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地価暴落危機!?

「生産緑地 2022年問題」にどう向き合うか(1/5ページ)

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農地の宅地化が進められてきた歴史


フジ総合グループ代表 藤宮 浩氏

日本経済におけるインバウンドの効果は大きく、地価もご多分にもれず訪日外国人客でにぎわう地域での上昇が目立っている。実際、国税庁が7月3日に発表した2017年分の路線価(1月1日時点)によれば、東京都は前年比3.2%の上昇と、16年の上昇率2.9%を上回った。その一方で、不動産投資家を対象に野村不動産アーバンネットが行った調査では、「今、投資用不動産は買い時だと思いますか」との質問に「買い時はしばらく来ないと思う」という答えが52.2%と、09年の調査開始以来、初めて半数を超え、地価高騰への警戒感も出ている。

都市部の地価は依然として上昇基調にありながらも、不動産市場に対する漠然とした不安があることがうかがえる。そして、こうした不安を一層高めているのが、現実の問題として姿を見せ始めている「生産緑地 2022年問題」である。

生産緑地制度とは、生産緑地法に基づき、3大都市圏特定市を中心とする各自治体が、市街化区域内の一定の要件を満たす農地を「生産緑地地区」として指定する制度のこと。生産緑地に指定されると、固定資産税等の軽減、相続税の評価減、相続税の納税猶予といった税金の優遇措置が受けられる。指定を受けるには、その農地が良好な生活環境の確保に効果があり、公共施設などの敷地に適していること、原則500㎡以上の面積であること、農林業の継続が可能な条件を備えていること、などの条件がある。

このように税制面でのメリットを受けられるものの、土地そのものの用途は農林業に固定されるため、建物の建築などに制限が課される。一度指定されると、一部の例外規定を除いて「売れない」「貸せない」「建てられない」「(農林業を)やめられない」状態になってしまうという側面があるのだ。

「生産緑地は良好な都市環境を確保するため、都市部に残っている農地を計画的に保全することを目的としています。その一方で、今の生産緑地制度が開始された1992年はバブル末期で地価が高騰しており、住宅供給の必要性から、宅地化すべき農地は課税を強化し転用を促進するというねらいもありました」

こう話すのは、相続・不動産コンサルティングを手がけるフジ総合グループの代表で不動産鑑定士の藤宮浩さんだ。都市部の農地はこれまでも日本経済の動きと密接に関係してきた。

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