ウチコミ!タイムズ

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン

業界の悪しきカルチャーを暴く(18)

業者のカモにされる不動産オーナーには共通点がある!(1/2ページ)

大友健右大友健右

2016/07/11

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

大家さんにとって、いまは受難の時代

私は、賃貸アパートを経営する大家さんを対象としたセミナーで講演をする機会がよくあります。

「空室が続いているのに不動産会社の動きが悪い」
「不動産会社に仲介手数料以外の費用を要求される」
「不動産業界の仕組みが不透明と感じる」

そんな話を聞くと、現状の不動産業界がまだ旧態依然としたビジネスモデルにすがって変わろうとしていない実態を垣間見る気がします。

以前、首都圏の賃貸アパートの空室率が30%を超え、今後、ますます上昇していくという話をしました。そこでは、需要もないのにセッセと新築アパートを建て続ける不動産建設会社にあることを指摘しました。

大家さんにとっては、頭の痛い話ですが、この手の話はそれだけではありません。

たとえば、昨今問題視されている空き家問題。野村総合研究所の発表によれば、2013年の空き家数は約820万戸、総住宅数に対する空き家率は13.5%ですが、2033年の空き家数は約2,150万戸、空き家率は30.2%と、いずれも2倍以上に上昇すると予測されています。

この話は一見、大家さんに直接関係のない話だと思う人もいるかもしれませんが、実はそうではないのです。

「増え続ける空き家」に「まだ賃貸市場に出てきていない未知の物件」が加わったとしたら、その深刻度が理解できるのではないでしょうか。そう、需要もないのに不動産建設会社がセッセと新築アパートを建て続けたら、賃貸アパートの市場はアッという間に供給過多になります。空室率が30%どころか、想像を超える規模で上昇していくでしょう。

大家さんに「後ろ向き思考」は禁物

セミナーでそんな悲観的な話ばかりをしているのかと誤解される前に、急いで訂正しておきましょう。

セミナー会場にわざわざ足を運んで私の話を聞きにくる大家さんは、すでにそういう状況に危機感を抱いている意識の高い大家さんばかりですから、これはいわずもがなの話。不動産会社やリフォーム業者の口車に乗せられて、借り手がつきそうもない新築アパートを建てたり、高いお金を払って無駄なリノベーションをしたりすることのない人が多いです。

むしろ、そうした業者のカモにされてしまう大家さんは、セミナーに来ていないし、セミナーの存在さえも知らない大家さんでしょう。

これは私の独断と偏見に過ぎないことかもしれませんが、そうした大家さんにはいくつかの共通の性格があると思います。

ひとつは、「アパート経営なんて面倒臭い」と感じていたり、最初から「自信がない」とあきらめている、後ろ向きな思考パターンに陥っている人。不動産業者の目に、そうした人たちは実に狙いやすい人に見えることでしょう。

「面倒臭い」、「自信がない」という気持ちに「ならば私たちにまかせてください」とつけいれば、コロリとだまされてくれそうです。あとは自分たちの利益のためにやりたい放題すればいいというわけです。

次ページ ▶︎ | 業界のカモにされる大家さん問題が顕在化しないワケ

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

この記事を書いた人

株式会社ウチコミ 代表取締役 株式会社総研ホールディングス 代表取締役 株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役 1972年生まれ。大手マンション会社で営業手法のノウハウを学んだのち、大手不動産建設会社に転職。東京エリアにおける統括部門長として多くの不動産関連会社と取引、不動産流通のオモテとウラを深く知る。 現在、株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役として、住宅リフォームを中心に事業を展開。また、株式会社ウチコミ 代表取締役として、賃貸情報サイト「ウチコミ!」を運営。入居の際の初期費用を削減できることから消費者の支持を集める。テレビ・新聞・雑誌などメディア出演も多数。

ページのトップへ

ウチコミ!