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『アリー/ スター誕生』

アカデミー賞確定?――見どころはレディ・ガガの演技力とブラッドリー・クーパーの歌唱力(1/2ページ)

兵頭頼明兵頭頼明

2018/12/04

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(C)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

1937年のアメリカ映画『スタア誕生』は名作である。雪深い寒村からスターになることを夢見てハリウッドに旅立った少女エスター(ジャネット・ゲイナー)が大スターのノーマン(フレデリック・マーチ)に見初められて結婚し、徐々にスターへの階段を昇ってゆくが、その一方で夫のノーマンは人気を失い凋落してゆくという物語である。

監督は第一回アカデミー賞作品賞を受賞した『つばさ』(1927)や『民衆の敵』(31)の名匠ウィリアム・A・ウェルマンで、脚本家のロバート・カーソンとともに原案も担当している。スターダムを上り詰める妻と凋落してゆく夫という不変的で卓越した物語があらゆる世代のクリエイターを刺激し、3本のリメイク作品と多くの亜流作品を生んだ。
最初のリメイク作品は1954年にジュディ・ガーランド主演、ジョージ・キューカー監督で製作された。物語の骨格は変わらないが、『オズの魔法使』(39)で知られるミュージカルスターのガーランドを主演に起用したことで、主人公エスターの役柄はコーラスガールに変更され、ミュージカル仕立ての作品となっている。

この二作の仕上がりは甲乙つけがたいが、戦前のオールドファンはオリジナルのゲイナー主演版を支持し、戦後のファンはガーランド主演版を支持する傾向がある。ミュージカルが好きか嫌いか、また、そもそも『スタア誕生』の物語がキューカー監督作品『栄光のハリウッド』(32)にインスパイアされているということを知っているか否かによっても評価は変わってくるはずだ。
二度目のリメイク作品『スター誕生』(原題は”A STAR IS BORN”で変わらず)は、1976年にバーブラ・ストライサンド主演で製作された。共演はクリス・クリストファーソンで、二人ともに著名な歌手、そして俳優であるため、当然のように主人公の設定が歌手に変更されている。ミュージカル映画『ファニー・ガール』(68)でアカデミー賞主演女優賞を受賞しているストライサンドがプロデューサーを兼ねた意欲作であり、興行的にも批評的にも大きな成功を収めた。ストライサンドの歌唱シーンは圧巻の一言に尽き、主題歌は大ヒットし、アカデミー賞歌曲賞を受賞している。

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この記事を書いた人

映画評論家

1961年、宮崎県出身。早稲田大学政経学部卒業後、ニッポン放送に入社。日本映画ペンクラブ会員。2006年から映画専門誌『日本映画navi』(産経新聞出版)にコラム「兵頭頼明のこだわり指定席」を連載中。

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