連載・トピックス / 不動産投資

大友健右が斬る!不動産業界オモテ・ウラ

利用者が増えない本当の理由は?

住宅を担保に老後資金の準備ができる「リバースモーゲージ」のメリット・デメリットとは?

2016/08/15 大友健右

「リバースモーゲージ」という言葉をよく聞くようになりました。通常のローンが借りにくい高齢者でも老後資金を調達することができて、さらに担保である持ち家に住み続けられる制度として注目されましたが、利用者は伸びていないようです。その理由と、制度のメリット・デメリットについてお話しします。

そもそも「リバースモーゲージ」とは?

「リバースモーゲージ」という言葉をよく聞くようになりました。

 これは、主に高齢者が持ち家住宅を担保にして老後の生活資金の融資を受け、本人が死亡したときにその売却代金で一括返済する制度のこと。通常のモーゲージ(担保)ローンでは年月と共に借入残高が減っていきますが、この制度では増えていくので「逆(リバース)抵当融資方式」と呼ばれるのです。

 通常のローンが借りにくい高齢者でも老後資金を調達することができて、さらに担保である持ち家に住み続けられるメリットがある制度として近年、注目を浴びています。

 そもそもこの制度はアメリカで生まれ、日本では1981年に東京・武蔵野市が初めて導入しました。その後、いくつかの自治体や金融機関が取り扱うようになりましたが、注目を浴びるようになったのは「貧困老人」、「老後破産」といった社会不安が叫ばれるようになった2000年代以降のこと。

 さらに2013年以降、みずほ銀行、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行の3メガバンクが参入して多くの人に知られるようになりました。

マンションは対象外とする金融機関が多い

 ただ、その話題性の割に利用者数は伸びていないようです。その理由は以下のようなデメリットが考えられます。

 そもそもこの制度で担保の対象となるのは建物を除いた土地のみのため、マンションや定期借地権付き住宅は対象外とする金融機関が多く、融資限度額は不動産時価の50%前後と低く設定されています。

 また、利用する側にもリスクが伴います。それは、生きている間に借入限度額を超えてしまう「長寿リスク」、地価や金利の変動などによって生じる「担保割れリスク」などです。担保割れした際には、借りた金額との差額を返済しなければなりません。

「リバースモーゲージ」が普及しない、もうひとつのデメリット

 こうした制度のシステム上の理由だけでなく、私はもうひとつ大きなデメリットがあると思っています。それは、金融機関にとって、あるいは不動産会社にとっても「おいしい商品ではない」ということ。

融資したお金を回収できるのは利用者の死後という長期間に渡りますから、金融機関にとっては魅力的な商品とはいえないでしょう。

 不動産会社にとっても、それは同じこと。彼らは、リバースモーゲージよりも物件を売却させて市場に出すことを優先的に考えるでしょう。そうすれば、売却の際の手数料と、それを他者に売った際の手数料をすぐに取れるからです。

 先に述べた「長寿リスク」や「担保割れリスク」が起こる可能性を指摘すれば、消費者は恐れをなして売却の誘いに乗ってしまうかもしれません。

売却した物件に賃貸で住み続ける「リースバック」

「リバースモーゲージ」が盛り上がらないため、というわけではないでしょうが、「リースバック」という制度も最近、注目を集めています。

 収入源で住宅ローンが払えなくなったりした場合、リース会社にいったん物件を売却し、その後、リース会社と賃貸契約を結んでその物件に住み続けられるという制度です。

 リバースモーゲージとよく似ていますが、戸建ての土地付き物件だけでなく、マンションにも適用されるほか、「高齢者のみ」といった条件がつかないなどのメリット・特色があります。

 ただし、デメリットがないわけではありません。賃貸契約を結ぶ際、物件の買い主であるリース会社の利益が優先され、家賃が高く設定されていたりすることが多いのです。もちろん、家賃を滞納すれば転売され、立ち退きを迫られることになります。

 したがって、リースバックもリバースモーゲージと同様、利用者にとって完璧な制度とはいえないのです。

 何だか希望のない結論になってしまいましたが、「リスクなき人生」があり得ないように、不動産物件にもリスクが常につきまといます。

 転ばぬ先の杖として、今後起こり得るリスクとその対処法について考えておくのは、決して無駄なことではないでしょう。そして、その対処法のメリットとデメリットについて知っておくことは、リスクを最小限に抑える有効なカードになるはずです。

今回の結論

・高齢者にとっては「リバースモーゲージ」、債務者にとっては「リースバック」の制度は有効だが、デメリットもある。
・どんな制度もリスクをなくしてくれる完璧なものではない。
・リスクを最小限に抑えるには、その対処法のメリットだけでなく、デメリットも知っておくべき。

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