ウチコミ!タイムズ

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン

牧野知弘の「どうなる!? おらが日本]#4 新築分譲マンションを買うという意味を考えよう(1/5ページ)

牧野 知弘牧野 知弘

2018/06/20

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

建物は有限、土地は永遠

不動産が値上がりしている。先日発表された公示地価によれば、東京銀座四丁目山野楽器前の地価は1㎡当たりで5550万円、坪当たりに換算すると1億8347万円に相当する。この額はすでに平成バブルと言われた平成初期の頃の水準を凌駕している。

いくら銀座の土地といえども、1坪をこんな高値で買って採算はあわない。だが、銀座の土地の持つ輝きに酔いしれて多くの投資マネーが集まるために、銀座の土地は気配値としても値上がりをするのだ。いわば銀座の土地のお値段は世の中の景気のバロメーターと言ってもよいかもしれない。

肝心なことは、土地はこの世から消えてなくなることはないということだ。つまり実際に所有し続ける意思があるのならば、銀座四丁目という土地の持つ効用は変わらずに享受できるのだ。

建物はどうだろうか。建物の命は有限だ。会計上でもこのことは明確に定義されている。建物は有限であるがゆえに「減価償却」され、最後にはほとんど価値のないものと判断される。もちろんこれは会計上の都合によって定めたルールなので、償却期限がすぎたからといって建物が使えなくなるわけではない。したがって建物寿命という概念とは基本的に異なるものだが、建物が「有限」の存在であることに変わりはない。

どんなに立派で美しい建物であっても、建物は年がたつにつれ、老朽化していく。その時代の最新鋭の設備を具備していたとしても設備自体の老朽化、技術の進歩などで設備として持つ価値は次第に減じられていく運命にある。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

この記事を書いた人

株式会社オフィス・牧野、オラガ総研株式会社 代表取締役

1983年東京大学経済学部卒業。第一勧業銀行(現みずほ銀行)、ボストンコンサルティンググループを経て1989年三井不動産入社。数多くの不動産買収、開発、証券化業務を手がけたのち、三井不動産ホテルマネジメントに出向し経営企画、新規開発業務に従事する。2006年日本コマーシャル投資法人執行役員に就任しJ-REIT市場に上場。2009年オフィス・牧野設立、2015年オラガ総研設立、代表取締役に就任。著書に『なぜ、町の不動産屋はつぶれないのか』『空き家問題 ――1000万戸の衝撃』『インバウンドの衝撃』『民泊ビジネス』(いずれも祥伝社新書)、『実家の「空き家問題」をズバリ解決する本』(PHP研究所)、『2040年全ビジネスモデル消滅』(文春新書)、『マイホーム価値革命』(NHK出版新書)『街間格差』(中公新書ラクレ)等がある。テレビ、新聞等メディアに多数出演。

ページのトップへ

ウチコミ!