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賃貸でもできる!住まいの簡単DIY


都心から長野県の小さな温泉町に移住

築100年の古民家をDIYリフォームでシェアハウスに。日々のメンテナンスも楽しく実践中!

2017/08/01 嶋崎都志子

都心から長野県の小さな温泉町に移り住んだ1級建築士のMさん。Mさんが、 DIYでリフォームしたのは築100年近い大きな古民家です。以前から気になっていたその古民家が売り物件となっていることを知り、思い切って購入、「テナントスペース付きシェアハウス」にリフォームしました。間取り変更などの大工工事や、水回り、電気関係の設備工事は専門業者に依頼。自分たちでできる細かなメンテナンスや装飾はDIYで施工することで経費を削減。そうした完成した、シンプルで居心地の良い古民家シェアハウスをご紹介します。

初めて訪れた小さな町に心地の良さを感じて移住

住居棟入り口から土間を通り、共有のダイニングキッチンへ

■プロフィール

Mさん(40代女性)/お住まい:長野県/

中古一戸建て+テナントスペース(延べ床面積330m2)

■DIYで施工した内容

キッチンと洗面所タイル貼り、水回りの床貼り(CFシート貼り、Pタイル貼り)、壁の塗装と和紙貼り、細かな仕上げ作業、日々のメンテナンス など

■予算

物件購入価格500万円+設備施工費


 

今回ご紹介するMさんは、長野県のとある小さな温泉町で、築100年近い古民家を「テナントスペース付きシェアハウス」にリフォームしています。

 

Mさんは、3年前までは都心部に住み、フリーランスの建築士として忙しい日々を送っていました。そんななかで、たまたま知人が住んでいる長野県の温泉町を訪問した際に、その居心地の良さと、こじんまりとした町の雰囲気がとても気に入ってしまったそうです。

ちょうど、都心を離れて田舎暮らしもいいかなとぼんやり考えていたこともあり、その数カ月後には賃貸物件探しを始めていたといいます。

 

当初は、セカンドハウスとして家を借りるつもりでしたが、職業柄、通信設備さえあれば都心から離れた場所でも仕事が続けられること、また家電や家具を二重に所有する無駄を考えて移住を決めたそうです。

移住というと人生の一大決心のように思えるかもしれませんが、Mさんとしては、“ちょっと遠い引越し感覚”で、「ダメだったら、やり直せばいい」という、まさにDo it yourself精神での決定でした。

 

暮らし始めて3年、初めて訪れたときから感じていた町の居心地の良さはいまも変わらず、東京に戻りたいという気持ちはまったくないとのこと。地域のコミュニティにもなじみ、毎日温泉に癒されながら充実した日々を送っています。

 

築100年近い大きな古民家を思い切って購入!

元々の家屋にあった水屋箪笥を利用して大きなカウンターへリメイク

現在の住居を手に入れたのは、移住3年目のことです。

家からすぐ近くの古民家が空き家バンクに登録されていることを知ったMさん。養蚕業が行なわれていたこともあるという歴史ある建物は、建築士という職業柄、以前から気になっていたものでした。

 

もともとは友人が検討していたのですが、その友人から「購入を取り止める」という話を聞き、思わず「それならば私が買う!」と申し出てしまったそうです。

 

こうして、築100年近い古民家をリフォームして生まれ変わらせるというプロジェクトが動き出しました。

 

自ら図面を引いて、専門的な施工はプロへ依頼

かつては養蚕業が行なわれていたこともあるその古民家には、もともと大きなテナントスペースがありました。Mさんは、このテナントスペースを3分割して活用するとともに、住居部分は水回りを増やしてシェアハウスとすることを決めました。

 

Mさん自らが図面を引いてリフォーム計画を立て、間取り変更の解体と大工工事、水回りの設備工事、電気工事はプロに依頼したそうです。

工事が始まると、新建材で隠されていた天井を壊すと立派な梁が現れ、Mさんは、貫禄ある本来の家の姿に感動したといいます。

 

想定していた以上に経費が掛かったのは電気工事でした。梁に沿って各部屋へ配線工事を行ない、火災警報器などの設置工事も含めると、費用は約150万円ほどかかったとか。そのため、最終的な工事全体の金額は家屋購入費用より高くなってしまったそうです。

 

古い家を現代のライフスタイルに合わせて改修するためには、初期経費として多めの予算組みが必要と、Mさんは話してくれました。

 

