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こんな仕事ぶりならもういらない! 不動産仲介業が「消える職業」といわれる本当の理由(1/2ページ)

大友健右大友健右

2016/06/27

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答えはYESであり、NOである

最近、人工知能(AI)関連のニュースをよく目にするようになりました。AIが将棋や囲碁の名人を負かしたりする様を見ると、確かにこの分野の技術が目覚ましく進歩しているのは確かなようです。そんななか、「AIが人間の仕事を奪う」という論調の記事がさまざまなメディアの俎上にあがっています。

実は私は、こうした報道をうさんくさいと感じていて、真面目に受けとめようという気にはなりません。独断と偏見をもっていえば、「AIが人間の仕事を奪う」論は、その論者も含めてみんなニセモノだと思っています。

それはさておき、「近い将来、なくなる仕事、消える職業」として指摘されているもののリストのなかに、「不動産仲介業者」がしばしばあげられていることについて、「本当になくなってしまうの?」と聞かれることが多いので、ここで私の考えを述べておきましょう。

答えは、YESとNO、その両面があります。

不動産物件の本当の価値は、人間の感情が決める

まずは、「NO」の側面からお話ししましょう。

不動産物件の価値は、人間の感情が決めるものです。ここでいう価値とは、住み心地、満足度、幸せといった言葉に置きかえてもいいでしょう。

たとえば、「富士山が大好きで、部屋の窓から富士山が見えるなら、家賃が1万円高くてもそちらの部屋を選ぶ」という人がいたとしても、不思議ではありません。それから、「ボロアパートでも、大好きなドラマの主人公が住んでいた部屋にそっくりだから好き」という人もいるでしょう。「最初は駅から遠くて不便だと思っていたけど、慣れてしまえば快適」という声もよく聞きます。

こうした価値は、すべて人間の感情から発するものです。一見、ほかと比べて条件が悪いように見える物件でも、人それぞれの趣味嗜好やその場の気分といった要素で価値は多様に変化するのです。

そう考えてみると、不動産の本当の価値は、物件そのものにあるのではなく、その価値を判断する人間の心のなかにあるのだと言えるでしょう。

したがって、その価値は「立地、間取り、値段」といったデジタルな情報で表現することができません。つまり、AIがつけいる余地がないのです。

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この記事を書いた人

株式会社ウチコミ 代表取締役 株式会社総研ホールディングス 代表取締役 株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役 1972年生まれ。大手マンション会社で営業手法のノウハウを学んだのち、大手不動産建設会社に転職。東京エリアにおける統括部門長として多くの不動産関連会社と取引、不動産流通のオモテとウラを深く知る。 現在、株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役として、住宅リフォームを中心に事業を展開。また、株式会社ウチコミ 代表取締役として、賃貸情報サイト「ウチコミ!」を運営。入居の際の初期費用を削減できることから消費者の支持を集める。テレビ・新聞・雑誌などメディア出演も多数。

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