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【フラット35】が過去最低金利を更新

イギリスのEU離脱、住宅ローン金利にどう影響する?(1/2ページ)

小島淳一小島淳一

2016/09/02

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住宅ローンの金利の種類は?

住宅ローンの金利には大きく分けて「変動金利型」と「固定金利型」のふたつのタイプがあり、それぞれ金利の決まり方が違います。金利タイプを選択するときの参考にもなるのでそれぞれの金利の決まり方についてご説明しましょう。

まず、大前提として、銀行は外部から調達した資金に金利をつけて貸し出すことで利益を得ています。銀行も外部からお金を借りてきて利息を払っていますから、銀行がお金を借りるときの金利が安ければ、貸し出すときの金利を安くすることができます。逆に銀行がお金を借りる時の金利が高ければ、その分、貸し出すときの金利も高くなるわけです(図1)。


(図1)金融機関は調達した資金を貸し出している

「変動金利型」の住宅ローン金利はどう決まる?

「変動金利型」の住宅ローン金利は、「短期プライムレート」(短プラ)を基準にして、決定しています。短プラとは、金融機関が優良企業に適用する1年以内の最優遇金利です。その短プラは、日本銀行の政策金利である「無担保コール翌日物金利」と連動して変動します。政策金利は日本銀行がコントロールしていますから、これが利上げされると、その分だけ金融機関の調達金利が上がり、それに連動して住宅ローンの金利も上がるという仕組みです(図2)。

ちなみに、金融機関同士が短期の資金を貸し借りする市場をコール市場といい、「今日借りて明日返す」「今日貸して明日返してもらう」といった期間1日での資金の貸し借りを無担保で行なう取引が「無担保コール翌日物」です。

「変動金利型」は、返済期間中に金利が変動し、金利は半年ごとに見直されるのが一般的です。ただし、返済金額の改定は5年ごと、金利が上昇して返済額がアップする場合でも、上昇幅は従前の返済額の125%を上限とするタイプが多くなっています。

そのため、金利の上昇幅が大きい場合には、返済額に占める利息の支払い割合が増え、元金の返済が少なくなります。つまり、元金の返済が遅れてしまうということです。さらに、利息の支払額が毎月の返済額を超えてしまうと未払い利息(※)が発生してしまいます。

金融機関は自身の調達金利の変動に合わせて貸し出しの金利を上げたり下げたりできるので、金利上昇によるリスクを負う必要はありません。そのため、変動金利型は一般的に固定金利型よりも低い金利になっているのですが、そのかわりに金利上昇のリスクを利用者が負っているというわけです。

(※)未払い利息:金利の上昇によって、計算上の利息が毎回返済額を上回ってしまった場合に支払いきれなかった利息のこと。たとえば、毎月の返済額を10万円としていて、返済の途中で金利が上昇し、その月に支払うべき利息が11万円になった場合でも、返済額は10万円のままなので利息のうち1万円が支払われずに残ってしまいます。これが未払い利息です。借り入れ時の金利が低いと、毎月の返済額が低く設定されている場合が多いので、将来金利が上昇した場合に、未払い利息が発生する可能性は高くなります。 未払い利息の解消法は金融機関によって異なるので、各金融機関に確認してみてください。


(図2)短期プライムレレートと変動金利型住宅ローンの金利の関係

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この記事を書いた人

ファイナンシャルプランナー(日本FP協会認定)、相続診断士

1970年生まれ。神奈川県海老名市出身。 早稲田大学商学部を卒業後、93年、「海賊とよばれた男」の出光興産株式会社に入社。特約店経営改善計画からマーケティング・SS現場の増客増販まで一連のガソリンスタンド事業に携わる。福島県山間部での集客イベントでは3日間でガソリン10万ℓを売上、全国優秀店表彰へ導く。 その後、2000年にヘッドハンティングされソニー生命に入社。社内表彰やMDRTに連続入会、営業職最高位エグゼクティブライフプランナーに認定される。 現在は、金融機関に属さない独立系FP会社:ライフワーク株式会社の代表として、リスクマネジメントコンサルティングを中心に、各種セミナー講師として活躍中。

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