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不動産会社選びから価格の決め方まで

税金はどれくらいかかる? 築古木造アパートの高値売却に成功するために知っておくべき5つのこと

2017/07/04 牧野寿和

これから人口が減っていくと言われているなか、新築アパートが次々と建築され、賃貸物件は供給過剰になっていくことが予想されます。築古木造アパートのオーナーは、今後、ますます厳しい賃貸経営を強いられることになるのではないでしょうか。建て直しても採算が取れないのであれば、いますぐ売却を考えるのもひとつの手です。ここでは、築古木造アパートをできるだけ高値で売るために知っておくべきことをお話しします。

売却したいが思うような価格がつかない!?

© oka – Fotolia
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築古木造アパートの経営は特に地方において、今後ますます厳しくなっていくであろうこと、そして、築古木造アパートのオーナーは、すぐにでもアパートの売却を決心したほうがよいのではないかということは、以前の記事でお伝えした通りです。

 

実際に、売却を考えているオーナーは少なからずいらっしゃいます。私のところにも、売却をしたいが思うような価格がつかないので何かいい方法はないかと、築古木造アパートのオーナーが売却の相談にいらっしゃることがあります。

 

では、築古木造アパートを少しでも高く売るにはどうしたらいいのでしょうか? 高い売り値をつけるために知っておくべきことや、失敗しない売却方法について考えてみましょう。

 

<ポイント1>まず不動産会社選びが重要

前述したように、売却を決めたもののどうしたらいいのかわからないどこに相談したらいいのか相談先さえもわからないというのが、売却を考えている築古木造アパートのオーナーの実情ではないでしょうか。

 

売却を成功させるには、まず不動産会社選びが重要です。

もしかしたら、「とりあえず入居者の斡旋してもらっている不動産仲介会社や管理会社の担当者にでも相談してみよう」と思われるかもしれません。

しかし、同じ不動産会社といっても、それぞれ専門性や得意分野があるのです。不動産の売買を専門にしている会社もあれば、アパートの部屋の仲介や管理を専門にしている会社もあります。

 

当然、売却が専門の不動産会社に依頼すべきですが、もっと厳密に言えば、売却を専門とした不動産会社であっても、それぞれ得意分野があります。そのため、アパートをそのまま土地とともに「収益物件」として売却をする場合と、アパートを取り壊して「更地」にして売却をする場合では、売却の仲介を依頼すべき会社は変わってきます。

 

アパートの客付けや管理を依頼している不動産会社に、売却の意思を伝えて、売却専門の不動産会社を紹介してもらうのもひとつの手でしょう。実際にアパートを売却するときには、入居者の立退きや転居の手助けをお願いすることあるかもしれませんので、あらかじめ事情を話しておくことも必要です。

 

また1社だけはなく、複数の不動産会社を候補として探しておきましょう。

いちばん重要なのは、依頼する不動産会社の担当者との相性です。もし、その担当者と合わないなと思ったら、躊躇することなくほかの会社を探したほうがいいでしょう。

 

<ポイント2>売却価格の計算方法を知っておこう

売却を依頼する不動産会社の目星がついたら、それぞれの会社に収益物件として売却する場合更地にして売却する場合価格査定をしてもらいます。通常、売却価格の査定は無料でしてくれます。

もちろん、ご自身でもネットで、アパートの近隣で売り出されている条件の近い収益物件や、宅地の販売価格をリサーチして、おおよその売買価格を知っておくことも大切です。

 

では、売却価格の計算方法をご説明しましょう。売却する物件は以下の通りとします。


・物件種別:アパート一棟(建築後約30年木造モルタル造り)

・部屋数:10室

・敷地面積:500㎡(約150坪)

・建物の資産価値:築古のため0円

・家賃:毎月5万円(満室の場合は年間600万円の家賃収入)現在満室

・減価償却費:償却済み

・立地:最寄りの鉄道の駅から徒歩5分


 

 

 

収益物件は、収益還元法で売却価格を計算する

収益物件と更地では算出する方法も売却価格も違います。

まず、収益物件の場合は、「収益還元法」で売却価格を計算します。収益還元法とは、このアパートをこのまま経営していた場合どのくらいの利益が見込めるか、その期待できる収益から還元して売却価格を計算する方法です。

 

