連載・トピックス / 不動産投資

だから大家はやめられない!

「再契約型」で良質な住環境を提供する

私が大家として「定期借家契約」を選んだ本当の理由

2016/02/13 林 浩一

皆さんは「定期借家契約」をご存知でしょうか? 「普通にアパートを借りる場合の契約とは何が違うの?」などと疑問に思う人も多いかもしれません。その理由は2000年に始まった新しい制度であり、不動産業界でもまだまだメジャーではないからです。そんな契約を、なぜ私は選んだのでしょうか?

“定期借家”と“普通借家”の違いとは?

 まずは、“定期借家契約”の前に“普通借家契約”をご説明します。普通借家契約の基本的な考え方は「更新」です。つまり、貸し主側が契約期間満了に伴い終了させようとしても、「正当事由」がなければ、借り主に対して契約更新の拒絶ができないのです。

 そしてその「正当事由」は、多少の契約違反では認められない傾向にあります。いったん部屋を貸してしまうと、大家にとって継続入居を望まない入居者さんであっても、簡単には退去してもらえないのです。

 一方、定期借家契約では、定められた契約期間が満了すれば必ず契約が終了することになります。契約終了後も部屋に引き続き住む場合は、「再契約」を行なうのです。つまり普通借家のような「更新」を前提としていないので、貸し主と借り主が取り決めた契約期間がしっかりと守られる、イーブンな関係となるのです。

定期借家はグローバルスタンダード

 これを導入した理由ですが、それはまずグローバルスタンダードだからです。専業大家になる前には、仕事柄、いろんな国に住みましたが、どこも定期借家契約でした。日本流の更新がある普通借家は海外では理解できないのです。

 でも、よく考えればそれは当然です。いろんな問題を起こす入居者の契約が切れても、出て行ってもらうことがむずかしいなんておかしいですよね。

 入居者の一部にそういう人がいた場合、物件全体に大きな問題が生じます。そういう人たちが居座って、善良な隣人が我慢できなくなって出て行くこともあります。さらにその空いていた部屋に新たな入居者が来ても、また騒音などの問題で出て行ってしまう。そのような状況が続くのです。

 普通借家契約では、そんな問題入居者を立ち退かせるのは訴訟を起こさないといけないし、時間もお金だってかかる。まして、そんな不条理な人に出て行ってもらうのに立退料を払う必要だってありました。泣き寝入りですよね。

「お互いに約束事を決めて、守れなかったら再契約できないのは当たり前」。善良な入居者さんを守り、住みよい住環境を整えることを第一に考え、私は定期借家契約を導入しました。

普通に暮らしていれば定期借家は怖くない

 でも入居者さんとしては、「契約が終わったら、立ち退きを迫られるんじゃないか」などと、ちょっと不安ですよね。

 これを解消するために、契約書には再契約をしない場合の具体例を示しています。「滞納は◯回以上、騒音問題やゴミ出しは◯回︎以上のルール違反があった場合は再契約しません」ときちんと書いて説明しています。善良な入居者さんにとってはなんでもない問題なんですね。

 あと入居者さんが怖いのは、「横暴な大家さんだったらどうしよう」と考えることでしょう。ですから私は、契約書の文言ではどうとでも取れるあいまいな表現を使わず、大家さんの気分次第で追い出すことはできない契約書を作成しています。そのうえで、むやみに入居者さんを追い出すことが目的ではなく、快適な住環境を守ることだと説明すると、だいたい皆様が安心して契約をしていただけますね。

「賃貸借期間の満了について、入居者に半年前までに通知する必要がある」などの手間がかかる部分がありますが、大家、入居者の両方にメリットのある契約だと実感しています。

 定期借家契約は、臨機応変にさまざまな使い方ができるようになった一方、それを逆手にとって、極端に入居者に不利な内容の契約を迫れば入居者に逃げられてしまい、結局は大家そのものにしっぺ返しがきます。

 あくまで双方の合意による、信義則に則った運用を心掛けなければなりません。適切な「再契約型定期借家契約」の活用で入居者さんに喜ばれる「良質な住環境を提供する」ことが大切です。

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