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理想の田舎暮らしが見つかる! 移住体験ツアー・イベントの賢い活用法(1/5ページ)

馬場未織馬場未織

2017/07/13

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イベントには「知った気になってしまう」リスクがある


(c) Norman01 – Fotolia

地方への移住、二地域居住へ関心を持つ人が増えている昨今、日々あらゆる自治体において田舎暮らし体験ツアーや移住促進イベントなどが組まれています。

わたし自身、二地域居住歴11年目でNPO法人主催という立場から、そうしたイベント企画の主催側に立つことが多いのですが、「イベントに参加したことで、地域の暮らしの様子を知った気になってしまう」というリスクについても同時に懸念しています。

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移住者獲得につながるようにと、いくら主催者が趣向を凝らしても、地域の暮らしをダイジェスト版で示すのはやっぱりむずかしい、と実感しています。

限られた時間のなかで、その地域の暮らしぶりを伝えようとしたとき、どうしても「よいところ」を中心にギュギュっと伝えたくなるのが人の常です。

こんなに魅力的なところだよ!

こんな支援もあるよ!

行政も、市民も、みーんな親切だよ!

美味しいし、楽しいし、一緒に暮らそうよ!

と。

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なぜイベントでは悪いことを言わないのか

そりゃそうですよね。

主催者としては、まずその移住促進イベントに来てもらうところから勝負が始まっていますから、必然的に手厚くもてなすような風情になっていきます。

参加者は、その時点では “お客さま扱い”です。彼らがほかに気移りしないよう、主催者は精いっぱいのアピールをすることになります。

決してマイナス面を隠そうとしているわけではなく、「もちろんいいことばかりではありません、暮らしの大変さなども率直にお伝えしたく!」などとわざわざ言ったりもしますが、できるだけ前向きな検討を促したいという思いは、やはり先に立ちます。

「そうではない、いいことも厳しいことも全部聞かせてくれる本音のイベントはないかなあ」なんて思っても、そうそうないと思います。

「こんなに不便」「こんなに大変」と、しょっぱなから提示されたら、じゃあ移住自体をやめるか、となるのがオチですからね。基本的には、参加者のことを「お客さま」扱いするほかない。

住んでしまったらいろいろな義務や責任が発生する「住民」ですが、住むまでは「お客さま」です。言ってみれば、不動産売買時のセールスと同じなんですよね。

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この記事を書いた人

NPO法人南房総リパブリック理事長

1973年、東京都生まれ。1996年、日本女子大学卒業、1998年、同大学大学院修了後、千葉学建築計画事務所勤務を経て建築ライターへ。2014年、株式会社ウィードシード設立。 プライベートでは2007年より家族5人とネコ2匹、その他その時に飼う生きものを連れて「平日は東京で暮らし、週末は千葉県南房総市の里山で暮らす」という二地域居住を実践。東京と南房総を通算約250往復以上する暮らしのなかで、里山での子育てや里山環境の保全・活用、都市農村交流などを考えるようになり、2011年に農家や建築家、教育関係者、造園家、ウェブデザイナー、市役所公務員らと共に任意団体「南房総リパブリック」を設立し、2012年に法人化。現在はNPO法人南房総リパブリック理事長を務める。 メンバーと共に、親と子が一緒になって里山で自然体験学習をする「里山学校」、里山環境でヒト・コト・モノをつなげる拠点「三芳つくるハウス」の運営、南房総市の空き家調査などを手掛ける。 著書に『週末は田舎暮らし ~ゼロからはじめた「二地域居住」奮闘記~』(ダイヤモンド社)、『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』(共著・学芸出版社)など。

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