「仲介手数料 無料」でも儲かる不動産取引の裏側(購入編)(1/2ページ)
大友健右
2016/12/27
仲介手数料を無料にする不動産会社が増えている
賃貸の世界では一般的になってきた「仲介手数料無料」や「仲介手数料半額」ですが、実は、不動産売買においても仲介手数料を無料にする業者が増えてきています。その一方で、仲介手数料を維持したい業者からは、「仲介手数料が無料の会社は信用できない」とするネガティブキャンペーンも行なわれるようになっているのも、消費者としては気になるところでしょう。
本当に手数料を無料にする不動産会社は信用できないものなのか、一体どこから利益を得ているのか、割引の仕組みを紐解きながら考えてみましょう。
仲介手数料は何のために、いくら支払うのか?
不動産の仲介手数料とは、賃貸契約・売買契約が成立したときに不動産会社に支払う成功報酬で、宅建業法で上限が決められています。売買契約では(物件価格400万円以上の場合)、「(物件価格の3%+6万円)+消費税」とされています。
あくまでも上限が決められているだけなのですが、ほとんどの不動産会社は、当然のこととして上限額をそのまま請求しています。
4000万円の住宅であれば、4000万円×3%+6万円=126万円。これに消費税を加えて136万800円になります。
たとえば、買い主から仲介の依頼を受けた場合、不動産会社は物件紹介や現地案内、資金計画のサポートをするほか、条件交渉や住宅ローン手続きのサポートなども行ないます。仲介手数料はそうした業務の対価というわけです。
たとえ上限の仲介手数料を請求されても、不動産会社のサービスがその対価に見合うものであり、消費者が満足して支払うのであればまったく問題はありません。逆に、いくら手数料を無料にしたり、割引したりしていても、そのサービスの質が低下してしまえば「安かろう悪かろう」ということになってしまいます。
ですから、仲介手数料無料、仲介手数料の割引そのものは、消費者にとってメリットですが、仲介手数料を無料にしている不動産会社が信頼できる会社かどうかは、また別の話といえるでしょう。
※仲介手数料の仕組みと、手数料を割引する不動産会社のメリットについては、下記の記事に詳しくまとめてありますので参考になさってください。
(関連記事)
「3000万円の中古住宅を購入、諸費用を100万円安くする方法とは?」
仲介手数料を割引できる仕組みとは?
では、不動産会社はどうやって仲介手数料無料を実現しているのでしょうか。仲介手数料が割引される仕組みには大きく次の3つがあります。
(1)「両手取引」のケース
(2) 「売り主か買い主が不動産会社の取引」のケース
(3)「片手取引」のケース
3つのケースの中身を説明する前に、「両手取引」「片手取引」という一般の人には耳慣れない言葉が出てきましたので、それぞれについて説明しておきましょう(図1参照)。
(図1)「片手取引」と「両手取引」
不動産の売買取引では、買い主、売り主がそれぞれ不動産会社に仲介を依頼するため、2社の不動産会社が仲介に入ることになります。買い主、売り主はそれぞれ自分が仲介を依頼した不動産会社は仲介手数料を支払いますが、これを業界では「片手取引」と呼んでいます。
一方、1社の不動産会社が、買い主、売り主の両方から依頼を受けた場合には、その不動産会社は、買い主と売り主の両方から仲介手数料を受け取ることができます。これが「両手取引」と呼ばれるものです。
実は、仲介手数料が割引になる取引の多くが、この「両手取引」を行なっているケースだといえるでしょう。
「両手取引」とそれがもたらす問題(「囲い込み」)については、別の記事(「業界の裏を知る私が教える、不動産一括査定の賢い使い方」 http://sumai-u.com/?p=7510 )に詳しくまとめてありますので、ご覧ください。
(参考記事)
「業界の裏を知る私が教える、不動産一括査定の賢い使い方」
「業界内で当たり前に行なわれている『囲い込み』の実態」
「中古住宅がブームのいま、家を売ると大損する3つの理由」
この記事を書いた人
株式会社ウチコミ 代表取締役 株式会社総研ホールディングス 代表取締役 株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役 1972年生まれ。大手マンション会社で営業手法のノウハウを学んだのち、大手不動産建設会社に転職。東京エリアにおける統括部門長として多くの不動産関連会社と取引、不動産流通のオモテとウラを深く知る。 現在、株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役として、住宅リフォームを中心に事業を展開。また、株式会社ウチコミ 代表取締役として、賃貸情報サイト「ウチコミ!」を運営。入居の際の初期費用を削減できることから消費者の支持を集める。テレビ・新聞・雑誌などメディア出演も多数。