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改正民法(相続法)の施行(1/2ページ)

野田洋介野田洋介

2019/06/26

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イメージ/123RF

はじめに

相続法が平成30年7月6日に成立し、すでに自筆証書遺言の方式の緩和については、1月17日から施行されています。7月1日からは「遺産分割における税法と民法の齟齬の解消」、「遺留分制度の見直し」、「相続以外の者の貢献に寄与する制度」等が施行されます。

配偶者控除の特例で贈与した居住用不動産の持戻しを免除

・税法と民法で異なる考え方
税法では、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産の購入資金の贈与が行われた際に、贈与税の基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除できる贈与税の配偶者控除の特例があります。

この特例を使った場合、居住用財産の贈与は贈与税を申告したうえで行われ、被相続人の財産から切り離されることになります。

ところが、旧民法においては、税制上の特例を使って生前贈与された不動産であっても配偶者の特別利益とされ、被相続人から遺産の先渡しを受けたものとして考えます。

贈与された不動産の価格が遺産に加算(持戻し)されて遺産総額を算出するため、遺産額について税法と旧民法との間に食い違いが生じていました。

・配偶者の老後の生活保障に配慮
改正法では、婚姻期間が20年以上の夫婦間での居住用不動産の贈与があった場合は、当該不動産については、配偶者に別段の意思表示がなければ「持戻し免除の意思表示」があったものと推定する規定が設けられました。

これにより、配偶者間の居住用不動産の贈与については、当該不動産を遺産から除外して遺産総額を算出し、各相続人の相続分を計算することになり、配偶者の老後の生活保障を考慮した税法との食い違いも解消されます。

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この記事を書いた人

税理士

昭和58年8月石川県金沢市生まれ。 平成18年3月法政大学工学部を卒業しその後会計事務所に就職。 平成24年12月に税理士試験を合格し平成25年4月税理士登録。 平成29年7月に株式会社アグラデッソ会計事務所、野田洋介税理士事務所開業。 開業後も法人・個人事業者の会計、税務顧問によりタックスプランニングや資金繰りコンサルティングを行う。その他、相続対策・事業承継・組織再編・IPO支援等中小企業や個人のコンサルティングを行っている。

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