火災保険のプラン設計で押さえておきたい5つのポイント(1/3ページ)
平野 敦之
2018/10/23
Point1 火災保険の目的と評価額
火災保険は専用住宅であれば、建物や家財を目的に契約します。両方を一つにして契約することも、どちらか一つだけ契約することも可能です。火災保険は建物や家財などに保険をつけますから、はじめにこれらの評価額を決めます。火災保険の評価方法には2通りあります。
・再調達価額(新価額)
・時価額
再調達価額というのは、損害を受けた建物を新たに再築・再購入するのに必要な金額のことです。新品の金額とイメージするといいでしょう。ここから使用年数などを考慮したものがいわゆる時価額です。
「モノ」につける保険は通常は時価評価です。自動車の車両保険は、毎年車両金額が下がっていきますがこれと同じです。しかし住まいの場合、時価額では損害が発生すると、同じ家を再築することができなくなります。これでは生活を立て直すのに支障があるため、再調達価額(新価額)という評価方法があるのです。
なお、現在の火災保険は各社とも再調達価額での契約が中心です。但し昔の各社の共通商品であった住宅火災保険や住宅総合保険などは今も契約があるなら、まず時価額での評価です。以前は最長36年の長期契約ができましたから、現在でも契約が残っています。補償内容や保険金の支払い条件など今の火災保険と違うところが多いので注意してください。
建物を再調達価額で評価する際、評価額は「点」ではなく「幅」があります。仮にある建物を評価したら基準が2,000万円だとすると、2,000万円以外の金額では契約できないのではなく、上下に一定の幅を持たせています。
実務的には実態に合わせて契約すればよいので、建築費が明確であればそれが一番正しい評価方法ですが、不明な場合もあるでしょう。高価な良い材料を使っているなら高めに評価、逆であれば低めに評価することも可能です。評価額が変われば保険料も変わりますので補償以前にこの評価額をチェックしてください。
この記事を書いた人
平野FP事務所 代表 CFP ®認定者、1級FP技能士、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
東京都出身。証券会社、損害保険会社を経て実務経験を積んだ後に1998年から独立して活動をはじめてFP歴20年以上。また相談業務を受けながら、中小企業の支援にも力を入れている。行政機関や大学での非常勤講師、企業研修などセミナーや講演も多数。メディアでの執筆記事も多く、WEBに公開されているマネー記事は550本以上。2016年にお金の情報メディア「Mylife Money Online」の運営を開始。主な著書に「いまから始める確定拠出年金投資(自由国民社)」がある。誰もが自分らしい人生を安心して豊かに過ごすため、「お金の当たり前を、当たり前に。」をモットーに活動中。「Mylife Money Online」のURLはコチラ→ http://mylifemoney.jp