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BOOK Review――この1冊 『マンガでわかるこんなに危ない!?消費増税』消費増税反対botちゃん著(1/2ページ)

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10月1日、いよいよ消費税が8%から10%に増税された。2度の延期があり、しかも今年に入り、国内の景気状況も政治状況も芳しくない中、3度目の延期があるのではないかとギリギリまで、増税か据え置きかが議論された。

本書『マンガでわかるこんなに危ない!?消費増税』はこの6月に刊行され、今もamazonでベストセラーになっている。オリラジ中田敦彦さんの「YouTube大学」で取り上げられたことでも話題になった。

本書は、エリート高校に通う女子高生・高橋あさみが「消費税」について学びながら、政治家、官僚、財界の大物、マスコミ、経済学者など、ひと癖もふた癖もあるキャラクターと対峙し、増税賛成派たちに立ち向かっていくというストーリーである。

まず冒頭から衝撃を受けるのが、増税の根拠とも言える「日本の借金1000兆円」の実態である。赤字国債1000兆円、国民1人当たり900万円の借金、子どもや孫達に借金を残さないためにと聞けば、増税もやむなしという気になっていたが、主人公・高橋あさみは悪質なプロパガンダと切り捨てる。

その理由は、実は日本の資産は1000兆円、世界一の対外純資産の保有国だから心配ないというのだ。しかも借金である国債の45%は日銀が所有している。つまり、政府の子会社のような日銀への借金を計上するのがおかしい。さらに残りのほとんどは国内の金融機関から借りている。それはつまり国民が預けたお金。となると、「国民1人当たり900万円の借金」という言い方自体が実態にそぐわないものであり、消費増税に舵を切るための不安を煽るやり方だというのだ。

また2014年の増税時には、「増えた税収は全額社会保障に使う」と自民党は公約に掲げたが、実際に使われたのはわずか2割だったという。今回は増収分の半分を社会保障に当てると言うが、実際はどうなるのか。国民は税金を取られることには敏感だが、それがどう使われるかまで見届けないし、見届ける方法も知らない現実がある。

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この記事を書いた人

ウチコミ!タイムズ「BOOK Review――この1冊」担当編集

ウチコミ!タイムズ 編集部員が「これは!」という本をピックアップ。住まいや不動産に関する本はもちろんのこと、話題の書籍やマニアックなものまで、あらゆるジャンルの本を紹介していきます。今日も、そして明日も、きっといい本に出合えますように。

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