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自然素材のよさを本当に活かす使い方とは?

人気の珪藻土、低コストのものはデメリットだらけ!?

岩崎未来岩崎未来

2016/01/06

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ホコリがつきやすく、掃除しにくい!

 前回は「無垢材」について触れましたが、今回は「珪藻土」について見てみましょう。「珪藻土」とは、植物性プランクトン(藻類)の死骸が、海や湖の底に長い時間かかって堆積したもの。そしてその「珪藻土」には、吸・放湿性あり、耐火性あり、断熱・保温性あり、シックハウス防止など、たくさんのメリットがあります。しかしそこにも、「落とし穴」が潜んでいるのです!

 壁に珪藻土を採用することで、健康にもよく、見た目にもナチュラルな仕上がりになり、気持ちのよい空間に感じることでしょう。しかし、その後のメンテナンスは必要不可欠! ちょっとした汚れなら、消しゴムやサンドペーパーを使って落とすことは可能ですが、珪藻土の壁は凸凹していてホコリがつきやすく、長期間放置すると簡単には落ちません。しかも、水拭き不可。普段からハタキをかけたりして、ホコリが溜まらないように注意するしかないのです。

キッチンまわりには向かない!

 珪藻土には耐火性があるため、「キッチンまわりに使いたい」と考える方も多いようですが、本当に大丈夫でしょうか? 実は、珪藻土はホコリがつきやすい以外にも、油を吸着しやすいというデメリットもあります。

 前述したとおり、基本的に水拭きはできませんし、洗剤や漂白剤などを無暗に使うのもおすすめできません。いざ張り替えるとなると、普通のクロスに比べて3~5倍のコストと時間がかかります。

使われている「硬化剤」に注意!

 モノがぶつかったり、地震が起こって下地が動いたりすると、ヒビが入ることも……。ヒビが入った場合は、霧吹きで水をかけ、元の材料(粉の状態)をスポンジにつけて、ファンデーションのようにポンポンとつけて修繕します。珪藻土を入手する手間と修繕する手間がかかり、テクニックも必要になります。

 珪藻土はそれ自体で固まることがないので、何らかの硬化剤をつなぎとして混ぜて固めることで、塗り壁材として使えるようになります。その「硬化剤」に何をどのくらい使っているか、がとても重要です。

 本来は石灰などの自然素材を混ぜて固めることで、珪藻土の効果は最大限に発揮されます。しかし最近では、コストと手間を省くために、多くのメーカーが合成樹脂を混ぜた珪藻土を使用しています。合成樹脂を混ぜると固まるまでの時間が短くなり、コストも下がります。ただ、合成樹脂の量が多ければ多いほど珪藻土に存在する細かい穴がふさがれ、吸・放湿性や断熱・保温性などのメリットがほとんどなくなってしまうのです。

 しかし、どんな硬化剤を使っているか、合成樹脂を何パーセント使用しているか、などを明確に示しているメーカーはほとんどありません。なので、「漆喰・塗り壁の自然素材住宅!」と謳っているメーカーだからといって、安易に選ばないほうがよいでしょう。そして、「ここの珪藻土は、珪藻土含有量何パーセントですか?」と聞いてみてください。自信があり、信頼できるメーカーであれば、しっかり答えてくれるはずです。

 わたしも家を建てる際は、「できる限り自然素材で」、と思っています。でもこうしてみると、できるだけたくさん使えばよい、というわけではなさそうです。素材の特性を知り、使う場所をしっかり考えて、上手に使いたいですね!

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この記事を書いた人

住宅ライター

「1級建築技能士」という国家資格を保有する昔気質の職人を夫に持つ「大工の嫁」。群馬県在住で鹿児島県出身。 都内の大学卒業後、出版社や編集プロダクションに勤務し、さまざまな実用書・書籍を手がけた後に独立。間取り図や住宅情報誌などを見るのは趣味のひとつで。都内在住中、10年で6回の引越しを経験。その後、結婚し、第一子出産後、夫の故郷である群馬県に移住。 第二子妊娠中の今、毎夜夫の仕事話を聞きながら、マイホームへの夢を募らせている。

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