらゆる場所に無垢材を使う方も多いようですが、それはもしかしたら大きな間違いかもしれません! 前述のとおり、無垢材にはたくさんメリットがありますが、デメリットだってあります。さらに、使う場所や木の種類もよく考えないと、せっかく高いコストをかけて建てた家が台無しになってしまうことも。

木の伸縮でフローリングに隙間が

 まず、いちばん多く無垢材を使う場所が、リビングのフローリング。前述のとおり、木は呼吸を続け、湿気を吸ったり吐いたりしてくれるわけですが、その過程で木が伸び縮みするのです。そうすると、フローリングの板の隙間も伸び縮みし、そこにゴミが溜まったりして、掃除の手間が出てきます。

 腕のよい大工さんがしっかりつくった家であれば、そこまでの狂いはでないようですが、格安のハウスメーカーで建てた家や建売住宅などでは、木の伸縮による狂いが比較的生じやすいようです。それから、飲み物などをこぼすと“無垢”なので染み込みやすく、染み込むとなかなか落ちない、というデメリットもあります。

広葉樹を使ったほうが傷がつきにくい

 そして、小さいお子さんがいる場合に特に気をつけたいのが、木の“硬さ”です。ものを落としたときや、おもちゃの車に乗ってブーブー走ったときなどにできる、傷。やはり“無垢”なので傷つきやすく、「無垢材を使ったら家が傷だらけになってみっともない……」なんて声もよく聞きます。

 ここで重要なのが、使う木の種類。日本の無垢材として使用されることの多いスギは、実は非常に柔らかく、傷がつきやすい木です。一般的にスギなどの針葉樹は柔らかいものが多く、広葉樹のほうが硬く、傷がつきにくいのです。

 ただ、広葉樹のほうが高コストになってしまうことが多いのですが、長い目でみたら、傷のつきにくい素材を最初から採用しておいたほうがよさそうです。まず、家を建てる前に木の種類や硬さをしっかり調べる。そして、サンプルをそろえていてしっかり説明してくれるメーカーや工務店にお願いするのが安心ですね。

脱衣所やキッチン、水周りにはおすすめできない

 それから、脱衣所やキッチン、トイレなどの水回りに無垢材を使用するのはおすすめできません!前述のとおり、無垢材は水分を染み込みやすく、染み込むと落ちません。そしてそこにバスマットやトイレマット、キッチンマットなどを敷いたままにしておくと、カビが生えてしまうことも。

 無垢材は本来カビが生えにくいものですが、自然素材であるがゆえ、長く密閉されて呼吸のできない状態になると、とても弱いのです。もしもすでに無垢材を使っている場合は、マット類は敷きっぱなしにしないことをおすすめします。

 また、樹齢が長く、しっかり乾燥させた木を使っていないと、ひび割れやねじれが起きることもあるのだとか。「低コストで自然素材の住宅が建てられる」ことを売りにし、たくさんの家を建てているメーカーだと、乾燥期間が短かったり、若い木を使っていたりする可能性も高いです。やはり、「安いものはそれなり」だということを頭に入れておいたほうがよいかもしれませんね!

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