DIYで経費削減と細かなメンテナンスを実現

前述したように、間取り変更の大工工事や水回り、電気工事はプロに依頼しましたが、一部の仕上げ作業をMさん自身で行なうことで経費節減につなげたそうです。

DIYの経験はほとんどなかったMさんですが、現場で見た職人さんの作業の様子や、インターネット上の動画を見て学習して作業に挑戦したといいます。

 

MさんがDIYで施工した箇所と内容について伺いましたので、以下にまとめてみましょう。

 

<1>タイル貼り/キッチンと洗面台の2カ所

壁をグリーンに塗装し、タイルを貼った共有の洗面所。洗面器設置のため、天板部分だけ急いで目地入れをした。残りの作業は後日ゆっくりと

まずは、キッチンと洗面台のタイル貼り作業です。土台の箱づくりまではプロに発注し、仕上げのタイル張りと目地入れをDIYで施工しています。

 

タイルを専用接着剤で張ってから、接着剤が固まったことを確認した後、ゴムベラで目地剤を押し込みます。はみ出した余分な目地剤は、最後にスポンジで拭き取ります。

 

ゴムベラを使ってタイルの目地入れ。空いた時間を利用して徐々に仕上げていくのも楽しい

目地剤は粉を水で練ってつくりますが、20〜30分で固まり始めてしまいます。そのため、手際よく作業を進めること、また、多くつくりすぎないことがポイントです。

なお、タイルと目地材は取引のあった卸問屋から安く購入することができたそうです。

 

<2>クッションフロアーシート張り/トイレと脱衣所

ランタンタイル柄のCFシート。水回りにも強く、施工もとても簡単

次は、トイレと脱衣所の床のクッションフロアシート(CFシート)貼りです。

ランタンタイル柄のCFシートはネットショップで購入し、近所のホームセンターで仕入れた接着剤(ボンド)を使って貼っています。

 

トイレについては、職人さんにお願いして便器を設置する前に、CFシートを貼らせてもらったため、以前の記事でご紹介した便器の曲線に合わせてシートをカットする作業は不要だったそうです。

 

<3>畳を敷き、手作り和紙を貼る/押入れ

大学生が手づくりした和紙で壁を装飾。元々この家にあった座卓と柱時計が良いアクセントに

もともと押入れだったスペースを、畳を置いて座卓を置けるスペースにリフォームしました。

壁紙貼りは、県内の観光ツーリズム科の大学生たちが来訪して作業してくれました。授業の一環で育てたイネ科植物を使い、手づくりした和紙を壁に貼ってくれたそうです。

なんともいえない風合いのある仕上がりになっています。

 

<4>壁塗り作業/ テナント2階

テナント入居者も自ら壁の左官作業をして事務所へリノベーション

最後は、テナント2階部分の壁塗り作業です。

テナントはスケルトン貸しなので、作業をしたのは入居するIT会社の事務所のスタッフだそうです。入居者自らコンパネ(合板)を敷き、ジョリパットと呼ばれる塗り壁を施工しています。

 

ちなみにジョリパットとは、アクリル系壁仕上げ材のことで、内装にも外装にも使われる耐久性、防火性、防カビ性に優れているのが特長です。

 

好きなタイミングでDIY!日々のメンテナンスも楽しく

遊びに来た友人たちもおっかなびっくりで、塗り残していた見切り材をオイルステインで塗装

古民家を購入し、多くのDIYを実践中のMさんに、その魅力をお聞きしました。

 

まず何よりも、自分の好きなタイミングで、好きなところから作業ができること。そして、失敗してもやり直しができることだけでなく、その失敗が逆に味になるところも、DIYならではの魅力に感じているそうです。

また、タイルやCFシートが剥がれてしまっても、いつでも自分で補修できるという安心感があるので、おおらかな気持ちになれるといいます。日々のメンテナンスも楽しくできるそうです。

 

テナントの共有洗面所の分電盤をDIYで目隠し。フェイクグリーンの影がいい感じに

Mさんの「テナントスペース付きシェアハウス」がプレオープンして3カ月。人から人へと、このシェアハウスの存在が連鎖的に広まっていき、これまで、古民家再生プロジェクトの見学会移動映画館の上映和太鼓と手打ちうどんのイベントなどが行われました。

テナントには飲食店や事務所などの入居も決まり、地域を盛り上げるシェアハウスとして、町おこしの中心にもなりつつあります。

 

移住や家の購入はとても勇気がいることです。けれど、ときには”do it yourself ”。

一歩動き出してみれば、Mさんのように連鎖的に心地よい居場所が広がっていくのかもしれません。

 

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