連載・トピックス / 不動産投資

だから大家はやめられない!

覚えておきたい「大家の心得」(1)

空室が出たときに大家がすべき大切なこと

2016/03/26 林 浩一

「敷金、礼金ゼロ」「フリーレントつき」といった物件が増えてきました。借り手がつかず、条件を下げざるを得ないのでしょう。でも、それよりも大切なのは物件の価値を高めて競争力をつけることです。そのために行動力、情報収集力が重要なのはいうまでもありません。

集客のため自分でできることはすべてやった

 大家としての仕事のかたわら、賃貸UP-DATE実行委員会代表、全国大家ネットワーク理事などをつとめるようになり、大家さんを対象にしたセミナーなどで講演を頼まれることが多くなりました。

 お話しする内容は、空室対策、定期借家契約、大家業の幸せな瞬間、大家にとって大切なものなどさまざまですが、そのなかで共通してお伝えしていることは、定期借家契約の必要性です。

 定期借家契約を導入しようとして不動産会社から門前払いされたこと、「定期借家契約だと貸しにくい」と言われて、自分の物件である「Wilshire five seasons」の営業のために150社以上の不動産会社を訪問したことは、すでにこの連載でもお話しした通りです。

 なぜそこまでして定期借家契約を導入したのかといえば、それが入居者さんのためになるという強い信念があったからです。

 そのため、自ら不動産会社に足を運ぶというアナログな方法も、Youtubeに物件紹介の動画をアップするといったデジタルな方法も、集客のために自分でできることはすべてやりました。

 そこから感じたことは、大家にとっても行動することが大切だということです。もし、私が最初に訪問した不動産会社の言葉を信じて行動するのをやめてしまっていたら、いまの私はありません。

 たとえば、集客にしても1社の不動産会社だけとのおつきあいですべてをお任せにしてしまうのではなく、自ら行動して、第2、第3のパートナーを見つけること。不動産会社だけでなく、大家さんの集まりや勉強会に積極的に参加してネットワークを築くこと。そうして、情報の入り口を広げて、自ら学び、行動していくことが大切です。

大家にとって「空室」は怖いことだけど…

 最近、不動産広告を見ると、「敷金ゼロ、礼金ゼロ」という物件や、数カ月の家賃を免除する「フリーレント」物件を見かけます。

 私がこの5年前から地元を定点観測してきた結果によると、当時は「敷金2カ月、礼金2カ月」がめずらしくなかったのに、3年前から「敷金1カ月、礼金1カ月」という物件が見られるようになり、2年前から「敷金ゼロ、礼金ゼロ」が出まわりはじめました。「入居者募集中」の文字が書かれたノボリが春の繁忙期を過ぎても掲げられ、秋を過ぎてもそのままになっているのを見かけます。

 事情を察するに、駅から遠いとか、築年数が古いといった理由で、入居してくれるお客さんがなかなかつかず、条件設定を下げざるを得ないのでしょう。大家にとって「空室」という状況が長く続くことは最も怖いことです。なぜなら家賃収入はないのに維持費ばかりが出ていくわけですから。

 ですが、私としては空室を埋めるためだからと、安易に家賃などの条件を引き下げることはおすすめしたくありません。もちろん、物件の価値に見合った相場というものはありますが、敷金・礼金や家賃などの条件を落とすと、一般的な傾向として入居者のモラルが低下するということがいえます。

 すると、どういったことが起こるかというと、住民間のトラブルの発生率が高くなる、家賃の滞納も多くなるといったことが起こるのです。

 定期借家契約なら、問題の種を「再契約しない」という手段でひとつひとつつぶしていくという解決策がありますが、普通借家契約だと立ち退き料や引っ越し代といった名目の違約金を大家が払わされることもあり、体力を失っていくばかりです。

 つまり、空室が出たときに大家がすべき大切なことは、「条件を落とす」ことではなく、家賃以外のところで物件の価値を高めて、競争力をつける努力なんですね。その際、自分に適確なアドバイスをしてくれる人を見つけたり、自分の考えを実現してくれるパートナーを見つけたりするには、行動力がキモになることはいうまでもないでしょう。

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