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被災による所得税の軽減措置

具体的な手続きとポイント(1/2ページ)

平野 敦之平野 敦之

2019/02/20

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イメージ/123RF

台風による風災や水害、地震など想定外の自然災害あるいは火災で建物などの資産に損害があったときに、雑損控除や災害減免法といった制度を活用して所得税の軽減を受けることができます。2018年も多くの災害がありましたが、何ヶ月も経つと忘れがちなことですので、しっかり手続きしておきましょう。

■災害などで被災したときの所得税の軽減措置とは?

台風や竜巻、水害、雪災、雹災、地震などの自然災害や火災などで建物や家財などに損害を受けることがあります。こうしたときに手続きをすることで、所得税の軽減を受けることのできる制度があります。代表的なものが次の2つです。

・雑損控除(所得控除)
・災害減免法(税額控除)

制度そのものは雑損控除が所得控除、災害減免法は税額控除ですから、所得税を計算する上での控除の方法が異なる制度です。いずれも適用条件がありますし、どちらが有利か実際に現状に照らし合わせて試算をしてみる必要があります。続けて具体的な内容についてみていきましょう。

■雑損控除

損害を受けた資産が次の条件すべてに当てはまっていることが必要です。

(1)対象資産の要件
・資産の所有者が本人(納税者)、およびその人と生計を一にする配偶者やその他の親族で、その年の総所得金額等が38万円以下。

・棚卸資産もしくは事業用固定資産等または生活に通常必要でない資産のいずれにも該当しない資産。

(2)適用対象となる損害
・震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
・火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
・害虫などの生物による異常な災害
・盗難
・横領

このように自然災害以外での損害でも適用されますが、盗難や横領は対象になるものの、詐欺や恐喝は除外されていますので注意してください。

(3)雑損控除の金額と計算
雑損控除の金額は、次のうちいずれか多い方の金額になります。
・(差引損失額)-(総所得金額等)×10%
・(差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円

なお、計算は次の式で行います。
災害損失額=損害金額+災害等に関連したやむを得ない支出の金額-保険金などにより
補てんされる金額

少し小難しいかもしれませんが、実際に損失が発生した金額から、火災保険や地震保険でカバーされている分は差し引いて実際の損害がいくらか計算すると考えてください。

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この記事を書いた人

平野FP事務所 代表 CFP ®認定者、1級FP技能士、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー

東京都出身。証券会社、損害保険会社を経て実務経験を積んだ後に1998年から独立して活動をはじめてFP歴20年以上。また相談業務を受けながら、中小企業の支援にも力を入れている。行政機関や大学での非常勤講師、企業研修などセミナーや講演も多数。メディアでの執筆記事も多く、WEBに公開されているマネー記事は550本以上。2016年にお金の情報メディア「Mylife Money Online」の運営を開始。主な著書に「いまから始める確定拠出年金投資(自由国民社)」がある。誰もが自分らしい人生を安心して豊かに過ごすため、「お金の当たり前を、当たり前に。」をモットーに活動中。「Mylife Money Online」のURLはコチラ→ http://mylifemoney.jp

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