ウチコミ!タイムズ

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン

外壁の防火構造に大きな問題あり

積水ハウスのシャーウッドは建築基準法23条に違反している!(1/3ページ)

岩山健一岩山健一

2016/07/29

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

シャーウッドには重要な問題がある

積水ハウスの木造住宅、シャーウッドをご存知でしょうか。テレビCMはなかなかおしゃれに制作していますし、きっとかなりの費用をかけているのでしょう。しかし、そのCMのイメージとは裏腹に、重要な問題を抱えているのがこのシャーウッドなのです。

積水ハウスには、鉄骨プレファブの商品と木造(在来金物工法)の商品のラインナップがあります。鉄骨プレファブもさまざまな社会問題があるのですが、今回はシャーウッドが抱えている問題を指摘したいと思います。

シャーウッドは、在来の木造に近い軸組工法をベースとして、積水ハウスが独自に考案した構造として商品化しているものです。具体的には、仕口金物を装着してドリフトピンで留めていく考え方の構造形式なのですが、このような構造形式は一般にも手に入るもので、実は何も珍しいものでも、特段価値の高いものでもありません。

そんな積水ハウスのシャーウッドには、どのような問題があるのでしょうか?

そこに言及する前に、まず“建築基準法違反ではあるけど合法的になる”という、鉄骨プレファブの矛盾について説明をしておきましょう。

型式適合認定制度の何が問題なのか

積水ハウスに限らず、「ぱあとだせ」が展開しているすべての鉄骨プレファブに共通していることなのですが、「型式適合認定制度(型式認定)」という建築基準法上の制度を利用して、建築コストを抑えた「安上がりな建物」を目指している、ということがいえます。

この型式適合認定制度について簡単にご説明しましょう。

そもそも建物を建てることは誰でも自由にできますが、その前に、その建物が「建築基準法」や関連法規に合致しているかを確認する必要があります。これを「建築確認」とよんでいます。本来、建築確認は、建築物ごとに細かく審査されるものですが、型式適合認定制度とは、この建築確認の負担を減らすための制度で、平成10年の建築基準法改正時に導入されました。

たとえばプレファブ住宅など、建築部材が工場で大量に生産され、同一の型式で量産される建築物や、標準的な仕様書で建設される住宅などについては、その型式について一定の建築基準に適合していることをあらかじめ審査し、認定(型式適合認定)を受けておくことで、個々の建築確認や検査時の審査が簡略化されます。

鉄骨構造というものは、2階建て以上はすべて構造計算をしなくてはならないのですが、この型式認定さえ取得してしまえば、いちいち計算書を提出する必要がなくなる、法律で定められた水準以下のスペックでも容認されてしまう、といったことが起きるのです。

次ページ ▶︎ | 木造のシャーウッドは型式認定を取得できるはずがない 

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

この記事を書いた人

株式会社日本建築検査研究所 代表取締役

一級建築士 建築ジャーナリスト 大学で建築を学び、NHKの美術職を経て建築業界へ。建築業界のしがらみや慣習に疑問を感じ、建築検査によって欠陥住宅を洗い出すことに取り組む。1999年に創業し、事業をスタート。00年に法人化、株式会社日本建築検査研究所を設立。 消費者側の代弁者として現在まで2000件を超える紛争解決に携わっている。テレビ各社報道番組や特別番組、ラジオ等にも出演。新聞、雑誌での執筆活動も行なう。 著書にロングセラー『欠陥住宅をつかまない155の知恵』『欠陥住宅に負けない本』『偽装建築国家』などがある。

ページのトップへ

ウチコミ!