連載・トピックス / 不動産投資

だから大家はやめられない!

もしもあなたがオーナーだったら?

築50年のRC造マンション、建て替える? リフォームですます?

2016/10/17 林 浩一

私の大家仲間に、築50年のRC造マンションのオーナーがいます。建て替えかリフォームかで悩んでいたのですが、最終的にはリフォームを選択しました。ですが、「もし私だったら…」と考えると、違った選択をしていたかもしれません。なぜ私がそう考えたのか、その理由をお話しします。

取り壊しを躊躇してしまう意外に高いハードル

私の大家仲間のひとりに、築50年のRC造マンションをリフォームした方がいます。

RC造の建物は木造と比べると長持ちしますが、それでも古くなるとあちこちにガタがくるのを止めることはできません。そうなると、取り壊して建て直すか、リフォームして寿命を延ばすかという選択に迫られることになります。

その大家さんの物件は、都内の「住みたい街ランキング」には必ずランキングされるような立地のいいところにあるため、いまより部屋数の多い物件に建て替えても十分にやっていけそうでした。そのため、大家さんの気持ちは、どちらかというと建て替えをする方向に傾いていたそうです。

ただ、RC造だけに、取り壊すとなると解体費用はかなりの額になります。50年前に建てた建物ですから、アスベスト建材を使っている可能性もあり、調査してそれが使われていることがわかると専門の除去業者に作業を依頼したり、周囲の住民にも説明をしたりしなければなりません。

「7割の予算で完璧にリフォームできる」という営業マンに説得されて…

頭を悩ませているとき、リフォーム会社の営業マンがやってきて「新築の7割の予算で完璧にリフォームできます」という話を持ちかけてきたそうです。それだけでなく、「リフォーム後の家賃収入をシミュレーションすると、いまよりも家賃を上げることができます」とも。その言葉に説得されて、その大家さんは建て替えをあきらめ、リフォームする決断をしました。

工事が完了した後、私はリフォームされた物件を見に行ってきました。かなり大規模なリフォーム工事で、床材や壁材などはすべて新しいものに張り替えられただけでなく、水道の配管も古いものは潰され、新しい配管に替えられていました。

配管を新しいものにする場合、柱や床に埋め込まれた古い配管を取り出して、新しいものに交換することはできません。そのため、古い配管は潰してしまい、建物の外側に新たに配管を這わすことになります。見た目はよくありませんが、建物の外側に設置されていれば、古くなったときには取り外して新しいものに替えられるというメリットもあります。

リフォーム会社の仕事ぶりはしっかりしたもので、築50年のRC造マンションは新築同然とまではいわなくとも、リフォーム前とは見違えるほどの素敵なマンションに生まれ変わりました。

もしも私がオーナーだったら

ただ、もしも私がオーナーだったら…と考えると、私は違う選択をしていたかもしれないと思います。なぜ私がそう考えたのか、その理由はふたつあります。

ひとつめの理由は、リフォーム会社のシミュレーションの甘さです。営業マンがその大家さんに示した「リフォーム後には家賃をこれだけ上げられます」というシミュレーションは、本当に実現できるのか、けっこう甘くつくられているように感じたのです。もちろん、そのような資料は、工事を受注する目的でつくられるものなので、リフォーム会社にとって都合のよい数字が並べられているのは当たり前ですし、その大家さんもそれはわかった上でリフォームすることは決めているはずです。それでも私は心配症なので、どうしても不安になってしまいます。

もうひとつの理由は、もっと先の将来のことです。

たとえ大規模なリフォームをしたとしても、それで建物の寿命が50年も伸びるわけではありません。10年、あるいは20年くらいがいいところでしょう。もし、その大家さんがその建物を子どもに受け渡したいと考えても、そのときは建物の寿命が尽きていて、建て替えを余儀なくされるかもしれません。

単純に費用だけでは判断できない

そう考えると、新築の7割の予算ですんだとはいえ、リフォームしたことは根本的な解決ではなく、効果の薄い延命治療に過ぎないのではないかと思えてくるのです。

建築技術は50年前と比べて格段に進歩していますので、いまの技術で建て替えておけば、もっと先の未来まで利益を保証できる物件を次世代に渡せたのではないでしょうか。

もちろん、その大家さんもそのことをご自身で考えた上で、建て替えではなく、リフォームすることを決めたのですから、その選択を否定するつもりは私にはありません。

ただ、建て直すか、リフォームするかという選択は、10年後、50年後の未来のことまで考えて決めなければならないことに変わりはありません。現実にどれだけの費用がかかるかということも重要ですが、それだけで判断することはできません。建設業者やリフォーム業者はいろいろな提案をしてくれますが、業者の意見は根本に「自分の利益」があってのものなので、あくまでも参考程度に聞いておくべきでしょう。

最終的に決断しなければならないのは、大家さん自身です。常日頃から、自分で考え、行動することを意識しておくことが大切なのではないでしょうか。

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