投資家としてこのアパートを購入した場合、どれくらいの利回りを期待するかを決め、その期待する利回りから売却価格を還元します。

築年数や立地によりますが、通常、利回りは7~10%程度を望みます。しかし、対象の物件は築古木造アパートですので、今後のメンテナンスや家賃収入が下がることも考慮して、利回りを12%で計算します。

すると売却価格は、500万円(年間収入)÷12%=約4166万円となります。

 

 

更地の場合は取引事例比較法で売却価格を計算する

また更地の場合は、周辺の取引事例、近隣地価公示価格それに路線価を参考にする「取引事例比較法」で計算します。

細かい計算式は省略しますが、坪単価(1坪=3.3㎡として)が約70万円として150坪の土地ですので、売買価格は、70万円×150坪=1億500万円となります。

 

ただし、どちらの価格とも仮定であり、実際に売却をすると査定額より上下することは当然にあります。

 

また、収益物件として売却する場合と、更地にして売却する場合の価格差が大きいように思えるかもしれませんが、実際に私の所有する物件や知り合いのオーナーが所有する物件を査定してもらったときも、これくらいの価格差がつきました。

入居者の立ち退き費用建物の解体費用譲渡税の負担などを考えると、妥当な金額と思われます。

 

<ポイント3>売却するのにかかる費用の内訳と金額は?

売却をするのに、収益物件、更地とも次のような費用がかかります。

 

・不動産会社への仲介手数料:(物件価格×3%+6万円)+消費税

収益物件:約141万円 更地:約346万円

・印紙代、登記料: 4万〜5万円(売買代金によって異なります)

・測量費用:約40万円(業者により異なります)

・譲渡税:後述します

 

また、更地で売却する場合にのみ必要な経費として、アパートの解体費用がかかります。これは、売却価格に含まれる場合もあります。

 

・アパート解体費用:200万〜800万円程度

 

また、建物減失登記費用や入居者の撤去費用(立退き料、引越し代、新居入居手続き費用など)なども必要です。

 

<ポイント4>譲渡税はどれくらいかかるのか?

譲渡税は、次の計算式で計算します(長期譲渡所得の税率)。

 

(売買価格-取得価格-売却時の諸費用)×20.315%

 

では、更地で売却した場合の譲渡税を計算してみましょう。

 

・売買価格:1億500万円

・取得価格:525万円(*1)

・売却時の諸費用:2000万円(*2)

 

(1億500万円-525万円-2000万円)×20.315%=約1620万円

 

(*1)その土地の購入費とアパートの建設費です。相続で所有した物件でも、購入した時の価格がわかればその金額になります。わからない時は、譲渡価額の5%を取得費(概算取得費)として計算します。今回は、譲概算取得費で計算して525万円とします。

(*2)アパート解体費用を500万円、立退きの費用を1000万円、その他のかかる費用も含めて総額2000万円の費用とします。

 

譲渡税は、約1620万円とかなり高額になります。

なお、長期譲渡所得の税率の20.315%とは、譲渡(売却)した年の1月1日において所有期間が5年を超えるものをいいます。また、15.315%は所得税(復興特別所得税を含む)で5%は住民税です。

 

また、個人事業主の国民健康保険料は、前年所得に応じて決定しますので、売却をした翌年度の健康保険料は、その自治体で決められている最高納付額になることが予想されます。

 

<ポイント5>売却にかかる期間を知っておこう

人気のある地域であれば売却が決まるまで、そんなに時間はかからないでしょう。

むしろ更地で売却をする場合は、入居者の退去が完了するまでに短くても1〜2年、長いと5〜10年くらいはかかりますので、売却の準備に時間がかかるかもしれません。

 

地価の動向として、街中の鉄道の駅から徒歩10分くらいの土地の価格は、多少上下はあるものの、現在は少なからず上昇の傾向があります。とはいえ、いつまで続くのかはわかりません。

一方、街から離れたところの地価は、下落傾向が止まらず上昇する要因が見つからない状況です。

 

今後、地価の二極化が鮮明になっていくでしょう。これは、私の知り合いの複数の不動産会社の人に聞いても同様の見解です。

いまから売る準備を始めて早すぎることはないと言えます。

 

新築のアパートでも部屋が埋まらない時代です。このままアパート経営を続ければ、折角の資産が目減りしていってしまいます。

ただし、不動産売買の性格上、売り急ぐと足元を見られ安価な売却になりかねません。準備はできるだけ早く始めて、じっくり有利な商談を待つことも大事です。

 

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