連載・トピックス / 不動産投資

だから大家はやめられない!

覚えておきたい「大家の心得」(8)

賃貸物件の「差別化」はストーリーづくりから始まる

2016/05/14 林 浩一

不動産物件は、ひとつとして同じものはありません。そのため、そのストーリーも物件ごとにさまざまなものが描けるはずです。完全防音の楽器が弾ける部屋や住まいとガレージが融合したガレージハウスなど、ストーリーのある物件は、ほかの物件との差別化を図ることができます。これから大家さんになろうと考えている人は、どんなストーリーを描くか、じっくり考えてみてはいかがでしょうか。

ストーリーは物件ごとにさまざま

 不動産物件は、ひとつとして同じものはありません。したがって、その物件の魅力を語るストーリーは立地条件や、どんな入居者さんをターゲットとして想定しているか、それから大家さんの個性によってもさまざまに描けることでしょう。

 先日、私が住んでいる土地の沿線にあって、ちょっと気になる物件を見てきました。

 駅を降りるとすぐに住宅街になっていて、とても静かなところ。大学がいくつかあって、学生さんが多い街なんです。どんな建物かというと、4階建てのRC(鉄筋コンクリート)で、1階が店舗になっていて、2階と3階がワンルームの賃貸の部屋。面白いのは4階の大家さんの住居で、メゾネットタイプの5LDKの広い部屋になっていました。

 これを見て私の頭に浮かんだのは、4階の5LDKをシェアハウスにするというアイデアです。プライベートを重視したいという人は2~3階のワンルーム、仲間とにぎやかに暮らしたいという人は4階のシェアハウスと、人それぞれの好みに合わせることができます。1階の店舗は有名チェーンの宅配ピザ屋が入っていました。みんなでピザを食べながらシェアハウスのリビングや屋上で映画を観るのも素敵じゃないですか。

「大学生たちが集い、青春の思い出をつくる家」

 大学生というと、4年で卒業してしまうので大家さんにとってはありがたい存在じゃないのではないかと思う方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。社会人の入居者でも契約更新のタイミング、すなわち2年くらいで退去してしまう人も多いので、4年間も住んでくれればむしろありがたい存在ともいえます。

 私はファミリー向けのアパートのほかに、学生寮も経営しています。大学との契約で学生に優先的に部屋を提供することになっていますから、卒業して退去しても、新入生がそのあとに入ってくれるので空室になることはありません。

「大学生たちが集い、青春の思い出をつくる家」というのは、なかなか魅力的なストーリーだと思いませんか? 

大家さんの思いがストーリーをつくる

 ストーリーのある物件は、ほかの物件との差別化を容易にできるという利点があります。

 男子禁制の女性専用アパートなどは、昔から人気を呼んでいます。なかには「男子禁制」も建前になってしまっている物件もあるようですが、「ひとり暮らしの女性を応援したい」というストーリーを描いている大家さんなら徹底してルールを守ろうとするでしょうし、評判も高くなるでしょう。

 全室が完全防音になっていて、どの部屋でも楽器を弾けるマンションというのも、大家さんのこだわりを感じさせます。なかには1階がスタジオになっていて、入居者だけでなく、アマチュアバンドに貸しスタジオとして提供しているマンションもあって、なるほどなぁと思わされたことがあります。

 住まいとガレージが融合したガレージハウスの賃貸物件なども、ごくたまに目にしますが、きっとクルマ好きの大家さんがつくったに違いありません。

 楽器を弾く人、クルマを趣味にしている人、ともにターゲットになる人たちは限定されてしまいますが、そういう人が狙い通りに入居してくれたら、長く住んでくれる確率は高くなるかもしれません。

 これから大家さんになろうとする人は、そうしたストーリーづくりに頭をひねって、思い思いの未来を描いてみてはいかがでしょうか。

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